健康基礎知識

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)ってどんな病気?

時折、学校からのプリントで目にする「脊柱側弯症」。家でも背中が曲がっていないか、イラストの図解と共にチェックが呼びかけられています。この「脊柱側弯症」とはどのような病気なのか、何に気をつける必要があるのか、脊椎脊髄病医である大田修先生に聞きました。

成長期の女子の割合が高い脊柱側弯症
 いわゆる背骨である「脊柱」が異常に左右に、さらに“ねじれ”をともなって湾曲する症状のことを言います。
 症例のうち約75%は、特に原因もなく突然発生する「突発性側湾症」です。その多くは成長期である、小学校高学年から中学校時代に著しく症状が現れます。また、女子の患者数が男子の5〜7倍と言われています。
 特発性側湾症の発症率は、およそ1%。そのうち約85%は軽度のうちに進行が止まりますが、残りの15%では進行が続くため矯正体操や装具による治療を、そのうちさらに1%程度は手術を要します。歪みを放置しておくと、外見でも明らかに違和感を感じるほど姿勢が悪くなり、腰痛をともなったり、ひどいものになると肺や心臓などの内臓に負担を生じるようになります。
 姿勢の悪さからくる身体の歪みとは異なり予防法もなく、痛みなどによる自覚症状もありませんので、目視による早期発見が最も有効となります。

チェックは家でもできる?
 側弯症の疑いを発見するためには、裸の状態の背中をよく見ることが大切です。学校などでも検診を行っていますが、一人ひとりに充分な時間を取れなかったり、女子生徒に配慮して体操服を着たまま行うこともありますので、充分ではありません。自宅で入浴する時などに、お母さまが見てあげるのが、一番望ましいと言えるでしょう。
 以下の4つに注意しながら、定期的に見てあげてください。特に成長期は進行が早いので、「最近背が伸びるのが早いな」と感じたら、マメにチェックしてみてください。
側弯症かな?と思ったら…
 レントゲンで脊柱の歪み具合を診て、その歪みの角度に応じて治療や指導を行います。骨のねじれなどはレントゲンでないと発見できず、内部での歪み具合がわからないと適切な処置ができません。整体などで済まさず、必ず医療機関を受診しましょう。整形外科医、できれば運動器検診二次検診協力医療機関が望ましいです。
 側弯症の傾向が見られると判断されたら、定期的に受診して経過を観察します。通院は通常一年に一度程度ですが、身長がどんどん伸びる成長期になると、もう少しこまめな観察が必要となります。状況によっては、成長期にかかる前に側弯の進行を予防する手術を行うこともあります。
 側弯が進行した場合の処置は主に3つ。1つは、運動訓練。医師の指導により、背筋、腹筋、大腿部筋などに姿勢に関与するトレーニングを行います。運動は身体のバランスを整えるサポートであって、根本治療や進行予防にはなりません。
 2つ目は装具による治療。コルセットのような装具を付けて進行を予防し、矯正位を保持します。成長期の早期側弯には効果があり、装具を付けたまま普通に通学や運動もできますが、思春期の女の子には抵抗を感じることもあります。
 3つ目は手術で、脊柱を金属のワイヤーなどで固定します。手術後半年〜一年程度の運動制限を伴います。
 どのような治療が適切かは、側弯状況と進行状況、年齢、本人と家族の希望などにもよりますので、医師とよく話し合いながら進めていくようになります。
大田 修(おおた・しゅう) 大田クリニック整形外科 院長
(社)日本整形外科学会 整形外科専門医
(社)日本整形外科学会 脊椎脊髄病医
(社)日本整形外科学会 スポーツ医
(社)日本整形外科学会 リウマチ医
(財)日本体育協会公認スポーツドクター
身体障害者福祉法認定医師
運動器リハビリテーション医 など

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