2019年8月6日(火)
【素朴な疑問シリーズ】Q.虫さされでとびひになるってホント?
●「とびひ」とは?
◆「とびひ」は俗名で、正式病名は「伝染性膿痂疹」といいます。皮膚に常在するブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌が原因となる皮膚の感染症です。
◆「伝染性膿痂疹」の“伝染性”という言葉からも分かるように、接触によってうつります。火事の飛び火のようにあっと言う間に広がるため、たとえて「とびひ」と言われています。
◆鼻腔や指爪の下には原因となる菌が定着していることが多く、あせも・虫刺され・湿疹などをひっかいたり、転んでできた傷に二次感染を起こすことで生じます。
◆治療の基本は、抗菌薬の外用ないし、内服となります。病変の範囲が狭い場合には外用のみで改善を目指せますが、範囲が広い場合は内服まで必要です。
●「とびひ」の予防は?
◆一番の予防方法は入浴で、皮膚を清潔に保つようにします。
◆「とびひ」となってしまった後も、発熱などの全身症状がない限り入浴し、泡立てた石鹸で病変部をやさしく丁寧に洗い流します。
◆ただし、兄弟姉妹がいる場合は、他の子たちに感染してしまうおそれがあるため、最後に入浴するようにします。
◆入浴後は、滲出液などが周囲に接触しないように、患部に軟膏の外用、ガーゼなどの保護処置が必要です。
◆また、鼻の孔の中は細菌の温床となっているため、鼻孔に指を突っ込まないように注意が必要です。
◆その他、手洗いの励行、爪を短く切り、かきむしって皮膚に傷がつきにくいよにします。
●登校やプールはいつから?
◆「とびひ」は学校保健安全法の中で“学校感染症、第三種(その他の感染症)”として扱われます。
◆ほかの園児・学童にうつす可能性があるため、基本的には、医師にみてもらって、治療して、病変部をガーゼや包帯できちんと覆って露出していなければ、登校・登園は可能です。
◆プールに入っていいかは、日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会が共同で統一見解を出しています。プールの水でうつることはありませんが、触れることで自分の病変を悪化させたり、他人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は完全に治るまでは禁止となっています。
- 野本 佳葉子(のもと・かよこ)先生
<span style="color:#FF0000;font-size:1.125em;font-weight:bold;">JA尾道総合病院
皮膚科副部長</span> - ◆日本皮膚科学会専門医