2019年3月4日(月)
カラダの変化 子どものココロが変わる時(後編)
前編(2月)では、思春期前の“ギャングエイジ”と呼ばれる子どもたちが同性の友達と絆を深める大切さについて広島県臨床心理士会副会長で臨床心理士の岡田幸彦先生からお話を伺いました。今回はその後編として、思春期に向けて変わりゆく親子関係を中心に話を進めて参ります。
ギャング時代の絆から「親友」へ
12歳から14歳頃の子どもは「親友」と呼ばれる特別な繋がりを求め始めます。親友とは親にも言えない秘密でさえ打ち明けられる、心強く、大切な友達です。
子どもの頃は親に何でも相談できました。困った時には親を頼り、隠すことなく打ち明けることが出来たのです。しかし、体の成長とともに子どもの悩みは次第に親に言えないものになっていきます。性的な関心や体の変化、将来への不安など、思春期の子どもが一人で抱えるにはあまりに重い悩みばかりです。
そんな時、同性の友達と半ば冗談のように打ち明け話をしながら、自分だけの変化ではないこと、誰もが同じ不安を抱えながら進んでいることを知ります。
中学生頃になると、子どもは親との精神的な分離を経験します。親と離れて行きながらも不安が高まり寂しく思ったり、もどかしさから親に反抗的な態度を取ったりします。この時、親に代わって埋め合わせてくれる存在が同性の友達なのです。
ギャングエイジ時代に培った同性の友達体験を基礎として、思春期はさらに深い友情を求めるようになります。
子どもの頃は親に何でも相談できました。困った時には親を頼り、隠すことなく打ち明けることが出来たのです。しかし、体の成長とともに子どもの悩みは次第に親に言えないものになっていきます。性的な関心や体の変化、将来への不安など、思春期の子どもが一人で抱えるにはあまりに重い悩みばかりです。
そんな時、同性の友達と半ば冗談のように打ち明け話をしながら、自分だけの変化ではないこと、誰もが同じ不安を抱えながら進んでいることを知ります。
中学生頃になると、子どもは親との精神的な分離を経験します。親と離れて行きながらも不安が高まり寂しく思ったり、もどかしさから親に反抗的な態度を取ったりします。この時、親に代わって埋め合わせてくれる存在が同性の友達なのです。
ギャングエイジ時代に培った同性の友達体験を基礎として、思春期はさらに深い友情を求めるようになります。
親との距離感の変化
前思春期(9-12歳頃)の子どもたちは同性の親と少し距離を取り、一方で異性の親と親密さを深めることがあります。男の子がお母さんに甘えてみたり、女の子がキャンプや自転車などアウトドアなどでお父さんとの活動的な行動を好んだりという行動も見られるのがこの時期です。
この時期の子どもは自分の性を意識し始めています。男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしくありたいという思いが芽生え、その意識が異性の親に対する親近感となって現れるのではないかと岡田先生は言われます。
さらに年齢が進んで中学生になる頃には父親、母親いずれからも離れ、親との関係は希薄な時期を迎えます。そして反抗期と呼ばれる時期に突入していきます。
この時期の子どもは自分の性を意識し始めています。男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしくありたいという思いが芽生え、その意識が異性の親に対する親近感となって現れるのではないかと岡田先生は言われます。
さらに年齢が進んで中学生になる頃には父親、母親いずれからも離れ、親との関係は希薄な時期を迎えます。そして反抗期と呼ばれる時期に突入していきます。
子どもが自分の性意識が高まる時期
最近はLGBTに対する理解、配慮も進んできました。
「女の子が『スカートを履きたくない』と言ったり、男の子がアクセサリーを欲しがったりした時、かつてであれば子どもの本心を受けとめにくい親が多かったのでしょう。
親の側に情報がないために受け入れられなかった時代から、最近では親の側が知っていることで子どもの告白に対して理解を示しやすくなっているのかも知れません」(岡田先生)
性意識が芽生える年頃、まさに自分の性について目が向き始める時期とも言えます。
「女の子が『スカートを履きたくない』と言ったり、男の子がアクセサリーを欲しがったりした時、かつてであれば子どもの本心を受けとめにくい親が多かったのでしょう。
親の側に情報がないために受け入れられなかった時代から、最近では親の側が知っていることで子どもの告白に対して理解を示しやすくなっているのかも知れません」(岡田先生)
性意識が芽生える年頃、まさに自分の性について目が向き始める時期とも言えます。
これから迎える反抗期について
