2020年7月2日(木)
【素朴な疑問シリーズ】Q.カンピロバクター食中毒って、どんな病気?
「カンピロバクター食中毒」は、細菌が食物を介して感染し、腸炎などを引き起こす食中毒です。ノロウイルスやロタウイルスなどによる「ウイルス性腸炎」は水分管理がしっかりできればほとんどが数日で自然に治りますが、カンピロバクターなどによる「細菌性腸炎」の多くは2~4日の潜伏期を経て発症し、発熱・吐き気・下痢などの症状の後、強い腹痛と水っぽい下痢が何日も続く傾向があります。血便を伴うことも珍しくありません。
●カンピロバクターとは?
カンピロバクターは、家畜・ペット・野鳥・野生動物など多くの動物が保菌しています。特に鶏が体内に持っていると言われ、生の状態や加熱不足の鶏肉、調理中の取扱い不備による二次汚染等が強く示唆されています。国内で発生した「カンピロバクター食中毒」のうち、原因食品として鶏肉が疑われるもの(鶏レバーやささみなどの刺身、鶏肉のタタキ、鶏わさなどの半生製品、加熱不足の調理品など)が認められています。
●カンピロバクター食中毒の予防方法は?
カンピロバクターは熱に弱いので、子どもに鶏肉を与える場合は、生食は絶対に避け、くれぐれも加熱調理を十分に行ってください。卵にもカンピロバクターやサルモネラ菌が潜む場合があり、生食はお勧めしません。鶏肉の調理の後は、手を洗剤でよく洗いましょう。まな板、包丁、台ふき、菜ばしなどにも菌が付着していますので、熱湯で洗い流すようにしましょう。
❶食肉を十分に加熱調理(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)すること
❷食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行うこと
❸食肉を取り扱った後は、十分に手を洗ってから他の食品を取り扱うこと
❹食肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うこと
●カンピロバクター食中毒の症状は?
下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の「感染型細菌性食中毒」と酷似します。多くの患者は1週間ほどで治癒します。死亡例や重篤例はまれですが、乳幼児・高齢者、その他抵抗力の弱い方では重症化する危険性もあり、注意が必要です。また、潜伏時間が一般に1~7日間とやや長いことが特徴です。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。
●カンピロバクター食中毒の治療方法は?
治療の基本は、安静にすることと塩分を含む水分をしっかり取ることです。医療機関を受診して、必要があれば有効な抗生剤の投与を受けてください。
- 【監修】堂面政俊先生 <span style="color:#FF0000;font-size:1em;font-weight:bold;">堂面醫院 院長</span>
- ◆小児科専門医
◆麻酔科標榜医
◆認定産業医
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<経歴>
国立大阪南病院麻酔科(厚生省職員)
近畿大学医学部麻酔科学教室
(麻酔・ICU・ペインクリニック・大学教員)
広島大学医学部小児科学教室(一般小児科・小児ICU)
労働福祉事業団中国労災病院(NICU・小児科・救急部)
広島市立舟入病院(小児科)
公立世羅中央病院(小児科・内科・外科・脳外科ほか全科救急)
2002年より堂面醫院継承
◎厚生労働省「カンピロバクター食中毒予防について」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html)を加工して作成。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126281.html)を加工して作成。