2019年12月10日(火)
【素朴な疑問シリーズ】Q.子どもが頭をぶつけてしまいました…。
◆「遊んでいる時にテーブルの角で頭をぶつけてしまった」「目を離した隙にベッドから落ちてしまった」など、子どもは様々な状況で頭をぶつけることがあります。子どもは体の割に頭が大きく、転んだ時に手が出なかったりするので、頭をぶつけてしまう機会が多いです。
●病院を受診するのはどんな時?
◆頭を打った直後、多くのお子さんは泣きやまないので、保護者の方は戸惑うことが多いと思います。しかし、しばらくして泣き止み、普段通りに遊んだり食事ができるようになれば大丈夫です。
◆以下の場合は、すぐに病院を受診しましょう
◆これらが当てはまる場合は、頭蓋骨が骨折していたり、頭の中で出血している可能性があるので、遠慮なく医療機関を受診してください。
◆受傷後1~3時間で上記のような症状が出現することが多いので、最初の1~3時間は特に注意して観察するようにしてください。
◆時間が経過するにつれて、危険性は低くなってきますが、まれに受傷後6~7時間で突然意識障害やけいれんを起こして重篤な症状が出現することもあるので経過観察は続けてください。
※1 吐き気や嘔吐は、軽症の場合でも認めることがあります。1~2回の吐き気・嘔吐のみの症状であれば、自宅で経過を観察しても大丈夫です。3回以上繰り返す場合、吐き気・嘔吐は1~2回しか見られないが、意識消失や激しい頭痛を伴う場合は、詳しい検査が必要になることがあるので受診してください。
●精密検査を受けた方がいい?
◆上記の症状が当てはまる場合、CT検査が必要となることがあります。CTは速くて正確な検査ですが、被ばくのリスクがあります。
◆CT検査の被ばくリスクを胸のレントゲン検査に換算すると100~200枚程度になります。
◆被ばく量としてはわずかですが、何度もCT検査を行うことで発がんのリスクが高くなるという研究報告があります。
◆検査を行うかは、受診時のお子さんの様子や頭をぶつけた状況から総合的に判断していきます。危険性が高いと判断した場合は積極的に検査を勧めることになりますし、上記の症状が当てはまっても医師が軽症と判断した場合は、検査をするか家族と相談することになります。
◆以上、子どもが頭をぶつけた時の対処法を簡単にまとめました。上記の内容に注意して、お子さんの健康を守りましょう。
- 武内香菜子(たけうち・かなこ)先生 <span style="color:#FF0000;font-size:1.125em;font-weight:bold;">JA尾道総合病院<br>小児科医師</span>