2016年8月12日(金)
“寝る子は育つ” 子どもの睡眠習慣の改善へ
寝るべき時間に眠らない、眠くても眠れない子ども達。夜遅くまで起きて、ベッドの中までスマートフォンやゲームを持ち込む…。現代っ子の4~5人に1人は、睡眠習慣の乱れや睡眠障害などのなんらかの睡眠問題を抱えています。そこで、小児科医の杉野禮俊先生に子どもの睡眠についてお伺いしました。
人類の進化を紐解くと、ヒト属のホモ・サピエンスはおよそ40~25万年前に現れました。そして、現在あたりまえのように利用する電気は、100年ちょっと前から。暗い夜も明るく照らしてくれます。電気が利用できるまでは、日の出とともに起きて活動し、日の入りまでには夕食を食べ、その後睡眠をとっていました。ヒトは寝て、食べて、排泄して、動くという昼行性の動物。このように人類の長い歴史や進化から、電気などの新しい文明の発達にヒトの身体が追い付いていないと考えられます。つまり、睡眠時間が少ない、夜型の生活を続ければヒトの身体に良くない影響を及ぼすと推察できます。
かつて子どもは日中に遊び回り、夕食とお風呂がすめば、寝床に入るというのが一般的でした。でも最近は子どもの就寝時間が22時以降になる割合が増加しており、子どもの生活リズムが年々夜型傾向にあることが明らかになりました。遅寝遅起きの子どもが数多く見られます。
かつて子どもは日中に遊び回り、夕食とお風呂がすめば、寝床に入るというのが一般的でした。でも最近は子どもの就寝時間が22時以降になる割合が増加しており、子どもの生活リズムが年々夜型傾向にあることが明らかになりました。遅寝遅起きの子どもが数多く見られます。
子ども達の睡眠時間
小児科の教科書ともいえる「ネルソン小児科学」によると、子どもの1日における平均睡眠時間は、
1~3歳 14~15時間
3~6歳 12~14時間
6~12歳 10時間
12歳~ 理想的には9時間、と記してあります。
1~3歳 14~15時間
3~6歳 12~14時間
6~12歳 10時間
12歳~ 理想的には9時間、と記してあります。
世界的に見ても、日本の小・中・高校生は最も夜更かしをしていることで有名です。いくら夜更かししても登校時間は同じなので、睡眠時間は短くなり、朝に起こされてもボーっとしたまま朝食もとらずに登校…。日中は眠気をこらえながら授業を受ける子どもも数多くいます。眠気のためにもうろうとして授業に集中できず、学習力低下や注意散漫が顕著になります。
寝ている間に成長ホルモンが分泌
子どもの成長に欠かせない必要な物質である成長ホルモンは、夜の睡眠中に子どもの脳からとても多く分泌されています。とくに成長ホルモンは睡眠に入ってから2時間後に大量に分泌されます。夜よく眠るほど骨が強くなり体がしっかりしていくのです。また、成長ホルモンの分泌がしっかり行われていると、脳の疲労も回復することができます。そして脳が日中の疲れを癒し、集中力・記憶力・知能の発達を高めるようになるのです。
良質な睡眠をとるためには?
①早寝早起き
②朝食はしっかり食べる
③昼間は光を浴びて体を動かす
④夕方に昼寝をしない
⑤夜に外出しない
⑥夜にカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、清涼飲料水)を飲まない
⑦寝る前にテレビ・DVD視聴、パソコン、ゲーム、スマートフォンをしない
⑧寝る前に睡眠ルーチンの確立
(例:着替え、歯磨き、トイレ、「おやすみなさい」のあいさつ、電気を消す)
⑨寝る前に激しく運動しない
⑩暗く静かなところで寝る
(参照:東京小児科医会報: 通巻114号:2015)
②朝食はしっかり食べる
③昼間は光を浴びて体を動かす
④夕方に昼寝をしない
⑤夜に外出しない
⑥夜にカフェイン飲料(コーヒー、紅茶、清涼飲料水)を飲まない
⑦寝る前にテレビ・DVD視聴、パソコン、ゲーム、スマートフォンをしない
⑧寝る前に睡眠ルーチンの確立
(例:着替え、歯磨き、トイレ、「おやすみなさい」のあいさつ、電気を消す)
⑨寝る前に激しく運動しない
⑩暗く静かなところで寝る
(参照:東京小児科医会報: 通巻114号:2015)
睡眠不足を見逃さない
小児の睡眠不足や睡眠障害が持続すると、肥満や生活習慣病(糖尿病や高血圧)、うつ病などの発症率を高めたり、症状を増悪させたりする危険性があります。適切に対処していくには、上記のような基本的な生活習慣を見直すことが必要だと考えます。
子どもでも生活スタイルや睡眠習慣の改善だけでは対処できない睡眠障害がみられます。たとえば睡眠時遊行症(夢遊病)、睡眠時驚愕症(夜驚)、むずむず脚症候群など。このような症状が1カ月以上続くときは、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
“寝る子は育つ、寝ぬ子はメタボ”。子どもの睡眠習慣は大人の生活スタイルを映す鏡でもあります。家族全員で生活習慣を見直し、子どもの快眠を支えてあげましょう。
(参考文献:日本医師会雑誌、小児科臨床、ネルソン小児科学、神山潤 公式サイト)
子どもでも生活スタイルや睡眠習慣の改善だけでは対処できない睡眠障害がみられます。たとえば睡眠時遊行症(夢遊病)、睡眠時驚愕症(夜驚)、むずむず脚症候群など。このような症状が1カ月以上続くときは、かかりつけの小児科医に相談しましょう。
“寝る子は育つ、寝ぬ子はメタボ”。子どもの睡眠習慣は大人の生活スタイルを映す鏡でもあります。家族全員で生活習慣を見直し、子どもの快眠を支えてあげましょう。
(参考文献:日本医師会雑誌、小児科臨床、ネルソン小児科学、神山潤 公式サイト)
- 杉野 禮俊 (すぎの・ひろとし) 杉野小児科医院 院長
- 小児科専門医。日本小児科学会、日本子ども虐待防止学会、日本臨床ウイルス学会、日本インターフェロン・サイトカイン学会所属。
杉野小児科医院
広島市安佐北区亀山2-8-26
(電話)082-815-1334