「有名な心理学者である河合隼雄先生が、どれだけ子ども時代に『ああ、おもしろかった』という体験を貯金しているかで思春期をうまく乗り越えられるかが決まってくる、というようなお話をされています」
岡田先生の『うまく乗り越えられる』との言葉に胸をなでおろすや否や、すぐに次の言葉。
「子ども時代に良い体験が出来ていれば、そのあと、ものすごく大きな反抗期が来るかも知れません」
ものすごく大きな反抗期とは・・・正直、ショックを受けます。
親にとって反抗期はとてもしんどい時期です。これまで和やかだった親子関係はどこへやら、口を開けば「うるさい」「分かってる」「うざい」と心が折れそうな言葉のオンパレード。口を開かなければ安心と言うわけでもなく、不機嫌そうにしていたり口をきかなかったり、どうしてこんなことになってしまうのだろうとこれまでの子育てを振り返り、溜息がでることもしばしばです。
しかし、このような子どもの反応は正常なことだと岡田先生は言います。反抗期がしんどいのは、これまでちゃんと子育てできてきた証拠だそうです。
「親に対して反抗できるのは、親と子の信頼関係がしっかり出来上がっているからです。関係が出来ていなければ、親への反抗は出来ません。子どもの頃から楽しい体験をたくさん重ね、良い関係を作っておくことでしっかりと反抗期を迎えられるのです」
反抗期らしい反抗が家で見られない場合には、外で問題行動を起こしたり、異性に目を向けるようになったりすることもあるそうです。反抗期の子どもに対しては「ああ、来た来た!」と思ってしっかり受け止めてあげて欲しいと岡田先生は話されました。
「反抗期の子どもに対しては親の方が一枚上手のつもりでいること、同じレベルで張り合わないことです。前の晩に喧嘩をして口をきかなかったとしても、次の日には何事もなかったように振る舞ってあげてください。子どもも悪態をついたことに対して後ろめたい気持ちを持っているはずですから」(岡田先生)
反抗期の大変な時期は1年半かせいぜい2年。反抗を小出しにするとむしろ長引きます。一時期のものだと思ってうまく乗り越えて、と岡田先生はアドバイスされます。
良い親子関係が出来ていれば反抗期でも子どもは親から離れません。本当に困った時には親を頼ってきます。悪態をつきながらもご飯はペロリと平らげる姿を見れば愛おしい気持ちが蘇るのではないでしょうか。
子どもの成長の一つの過程である反抗期を経験して、親としても一回り大きくなれそうです。
岡田先生の『うまく乗り越えられる』との言葉に胸をなでおろすや否や、すぐに次の言葉。
「子ども時代に良い体験が出来ていれば、そのあと、ものすごく大きな反抗期が来るかも知れません」
ものすごく大きな反抗期とは・・・正直、ショックを受けます。
親にとって反抗期はとてもしんどい時期です。これまで和やかだった親子関係はどこへやら、口を開けば「うるさい」「分かってる」「うざい」と心が折れそうな言葉のオンパレード。口を開かなければ安心と言うわけでもなく、不機嫌そうにしていたり口をきかなかったり、どうしてこんなことになってしまうのだろうとこれまでの子育てを振り返り、溜息がでることもしばしばです。
しかし、このような子どもの反応は正常なことだと岡田先生は言います。反抗期がしんどいのは、これまでちゃんと子育てできてきた証拠だそうです。
「親に対して反抗できるのは、親と子の信頼関係がしっかり出来上がっているからです。関係が出来ていなければ、親への反抗は出来ません。子どもの頃から楽しい体験をたくさん重ね、良い関係を作っておくことでしっかりと反抗期を迎えられるのです」
反抗期らしい反抗が家で見られない場合には、外で問題行動を起こしたり、異性に目を向けるようになったりすることもあるそうです。反抗期の子どもに対しては「ああ、来た来た!」と思ってしっかり受け止めてあげて欲しいと岡田先生は話されました。
「反抗期の子どもに対しては親の方が一枚上手のつもりでいること、同じレベルで張り合わないことです。前の晩に喧嘩をして口をきかなかったとしても、次の日には何事もなかったように振る舞ってあげてください。子どもも悪態をついたことに対して後ろめたい気持ちを持っているはずですから」(岡田先生)
反抗期の大変な時期は1年半かせいぜい2年。反抗を小出しにするとむしろ長引きます。一時期のものだと思ってうまく乗り越えて、と岡田先生はアドバイスされます。
良い親子関係が出来ていれば反抗期でも子どもは親から離れません。本当に困った時には親を頼ってきます。悪態をつきながらもご飯はペロリと平らげる姿を見れば愛おしい気持ちが蘇るのではないでしょうか。
子どもの成長の一つの過程である反抗期を経験して、親としても一回り大きくなれそうです。
- 広島県臨床心理士会副会長
臨床心理士 岡田 幸彦(おかだ ゆきひこ)先生