2022年10月5日(水)
【素朴な疑問シリーズ】Q.「心因性視力障害」と診断されました。
●「心因性視力障害」とは?
「試験になると答案が見えない」「ピアノの稽古の時に楽譜が見えない」「算数の時間になると黒板の字が読めない」…。目には悪いところがないのに、ストレスが原因で視力が低下したり、近視・遠視・乱視などでメガネをかけても視力が良くならない小学生が増えています。視力0.4~0.6程度の比較的軽い視力障害を示すことが多く、半数以上の子どもは本人が見えないことに気づいていません。学校の定期健康診断でみつかります。発症は7歳~12歳の女児に多く、男児の約2倍と言われています。仮病と思われるかもしれませんが、本人は本当に視力が出ないと思い込んでいることがこの病気の特徴で、決して嘘をついて視力が出ないわけではありません。脳にストレスがかかると、目に見えているはずのものが認識できないことがあります。
●家庭や学校でのストレスが原因かもしれません。
原因は人によって様々です。たとえば、家庭環境の場合、「肉親の死」「両親の不仲、離婚」「親の愛情の差別」「塾通い、お稽古事の負担」「親の過干渉」など。学校関係では、「転校」「クラス替え」「担任の交代」「友人関係」「宿題の負担」など。また、我慢していることをうまく表現できず、ストレスになっていることもあります。なかには、友人や尊敬する先生や両親がメガネをかけていて、メガネに憧れるあまり、視力が低下する子どもも。このメガネ願望の場合、度のないメガネをかけただけで視力が改善することもあります。
●視野が狭くなる人や、暗い場所で見えにくくなる人も。
「心因性視覚障害」の場合、視力が悪いにも関わらず、眼球自体には異常は発見されません。また、視神経や網膜の電気生理学的な検査をしても、異常は見つかりません。ストレスの原因を取り除くことが大切ですが、簡単には解決できないことも多く、学校の担任の先生などと連絡をとりながら、長期的に経過をみることが必要です。まずは、眼球に異常がなくても、何かしらの問題を抱えていることを受け止めてあげましょう。ちょっとした環境の変化ですんなり視力が出るようになることもあります。「心因性視覚障害」の場合、失明することはありません。症状が発見されてから1年以内に視力が改善するものがほとんどです。特に小学生では暗示療法が有効で、3ヵ月以内に70~80%の子どもが、視力1.0まで改善します。心配しすぎないようにしましょう。
●家庭や学校など、周囲の人々の理解と協力が大切です。
「心因性視覚障害」の場合、視力が悪いにも関わらず、眼球自体には異常は発見されません。また、視神経や網膜の電気生理学的な検査をしても、異常は見つかりません。ストレスの原因を取り除くことが大切ですが、簡単には解決できないことも多く、学校の担任の先生などと連絡をとりながら、長期的に経過をみることが必要です。まずは、眼球に異常がなくても、何かしらの問題を抱えていることを受け止めてあげましょう。ちょっとした環境の変化ですんなり視力が出るようになることもあります。「心因性視覚障害」の場合、失明することはありません。症状が発見されてから1年以内に視力が改善するものがほとんどです。特に小学生では暗示療法が有効で、3ヵ月以内に70~80%の子どもが、視力1.0まで改善します。心配しすぎないようにしましょう。
- 【監修】白根 雅子先生 医療法人しらね眼科 院長
- 【資格等】
医学博士、日本眼科学会専門医
【役職】
公益社団法人日本眼科医会 会長
広島県眼科医会 顧問(前会長)
【所属学会】
日本眼科学会
AAO(American Academy of Ophthalmology):Active member
日本眼科手術学会
日本緑内障学会
日本網膜硝子体学会
日本ロービジョン学会
日本小児眼科学会・日本弱視斜視学会
日本眼科AI学会
<経歴>
1983年 3月 広島大学医学部卒業
2013年 5月 広島大学医学部大学院卒業
1983年 3月 広島大学医学部 眼科学教室 入局
1985年 4月 カナダ トロント大学・眼科学教室留学
Toronto General HospitalにてClinical fellow
1987年 8月 JR広島病院眼科部長
1993年10月 医療法人しらね眼科 理事長兼院長
2008年 4月 広島市総合リハビリテーションセンター病院眼科
非常勤医師兼務
◎公益社団法人 日本眼科医会「子どもの目の心身症~心因性視力障害」
(https://www.gankaikai.or.jp/health/32/)および日本弱視斜視学会
「心因性視力障害」(https://www.jasa-web.jp/general/medical-list/visualdefect)を加工して作成。