2020年12月2日(水)
【素朴な疑問シリーズ】Q.小学生でも「百日咳」になるんですか?
「百日咳」は百日咳菌が気道に感染して生じます。ここ数年、全国的に思春期・成人の「百日咳」の流行が知られており、注意が必要です。ワクチンを接種スケジュール通りに終わった子どもは、感染しても発症しないか重症化予防が期待できます。一方、ワクチン接種をしていない子どもは「百日咳」にかかってしまい、乳幼児が発症してしまうと大変な病気です。また、ワクチンの効果が薄れる小学校高学年の児童や中学生以上の子どもも「百日咳」にかかってしまうことがあります。
●百日咳の予防方法は?
有効なのは、ワクチン接種による予防です。標準的に、生後3カ月から接種を始める4種混合ワクチンには百日咳ワクチンが含まれています。ワクチン接種により、「百日咳」の罹患リスクを80~85%程度減らすことができると報告されています。定期の予防接種は、各市町村が実施主体となっていますので、お住まいの市町村での実施方法など、詳細については、お住まいの市町村の予防接種担当課にお問い合わせください。
●百日咳の症状は?
潜伏期は10日前後。症状は咳や鼻水で始まり、通常、発熱はありません。軽い咳が1~2週間続いた後、次第に咳が激しくなり、2~6週続きます。息を吸う間もなくコンコン咳込み、慌ててヒーと息を吸うような発作を何度も繰り返します。その後、徐々に咳は軽くなりますが、治るまで軽症でも1カ月以上かかります。咳が長く続くので、「百日咳」と言われています。適切な治療をすれば順調に回復し、呼吸器の後遺症はまれです。ただし、心配なのは、2カ月までの乳児です。典型的な経過をたどらず、無呼吸、全身が青紫色になってしまうチアノーゼ、けいれん、嘔吐、直腸脱などの症状が生じることがあります。8割が重症化して入院治療が必要になり、注意が必要です。
百日咳の治療方法は?
エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質が使用されます。抗生物質は早期に投与した方が、治療効果がより高いことが知られています。
- 【監修】堂面政俊先生 堂面醫院 院長
- ◆小児科専門医
◆麻酔科標榜医
◆認定産業医
<経歴>
国立大阪南病院麻酔科(厚生省職員)
近畿大学医学部麻酔科学教室
(麻酔・ICU・ペインクリニック・大学教員)
広島大学医学部小児科学教室(一般小児科・小児ICU)
労働福祉事業団中国労災病院(NICU・小児科・救急部)
広島市立舟入病院(小児科)
公立世羅中央病院(小児科・内科・外科・脳外科ほか全科救急)
2002年より堂面醫院継承
◎厚生労働省「百日せき」
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_
iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/whooping_cough/index.html)を加工して作成。
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_
iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/whooping_cough/index.html)を加工して作成。