2017年4月3日(月)
子どもに食物アレルギーがあることがわかったら
新学期を迎え、学校の環境が変わる人も多いことでしょう。特にアレルギーのある子どもを持つ保護者は、給食などの環境が気になることと思います。子どものアレルギー、今回は特に食物アレルギーについて知っておきたいことを、小児科・アレルギー科の医師である白尾謙一郎先生に聞きました。
どうしてアレルギー症状が現れるのか?
アレルギーとは、体の中の免疫が異常に反応する症状のこと。それによって、皮膚に発疹が出たり、口の中がチクチクしたり、咳が出たり、ひどい時には「アナフィラキシー」と呼ばれる複数の臓器に全身性の症状が現れることがあります。
アレルギーの原因は、遺伝、環境、抗原(アレルギーの原因物質)などがあり、それらが複数組み合わさって発症することもあります。また心因性のものもあり、思春期などに精神的なものから体に発現することもあります。
なかでも遺伝は大きな要因の一つですが、DNAは多様で、しかも夫婦の遺伝子が組み合わさるため、どの組み合わせならどんなアレルギーが確実に出る、というところまではまだ解明されていません。だから、親がアレルギーがなくても、子どもにアレルギーが出ることもあるし、兄弟間でもアレルギーを持つ子とそうでない子がいることもあります。
アレルギーの原因は、遺伝、環境、抗原(アレルギーの原因物質)などがあり、それらが複数組み合わさって発症することもあります。また心因性のものもあり、思春期などに精神的なものから体に発現することもあります。
なかでも遺伝は大きな要因の一つですが、DNAは多様で、しかも夫婦の遺伝子が組み合わさるため、どの組み合わせならどんなアレルギーが確実に出る、というところまではまだ解明されていません。だから、親がアレルギーがなくても、子どもにアレルギーが出ることもあるし、兄弟間でもアレルギーを持つ子とそうでない子がいることもあります。
成長してからアレルギーを発症することも
以下のグラフを見てもらうとわかる通り、食物アレルギーの原因となる食物は様々で、およそ全ての食物が原因になり得ると言っても過言ではありません。
また、原因となる食べ物を食べてすぐに症状が現れる「即時型食物アレルギー」は、0〜1歳が最も多く、早くから発症することがわかりますが、その原因の6割は卵。さらに乳製品と小麦を入れて約9割に達します。一方で、年齢が上がるごとにアレルギーの原因上位も変わり、一つひとつが締める割合も減ってくるので、成長と食生活の多様化に比例してアレルギーの原因が多様化してくることがわかります。
これらは、成長してから口にしたものに新たなアレルギーを発症するケースもあれば、今まで問題なかった食物に反応するようになるケースもあります。乳児期にアレルギーがなかったからと安心していても、小学生になってから、あるいは大人になってから、アレルギーが現れることもあるのです。
何らかの症状が現れたら、専門医に相談して検査を受け、必要に応じて給食の除去などを学校に伝えるようにしましょう。
何らかの症状が現れたら、専門医に相談して検査を受け、必要に応じて給食の除去などを学校に伝えるようにしましょう。
正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去を
アレルギー検査を受ける際に知っておいてほしいのは、検査でアレルギー反応が出た=食べてはいけない、ではないということです。アレルゲン検査は陽性でも、食べても反応がなければ、それは食物アレルギーではありません。
過敏になりすぎて、必要以上にあれもこれも食品除去することは、精神的にも経済的にも負担が増しますし、成長期に必要な栄養源や、多様な食生活の経験を狭めることにもつながります。アレルギーを起こさないために、発症もしない食品を除去することは、発症予防の目的でも無意味なことです。
望ましいのは、「必要最小限」の原因食品の除去。専門医に相談して、正しい知識に基づいた除去を心がけてください。子どもは成長に従い、家庭以外の生活場面が増えてきますので、除去は必要最小限にとどめたいものです。
また成長に従い耐性がつくことで食べられるようになることもあります。特に、乳児で発症した食物アレルギーでは多く見られます。食品除去の安全な解除には食物経口負荷試験が必要ですが、食品除去解除の手順については、まだ専門医間でもコンセンサスはできあがっていません。心配があればセカンドオピニオンなどを利用して、信頼できると判断した医師の指示に従いましょう。
過敏になりすぎて、必要以上にあれもこれも食品除去することは、精神的にも経済的にも負担が増しますし、成長期に必要な栄養源や、多様な食生活の経験を狭めることにもつながります。アレルギーを起こさないために、発症もしない食品を除去することは、発症予防の目的でも無意味なことです。
望ましいのは、「必要最小限」の原因食品の除去。専門医に相談して、正しい知識に基づいた除去を心がけてください。子どもは成長に従い、家庭以外の生活場面が増えてきますので、除去は必要最小限にとどめたいものです。
また成長に従い耐性がつくことで食べられるようになることもあります。特に、乳児で発症した食物アレルギーでは多く見られます。食品除去の安全な解除には食物経口負荷試験が必要ですが、食品除去解除の手順については、まだ専門医間でもコンセンサスはできあがっていません。心配があればセカンドオピニオンなどを利用して、信頼できると判断した医師の指示に従いましょう。
- 白尾 謙一郎(しらお・けんいちろう)
しらお小児科・アレルギー科クリニック 院長
日本小児科学会 専門医
日本小児アレルギー学会 専門医(小児科) - 自身も小児期に気管支喘息を患っていたため小児科を受診することが多く、子どもの苦しさを緩和する医師を志す。「子どもに自信を持ってもらう外来診療」、 「明るく楽しい、子どもが自分から進んで行きたがるクリニック」をめざして、クリニックを開院。
しらお小児科・アレルギー科クリニック
広島県広島市南区東雲本町2-6-32
082-281-3578