2021年12月2日(木)
【素朴な疑問シリーズ】テクノストレス眼症って、どんな病気?
Q1.症状は、目だけに限らないと聞きました。
「テクノストレス眼症」は、IT機器を長時間あるいは不適切に使用することによって生じる目の病気、およびその状態が誘引となって発症する全身症状(疲労)をいいます。主な症状は目の疲れ、つまり眼精疲労です。「像がぼやけて見にくい」「ものが二重に見えて困る」「目のまわりが痛い」「目が重い」「こめかみが痛い」「目があけられない」「頭が重い」「吐き気がする」などの症状はすべて眼精疲労によるものです。また、「目が乾く」という症状もよく見られます。これは画面を見ている時に瞬きの回数が減り、目の表面にある角膜が涙で潤わなくなるために起こる症状です。目の乾燥感とともに痛みも伴います。白い結膜が充血しているのも特徴です。さらに、これらの肉体的な症状だけでなく、精神的ストレスも問題視されています。
Q2.ゲームのし過ぎで、目がよく充血しています。
瞬きの回数は、1分間に通常15~20回位です。しかし、ゲームに夢中になっていると、1分以上もまったく瞬きをしないことがあります。特に子どもは角膜を覆っている涙の膜がしっかりしているため、2~3分間も瞬きしないでも平気です。しかし、長時間画面に向かっているとやはり目が充血してきて、言葉で訴えなくても、乾燥による角膜障害が起きています。また、長時間、同じ姿勢、同じ距離で画面を見ることによって首の緊張や眼筋の緊張が生じて、身体的緊張にまでつながります。これが長期間続くと、さらに自律神経の失調まで引き起こすことがあります。
Q3.テクノストレス眼症を防ぐには…。
親がIT機器以外のものに興味をもたせる。親が子どもと積極的に話をする。目の異常がないか、年に1度は眼科医の精密検査を受ける。どうしても子どもがIT機器を手放せない場合は、次の3つの「50」を必ず守らせてください。
- 【監修】白根 雅子先生 医療法人しらね眼科 院長
- 【資格等】
医学博士、日本眼科学会専門医
【役職】
公益社団法人日本眼科医会 会長
広島県眼科医会 顧問(前会長)
【所属学会】
日本眼科学会
AAO(American Academy of Ophthalmology):Active member
日本眼科手術学会
日本緑内障学会
日本網膜硝子体学会
日本ロービジョン学会
日本小児眼科学会・日本弱視斜視学会
日本眼科AI学会
<経歴>
1983年 3月 広島大学医学部卒業
2013年 5月 広島大学医学部大学院卒業
1983年 3月 広島大学医学部 眼科学教室 入局
1985年 4月 カナダ トロント大学・眼科学教室留学
Toronto General HospitalにてClinical fellow
1987年 8月 JR広島病院眼科部長
1993年10月 医療法人しらね眼科 理事長兼院長
2008年 4月 広島市総合リハビリテーションセンター病院眼科
非常勤医師兼務
◎公益社団法人 日本眼科医会「子どものIT眼症」
(https://www.gankaikai.or.jp/health/36/)を加工して作成。