2020年3月5日(木)
【素朴な疑問シリーズ】Q.子どもも、花粉症になるのでしょうか?
近年、アレルギーの低年齢化が進み、小児期の花粉症は増加しています。
▷ 毎年、ある決まった季節になると、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・眼の痒みなどの症状が出現する場合、花粉症の可能性があります。診断には医師による詳細な問診と検査が必要になります。
○花粉症は、“感作”の後に“発症”します。
▷ 花粉を吸い込んでいくうちに、体内でアレルギー反応を起こす準備が行われます。これを“感作”といいます。さらに感作が進むと、その花粉に対してアレルギー症状が起こるようになります。こうして花粉症が“発症”します。
▷ 日本で最も多い花粉症は、2~4月に多く飛散するスギ花粉によるものです。スギ花粉への感作は2歳頃から始まり、5~6歳になると半数以上のお子さんが感作されているとの報告があります。
▷ できるだけ花粉を吸いこまないよう心がけましょう! 花粉症の発症予防に、また発症した場合にも症状の悪化を防ぐために大切です。以下のようなことに気をつけましょう。
○花粉症かなと思ったら・・・
花粉症を疑う症状がある場合は受診し、きちんとした診断・治療を受けることをおすすめします。
▷ 花粉症の辛い症状は、イライラ感や睡眠障害を引き起こし、集中力や思考力に影響を及ぼすことが分かっています。長期的な視点からも、お子さまのアレルギー症状を抑えることは大切です。
Q. 花粉症の治療は?
▷ 症状が出たらすぐに治療を開始することが大切です。内服薬・点鼻薬・点眼薬などあります。
▷ 例年、症状がひどい場合は、花粉飛散予測日の1週間前から治療を開始するのがおすすめです。花粉飛散ピーク時の症状を和らげる効果があります。
▷ お薬の選択や治療の開始時期については専門の医師にご相談ください。どんな症状がどの程度あるか、服薬により眠気などの副作用は出やすいかなど、お子さんに合わせた薬剤を選びます。効果発現までに時間がかかる薬剤、即効性を期待できる薬剤など、時期も考慮して選択します。
▷ お薬の選択や治療の開始時期については専門の医師にご相談ください。どんな症状がどの程度あるか、服薬により眠気などの副作用は出やすいかなど、お子さんに合わせた薬剤を選びます。効果発現までに時間がかかる薬剤、即効性を期待できる薬剤など、時期も考慮して選択します。
Q. 花粉症の根本治療はありますか?
スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法があります。
▷ 治癒または長期にわたり症状を抑えることが期待できる唯一の治療です。アレルギーの原因であるスギ花粉を少量ずつ継続して投与することで、体をスギ花粉に慣らし、体質改善を期待できる治療法です。
▷ 従来は、通院して注射を受けるという治療方法しかありませんでしたが、最近では舌下免疫療法の登場により、自宅での治療が可能になりました。
▷舌下免疫療法を開始するタイミングはスギ花粉の飛散がない時期で、おおよそ6~12月です。治療開始後、初めてのスギ花粉飛散シーズンから効果を実感できる人もいます。体質改善には3~5年の治療が効果的とされています。
▷比較的多い副反応としては、投与部位である口腔内の腫れ・痒みなどの軽い症状があります。これらの症状は投与開始初期に多く、数日以内に自然におさまる場合もあれば、投与量の調整や、抗ヒスタミン薬などの併用が必要な場合もあります。医師と相談しながら治療をすすめていきます。(全身性の強い症状を認め調整が困難な場合には治療を中断することもあります。)
Q. 花粉症を発症した後、注意することはありますか?
「気管支喘息」「花粉-食物アレルギー症候群」などの合併症に注意が必要です。
▷ 花粉症と「気管支喘息」は高率に合併します。花粉症の鼻炎症状が起こる場所(上気道)と喘息の起こる場所(下気道)は連続しています。鼻炎の治療が「気管支喘息」の発症予防につながるともいわれています。また、すでに「気管支喘息」を発症している場合には、花粉症の増悪により喘息症状も悪化することがしばしば経験されます。しっかり治療しましょう。
▷「花粉-食物アレルギー症候群」とは、花粉症の原因物質と似た物質を含む果物や野菜を摂取することにより、口腔の過敏症状(かゆみやイガイガ感・腫脹など)が起きることをいいます。多くは軽微な口腔症状のみで終わりますが、進行すると症状が全身に拡がる場合があります。稀にアナフィラキシーショックという重篤な状態に至ることもあります。現在の症状が軽微であっても、原因食物は可能な限り摂取しないよう気をつけましょう。
【参考文献】楠隆 他:アレルギー48:1166-1171,1999
- 岡田 千鶴(おかだ ちづる)先生
<span style="color:#FF0000;font-size:1.125em;font-weight:bold;">広島中央通りこどもクリニック 院長
日本小児科学会 小児科専門医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(小児科)</span> - 広島中央通りこどもクリニック
広島県広島市中区三川町7-1-3F
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