2022年2月2日(水)
【素朴な疑問シリーズ】腰の疲労骨折はよくあること?
腰の疲労骨折でよくあるのは、成長期の「腰椎分離症」。一度では骨折がおこらない程度の外力が繰り返し加わった場合に生じる骨折で、スポーツのハードトレーニングによっておこることがほとんどです。体の柔らかい伸び盛りの青少年が、腰椎をそらしたジャンプや腰の回旋を行うことで、腰椎の後方部分に亀裂が入って発症します。
●「腰椎分離症」の症状は?
「腰椎分離症」の初期症状は、運動時の腰痛という形で現れます。運動する時には腰が痛いけれど、普段はなんともないといった程度で、運動を続けていくことも可能です。背中をそらす動作で腰痛が増すのが特徴で、しばしば前かがみも制限されます。しかし、無理をして運動を続けていると、安静時にも痛みが出現するようになります。
●「腰椎分離症」の原因・病態は?
「腰椎の後ろ半分は「椎弓」といってリング状の構造をしています。そのリングの斜め後方は細く弱い部分で、背中をそらす動作やジャンプの着地のような動作で力がかかります。そういう動作が繰り返されると骨に「ひび」(→疲労骨折)が入ってきます。一番下の腰椎(第5腰椎)で好発します。
●「腰椎分離症」の治療方法は?
早期に発見された「腰椎分離症」で、骨が再びつく見込みのある場合は、コルセットを3カ月~5カ月装着して、「ひび」の部位に力がかからないようにします。この間、原因となったスポーツ活動は休止することが原則です。定期的にCTやレントゲン写真をとり、骨癒合の状態を調べます。
●「腰椎分離症」のリハビリテーションは?
「ひび」が入って時間がたった場合、骨が再びつくことは期待できません。痛みのコントロールが治療の目標となります。痛みに対しては痛み止めを使ったりもしますが、筋のバランスをとるための腹筋訓練や背筋、大腿部の筋のストレッチが重要です。骨が再びつく見込みがあるかどうかは、レントゲンやCTなどで判断します。スポーツ復帰の時期は、強い痛みがおさまり次第、腰痛をコントロールしながらになりますが、詳しくは専門医の指示に従ってください。
- 【監修】佐々木和明先生
佐々木外科整形外科医院 院長 ◆日本整形外科学会 整形外科専門医 - <経歴>
平成3年3月 昭和大学医学部卒業
平成3年4月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成4年7月 東京都立広尾病院 整形外科勤務
平成5年7月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成7年7月 関東逓信病院
(現NTT東日本関東病院)整形外科勤務
平成10年7月 鉄蕉会亀田総合病院(千葉県鴨川市)勤務
平成11年9月 同上(亀田メディカルセンター)整形外科医長
平成16年10月 佐々木外科医院 副医院長
平成23年4月 広島大学病院 整形外科非常勤医
平成25年4月 佐々木外科整形外科医院(名称変更)副院長
平成29年6月 院長として継承新規開院
◎一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ 足首の捻挫」
(http://www.jossm.or.jp/series/flie/s02.pdf)を加工して作成。
◎一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ スポーツ外傷の応急処置」
(http://www.jossm.or.jp/series/flie/s03.pdf)を加工して作成。