健康基礎知識

子どもの花粉症

そろそろ花粉症が気になる時期。2016年春の花粉飛散予測情報も出ており、花粉症のお子さんをもつ親御さんにとっては、心配なのではないでしょうか。そこで、子どもの花粉症について、医療法人社団 こどもクリニック八本松の院長、杉原雄三先生に話を聞きました。
 花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状を起こす病気です。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告され、主な植物は「スギ」「ヒノキ」だと言われています。
 スギ花粉は、早くは12月にも少し飛散し、標準的には、例年2月14日頃~3月15日頃がピークで、5月の連休頃にスギ花粉が終了した後、ヒノキ花粉が1~2週間程度続きます。
【大人と子どもの花粉症の違い】
 花粉症の主な3大症状といえば、「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」ですが、子どもの場合、くしゃみではなく、鼻づまりが多い傾向にあります。これは、鼻腔が狭いので、つまりやすく、つまると花粉が入ってこないことから、くしゃみも出ないということも原因の一つになっています。また、子どもの花粉症は、アトピー性皮膚炎・気管支ぜんそくの合併が多いですね。当院へ花粉症で来院されるお子さんの傾向をみていると、幼稚園児でも発症が見られ、低年齢化しているように感じます。
 花粉症と風邪か判断するのは見た目ではわかりません。見分けるポイントとして、下記が挙げられます。(※表参照)
 また、口呼吸が多くなると息をするために口を使うので、口腔内が乾燥し、食事や薬などが飲み込みづらくなるとともに虫歯が増える傾向もありますので、お子さんの様子を注意深く観察してあげてください。
【花粉症から受ける日常生活への影響】
 花粉症になると、目のかゆみや鼻水などによって、「集中力に欠ける」ことが挙げられます。またイライラすることも多くなる傾向があります。他にも、寝つきが悪くなる場合もあります。特に受験をするお子さんがいるご家庭では、注意が必要です。
【予防法・治療法】
 花粉症にかかる原因として、「住環境の変化」「食生活」「免疫力の低下」と言われています。よく言われていることですが、下記、予防法として参考になさってください。
 また私がオススメするのは、「入浴時、鼻を温めること」です。温めたタオルを鼻に当
てると、鼻づまりの改善効果があり、鼻腔や喉、目の粘膜の修復に役立ちますよ。
お風呂上りに鼻を温めるものいいですよ。日頃から、鼻を温める癖をつけておくのもいいかもしれませんね。
 目のかゆみがあるお子さんには、点眼を処方されると思いますが、お子さんへの点
眼方法ワンポイントアドバイスを表で確認してみてください。
ご家庭での予防法以外に、早目に(花粉飛散の2~3週間前から)治療することで症状をコントロールできます。保険適応はないのですが、「舌下免疫療法」という治療法があります。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含んだ液を舌の下に投与し、2分間含んでおくことで体内に吸収させ耐性を獲得する方法です。痛みをともなわないので、この投与を継続的に行うことで症状を軽減することが可能となります。(※12歳から可能)

 なるべく通院しなくてもいいように、日頃からご家庭でできる花粉症対策を行って
みてくださいね。
医療法人社団
こどもクリニック八本松 院長
杉原雄三(すぎはら・ゆうぞう) 
経歴
国立長崎大学医学部卒業
国立長崎中央病院(現国立長崎医療センター)ローテート研修
国立小児病院(現国立成育医療センター)アレルギー科
こどもクリニック八本松(開業20年)
アレルギー専門医・小児科専門医・子どもの心相談医・地域総合小児科認定医


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