2019年4月3日(水)
【素朴な疑問シリーズ】Q.子どもにとって理想の睡眠時間は?
◆小学生に必要な睡眠時間は9~11時間。夜8時頃に寝て朝6時頃に起きるのが理想です。◆しかし、睡眠時間の足りない子どもが多くいるといわれています。◆睡眠不足が続くと、「集中力が維持できない」「情緒不安定になりやすい」「身長・体重が増えにくくなる」「風邪をひきやすくなる」「生活習慣病につながる恐れがある」など、様々な心配事が生じます。また、成長期の脳の発達にも悪い影響を及ぼす可能性があります。◆お子さんの心身の健やかな成長のために、早寝&早起きを心がけましょう。
●スマホやゲームは、寝る時間の1~2時間前まで。
◆学校の始業時間は決まっており、睡眠時間を確保するには、寝る時間を早くするしかありません。一度身についた習慣を変えるのは難しいことですが、時間がかかっても改善するように努めましょう。◆就寝前のスマホやゲームは、脳が興奮状態になってしまい、すぐに眠れません。スマホやゲームは、遅くとも寝る時間の1〜2時間前までを心がけましょう。◆また、身長の伸びに重要な役割をはたす成長ホルモンは、夜10時~2時に最も多く分泌されるといわれています。その時間に睡眠することで成長ホルモンをしっかり分泌させることが重要です。◆朝起きたらカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。このことで朝から気持ちよく活動できます。
以下に、他の年齢のお子さんの睡眠についてもまとめてみました。
[中学生]
◆必要な睡眠時間は8〜10時間。しかし、日本の中学生は世界で最も睡眠時間が短いといわれています。◆反抗期や二次性徴もあり、心身ともに不安定な状態であるとともに、スマホなどを使用する人も増えてきます。親子関係や家庭環境が改善すると、自然にスマホなどのメディアから離れる傾向が見られます。家庭でルールを決めて、温かい家庭環境をつくることがまずは重要です。◆「朝起きられない」「立ちくらみがある」「顔色が悪い」などの症状がある場合、「起立性調節障害」を合併していることがあります。そのため学校に行けない子どももいます。その場合サボっているわけではないのですが、周りからの理解が得られないとますます追い込まれてしまいます。◆小児科に受診すると「起立性調節障害」やその他の病気を鑑別します。生活指導とともに薬物療法を行うこともあります。その場合の薬物療法は睡眠薬ではありません。「眠れない」「調子が悪い」などの症状がある時には、小児科を受診してみてください。
[3~5歳]
◆必要な睡眠時間は10〜13時間。保育園や幼稚園での刺激が多くなり、早く寝られるようになることが多いですが、ご両親の生活リズムによっては夕食やお風呂が遅くなりがちです。夜型の幼児は発達障害や情緒障害の報告がされており、遅くとも夜9時頃には寝たいところです。また、ゲームやメディアのコントロールは重要で、時間を決めて夕食後はなるべくさせないようにしてください。
[1~2歳]
◆必要な睡眠時間は11~14時間。昼寝を1~2回する時期ですので、昼寝の時間を決めてあげましょう。◆午前中はしっかりと遊ばせて、昼食後に昼寝を始めましょう。夜間の睡眠時間にもよりますが、1~2時間を目安にしたらいいでしょう。3時頃には昼寝を切り上げて夜の睡眠のために体を動かしたいところです。◆2歳になると昼寝をしたがらなかったり、短時間で起きてしまったりする日があるかもしれませんが、夜中に起きることがなければ問題はありません。個人差も大きくなり、周りの子どもと昼寝の時間が違って焦る気持ちが出てくることがありますが、成長の仕方は子どもによって違いがありますので、大丈夫です。生活リズムをつくり、睡眠の妨げになるようなことはないか注意してみましょう。
[生後7ヶ月~1歳頃]
◆必要な睡眠時間は11〜13時間。夜にまとまって寝る時間が長くなります。昼にしっかり遊び、運動させてあげましょう。◆この頃から夜泣きや寝ぐずりが目立つようになることがあります。原因ははっきりわかっていませんが、1歳前後におさまることが多く、環境調整(昼は遊び、夜は静かにするなど)を行いながら付き合って行きましょう。◆また、この頃の鼻づまりによる口呼吸、いびき、呼吸を数秒やめてしまうことなどは、睡眠障害を引き起こす呼吸状態といわれており、4歳時、7歳時の行動障害のリスクと関連があるとの報告があります(PEDIATRICS Volume 129, Number 4, April 2012)。鼻やのどに問題があることがありますので、小児科で相談してみてください。
[生後2ヶ月~6ヶ月頃]
◆必要な睡眠時間は13〜15時間。生後3ヶ月頃にかけて、昼夜の区別が少しずつつくようになり、1回に起きている時間が長くなってきます。夜にまとまって6時間以上眠る赤ちゃんもいます。◆授乳間隔が開いてしまうことがあり、「起こして飲ませた方が良いのでしょうか?」と時々聞かれますが、わざわざ起こす必要はありません。朝は明るく、夜は暗く、静かな環境を心がけ、生活リズムを整えましょう。
[新生児~生後1ヶ月頃]
