2021年3月3日(水)
【素朴な疑問シリーズ】Q.野球を頑張り過ぎて、肩が痛いようです…。
小学生高学年から中学生の成長期に、野球など投球を行うスポーツで生じる肩痛の原因の1つ「リトルリーグ肩」(上腕骨近位骨端線損傷)かもしれません。成長期の骨には、骨端線という骨が成長する軟骨部があります。特に急激に骨が伸びる時期は、軟骨部の結合が弱くなります。そんな成長期に繰り返し投球動作をすることで、軟骨部が離開して痛みを生じます。1球の全力投球や遠投などで急に痛くなる場合もあります。肩をひねる動作で痛みを訴え、同時に圧痛を認めます。日常生活には支障がないことが多く、見かけ上は肩の可動域制限もありません。診断は、X線検査により判ります。今後の成長に影響を及ぼすことも考えられるので、早期に専門医の診断を受けましょう。
●リトルリーグ肩の治療方法は?
❶投球を休止します。(1~3カ月間)
❷背骨や股関節などの柔軟性が低下していることが多くみられるので、投球休止中にしっかりストレッチを行います。ただし、肩の痛みが強くなるようなストレッチは避けましょう。
※投球休止が守れず、痛みを我慢しながら投げ続けていると再発したり、まれに骨端線で骨がずれたりすることがあります。
●スポーツ復帰は?
ほとんどの場合、投球休止により痛みはとれ、投球が可能となります。
上腕骨近位部に圧痛がなくなり、X線検査で開大していた骨端線が狭小化、シャドウピッチングでも痛みがなければ投球を再開します。
- 【監修】佐々木和明先生
<span style="color:#FF0000;font-size:1.125em;font-weight:bold;">佐々木外科整形外科医院 院長</span> - <div style="font-size:0.875em;">◆日本整形外科学会 整形外科専門医
<a href="https://www.ortho-sasaki1962.jp/page1" target="_blank">https://www.ortho-sasaki1962.jp/page1</a>
<経歴>
平成3年3月 昭和大学医学部卒業
平成3年4月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成4年7月 東京都立広尾病院 整形外科勤務
平成5年7月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成7年7月 関東逓信病院
(現NTT東日本関東病院)整形外科勤務
平成10年7月 鉄蕉会亀田総合病院(千葉県鴨川市)勤務
平成11年9月 同上(亀田メディカルセンター)整形外科医長
平成16年10月 佐々木外科医院 副医院長
平成23年4月 広島大学病院 整形外科非常勤医
平成23年4月 佐々木外科整形外科医院(名称変更)副院長
平成29年4月 院長として継承新規開院
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◎一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ リトルリーグ肩」
(http://www.jossm.or.jp/series/flie/s28.pdf)を加工して作成。