健康基礎知識

【素朴な疑問シリーズ】歯科健診で「要注意乳歯」と診断されました。


●「要注意乳歯」とは?

永久歯が生えてきても、乳歯がなかなか抜けずに残っていると、歯並びに悪影響を及ぼすこともあり、抜くのか、そのままでよいのかを判断する必要がある乳歯のことです。「むし歯になりかけているので要注意」「抜けかけているので要注意」という意味ではありません。例えば、下の前歯が永久歯に変わる時、乳歯の後ろから永久歯が生えてきても、動いていないような乳歯は「要注意乳歯」です。このような場合は早めに「かかりつけ歯科医」で診てもらい、乳歯を抜くことにより永久歯が本来の位置に生えてくる可能性が高くなります。また、動いている乳歯でも、かむと痛い場合は、早めに「かかりつけ歯科医」へ相談しましょう。

 

Q.歯並びは遺伝するってホント?


●口の中をよく観察しましょう。

私たちのカラダは、両親のDNA(遺伝子)が基礎となっています。そのため、両親のどちらかに似た顔や体格(骨格)になるのと同様、顎の大きさ、口の中も似てきます。 両親のどちらかでも歯並びが悪ければ、子どももそうなる可能性があります。早く気付くことで、重篤化する前に対応できることもあります。子どもの口の中をよく観察してみてください。

 


●歯並び・かみ合わせの異常とは?

◎下顎前突
かみ合わせた時、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている歯並びです。下顎の骨が過剰に大きいといった骨格(遺伝)が原因の場合は、早期に顎の骨の手術を行うことがあります。

 

 
◎上顎前突
上顎の前歯が前方へ突出した歯列の状態をいいます。乳歯列期に見られるときは、指しゃぶりが主な原因です。症状が進むと、顎の骨の成長や次に生えてくる永久歯列にも影響を及ぼすことがあります。
※オーバージェット:上の前歯と下の前歯の前後の位置関係
 

 
◎叢生(そうせい)
歯の大きさに対して顎が小さいために歯並びが悪くなった状態です。永久歯もキレイに並ぶだけのスペースがなく、叢生(そうせい)になる可能性が高くなります。
 

 
◎正中離開
歯並びの正中に空隙があるものをいいます。乳歯列期では2mm程度の正中離開は正常とされ、その隙間はひとまわり大きい永久歯への生え変わりに利用されます。しかし、正中部に厚くなった上唇小帯が正中部の歯のそばにあることや、過剰歯(余分な歯)が埋伏していることなどが原因になることがあります。過剰歯が原因の場合は早期の抜歯が必要になるため、エックス線検査で確認してもらいましょう。
 

 
◎開咬
上下の前歯がかみ合わずに開いた状態です。上顎前突と同様に指しゃぶりがきっかけとなり、舌突出癖などの悪い習慣や口呼吸が原因でかむことや飲み込むこと、発音などの機能に障害を引き起こすため注意が必要です。口呼吸の原因となるアレルギー性鼻炎など、疾患の治療や舌トレーニングによって、軽度な開咬は治ることもありますが、放置すると重症化してしまう可能性があります。
 

 

 

●キレイな歯並びのポイントは、顎の骨の成長。
 硬いものも嫌がらず、よくかんで食べる習慣を。


最近の子どもは、成長期における栄養状態が良いため、体格(骨格)が大きくなっているのと同様に歯も大きくなっているという報告があります。一方、顎の骨はそれほど大きくなっていないことで、歯並びが悪くなりやすい環境になっています。顎の成長のためにも、硬いものも嫌がらず、何でもよくかんで食べるよう心がけましょう。

 

 


 
【監修】広島県歯科医師会


◎広島県歯科衛生連絡協議会「子どもの健全な発育のための歯列咬合マニュアル」

 (https://www.hpda.or.jp/upload/kougou.pdf)および「歯・口の健康診断パネル」

 (https://www.hpda.or.jp/upload/teeth_panel.pdf)を加工して作成。

 

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