◆必要な睡眠時間は16〜18時間。1回に寝る時間はバラバラで、2~3時間おきに目を覚ますことが多いです。昼夜の区別は基本的にありません。◆ちなみに、本来お母さんのお腹にいる時期に生まれた早産の赤ちゃんが入院するNICU(新生児集中治療室)における照明のあり方も変わってきました。以前は24時間明るくしていましたが、お母さんのお腹の中はずっと暗い環境であることから、近年は保育器を布で覆って暗くするようになりました。また、明るくしたり暗くしたりサイクルを作った方が良いともいわれています。
◆必要な睡眠時間は8〜10時間。しかし、日本の中学生は世界で最も睡眠時間が短いといわれています。◆反抗期や二次性徴もあり、心身ともに不安定な状態であるとともに、スマホなどを使用する人も増えてきます。親子関係や家庭環境が改善すると、自然にスマホなどのメディアから離れる傾向が見られます。家庭でルールを決めて、温かい家庭環境をつくることがまずは重要です。◆「朝起きられない」「立ちくらみがある」「顔色が悪い」などの症状がある場合、「起立性調節障害」を合併していることがあります。そのため学校に行けない子どももいます。その場合サボっているわけではないのですが、周りからの理解が得られないとますます追い込まれてしまいます。◆小児科に受診すると「起立性調節障害」やその他の病気を鑑別します。生活指導とともに薬物療法を行うこともあります。その場合の薬物療法は睡眠薬ではありません。「眠れない」「調子が悪い」などの症状がある時には、小児科を受診してみてください。
[3~5歳]
◆必要な睡眠時間は10〜13時間。保育園や幼稚園での刺激が多くなり、早く寝られるようになることが多いですが、ご両親の生活リズムによっては夕食やお風呂が遅くなりがちです。夜型の幼児は発達障害や情緒障害の報告がされており、遅くとも夜9時頃には寝たいところです。また、ゲームやメディアのコントロールは重要で、時間を決めて夕食後はなるべくさせないようにしてください。
[1~2歳]
◆必要な睡眠時間は11~14時間。昼寝を1~2回する時期ですので、昼寝の時間を決めてあげましょう。◆午前中はしっかりと遊ばせて、昼食後に昼寝を始めましょう。夜間の睡眠時間にもよりますが、1~2時間を目安にしたらいいでしょう。3時頃には昼寝を切り上げて夜の睡眠のために体を動かしたいところです。◆2歳になると昼寝をしたがらなかったり、短時間で起きてしまったりする日があるかもしれませんが、夜中に起きることがなければ問題はありません。個人差も大きくなり、周りの子どもと昼寝の時間が違って焦る気持ちが出てくることがありますが、成長の仕方は子どもによって違いがありますので、大丈夫です。生活リズムをつくり、睡眠の妨げになるようなことはないか注意してみましょう。
[生後7ヶ月~1歳頃]
◆必要な睡眠時間は11〜13時間。夜にまとまって寝る時間が長くなります。昼にしっかり遊び、運動させてあげましょう。◆この頃から夜泣きや寝ぐずりが目立つようになることがあります。原因ははっきりわかっていませんが、1歳前後におさまることが多く、環境調整(昼は遊び、夜は静かにするなど)を行いながら付き合って行きましょう。◆また、この頃の鼻づまりによる口呼吸、いびき、呼吸を数秒やめてしまうことなどは、睡眠障害を引き起こす呼吸状態といわれており、4歳時、7歳時の行動障害のリスクと関連があるとの報告があります(PEDIATRICS Volume 129, Number 4, April 2012)。鼻やのどに問題があることがありますので、小児科で相談してみてください。
[生後2ヶ月~6ヶ月頃]
◆必要な睡眠時間は13〜15時間。生後3ヶ月頃にかけて、昼夜の区別が少しずつつくようになり、1回に起きている時間が長くなってきます。夜にまとまって6時間以上眠る赤ちゃんもいます。◆授乳間隔が開いてしまうことがあり、「起こして飲ませた方が良いのでしょうか?」と時々聞かれますが、わざわざ起こす必要はありません。朝は明るく、夜は暗く、静かな環境を心がけ、生活リズムを整えましょう。
[新生児~生後1ヶ月頃]
◆必要な睡眠時間は16〜18時間。1回に寝る時間はバラバラで、2~3時間おきに目を覚ますことが多いです。昼夜の区別は基本的にありません。◆ちなみに、本来お母さんのお腹にいる時期に生まれた早産の赤ちゃんが入院するNICU(新生児集中治療室)における照明のあり方も変わってきました。以前は24時間明るくしていましたが、お母さんのお腹の中はずっと暗い環境であることから、近年は保育器を布で覆って暗くするようになりました。また、明るくしたり暗くしたりサイクルを作った方が良いともいわれています。
「寝る子は育つ」は、本当です。
以上の内容に注意して、
お子さん一人ひとりの「睡眠の質」をあげましょう。
- 木原裕貴(きはら・ひろたか)先生
JA尾道総合病院
小児科主任部長/集中治療(新生児)主任部長 - ◆日本小児科学会
小児科専門医・指導医
◆日本周産期・新生児医学会
周産期専門医(新生児)指導医
◆日本周産期・新生児医学会
新生児蘇生法「専門」コース(Aコース)インストラクター