健康基礎知識

【素朴な疑問シリーズ】近視の子どもが急増しているってホント?



小学生の近視が過去最多!
小学生の3人に1人が視力1.0以下。


子どもの「近視」は、増えているだけではなく、低年齢化も進んでいます。文部科学省の「2019年度(令和元年度)学校保健統計調査(速報値)」によると、小学生の「裸眼視力1.0未満」の割合は34.57%、「裸眼視力0.3未満」の割合は9.38%で、いずれも過去最多を記録。そのほとんどが「近視」で、「近視」の発症年齢の低下が問題になっています。小学校では2020年度より「プログラミング教育」が必修化され、パソコンやタブレットなどデジタルデバイスに触れる機会はますます増加。子どもたちの目の酷使が心配されています。子どもの目のトラブルについて、大人たちが正しい知識を身に付け、ケアすることが大切です。
 

 


Q1.目の使い過ぎが原因ですか?

「近視」の原因はまだよくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境的な要素が複雑にからんで「近視」になると考えられています。ですから、同じようにマンガやテレビやゲームに熱中しても、「近視」になる子とならない子がいるわけで、目を使い過ぎると必ず「近視」になるとは限りません。

しかし、子どもたちをとりまく文明化された環境が、「近視」の発生を促しているのは事実のようです。実際のところ、「近視」は、都市型の近代国家に多いのが特徴です。文明社会では毎日の生活が近業(近くを見る作業)中心になるために「近視」が増えるといわれ、日本も「学校近視」(学齢期の近視)が増加しています。

 

 


Q2.親が近視だと子どもも近視になりますか?

メガネで矯正できないくらい強い「近視」は遺伝に左右されるといえますが、「近視」の大部分は遺伝的な要素が関係しているという程度にすぎません。むしろ環境が与える影響が大きいという説もあって、親が「近視」だから子どもが必ず「近視」になるとは限りません。

 

 


Q3.近視になりやすい環境とは、どんな環境ですか?

近業(近くを見る作業)が多い生活環境だと、「近視」になりやすいことは確かなようです。勉強、読書、テレビ、コンピューターゲーム、プラモデルなど、現代っ子は近業中心の生活を送っています。「近視」を予防するには、目に負担のかからない生活を送ることが大切です。

 

 


Q4.病的近視とはどんな近視ですか?

「近視」は、「単純近視」と「病的近視」に大きく分けられます。「単純近視」は近視の度が比較的軽く、メガネで正常の視力まで矯正できます。遺伝や近業などの環療が複雑に影響していると考えられ、病的なものではありません。「学校近視」の大部分は単純近視ですから心配しないでください。「病的近視」は、眼底の萎縮や硝子体の変化などの合併症があり、眼軸の長さが異常に長くて「近視」の度が強く、メガネをかけてもあまり良く見えるようになりません。幼児の時から始まるのが普通です。
 

 
【監修】白根 雅子先生 医療法人しらね眼科 院長
【資格等】
医学博士、日本眼科学会専門医

【役職】
公益社団法人日本眼科医会 会長
広島県眼科医会 顧問(前会長)

【所属学会】
日本眼科学会
AAO(American Academy of Ophthalmology):
Active member
日本眼科手術学会
日本緑内障学会
日本網膜硝子体学会
日本ロービジョン学会
日本小児眼科学会・日本弱視斜視学会
日本眼科AI学会

<経歴>
1983年 3月 広島大学医学部卒業
2013年 5月 広島大学医学部大学院卒業

1983年 3月 広島大学医学部 眼科学教室 入局
1985年 4月 カナダ トロント大学・眼科学教室留学
       Toronto General Hospitalにて
Clinical fellow
1987年 8月 JR広島病院眼科部長
1993年10月 医療法人しらね眼科 理事長兼院長
2008年 4月 広島市総合リハビリテーションセンター病院眼科
非常勤医師兼務


◎公益社団法人 日本眼科医会「子供が近視といわれたら」

(https://www.gankaikai.or.jp/health/39/)および

  公益社団法人 日本眼科医会「気をつけよう!子どもの近視」

(https://www.gankaikai.or.jp/health/57/)を加工して作成。

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