2023年1月5日(木)
【素朴な疑問シリーズ】Q.野球肘の予防方法を教えてください。
●「野球肘」とは?
野球の投球動作を繰り返して行うことで、肘関節の同じ部分に力がかかり続けます。成長期の子どもは、大人に比べると骨や軟骨が弱いために肘関節の障害が発生しやすいです。投球動作は、下肢・体幹・上肢の一連の動きで成り立っています。下肢や体幹の動きが悪くなると、肘や肩の負担が増え、障害発生の原因となります。特に成長期では、骨成長が筋増大より大きいため、筋腱には張力がかかりやすく、関節の動きが固くなる傾向にあります。「野球肘」には様々な原因がありますが、このような肘への負担増大もその一つです。痛みのある場合は整形外科へ受診してください。
●肘への負担を減らすストレッチ
1.肘のまわりの筋緊張を防ぐ
◎手根屈筋
投球時、手首のスナップを効かせる前腕の筋です。固くなると肘の内側や前腕に痛みを出しやすくなるので、前腕を伸ばすストレッチを運動前後に行いましょう。
◎円回内筋
肘の内側~前方には手関節の動きとは別に前腕を回旋させる筋が走り、硬くなると痛みを起こします。固い部分を圧迫しながら前腕を回旋させ、もみほぐすようにしましょう。
肘の内側~前方には手関節の動きとは別に前腕を回旋させる筋が走り、硬くなると痛みを起こします。固い部分を圧迫しながら前腕を回旋させ、もみほぐすようにしましょう。
2.肘への負担を減らすため他の関節の動きを保つ
◎肩後方のタイトネスをとる
◎体幹の動きを保つ
正座をして頭の後ろに手を組んで上半身を最大限ひねったところで側屈を行い、10秒間保持する。左右ともに行いましょう。
◎股関節の内旋を保つ
- 【監修】佐々木和明先生 佐々木外科整形外科医院 院長
- <経歴>
平成3年3月 昭和大学医学部卒業
平成3年4月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成4年7月 東京都立広尾病院 整形外科勤務
平成5年7月 昭和大学病院 整形外科勤務
平成7年7月 関東逓信病院
(現NTT東日本関東病院)整形外科勤務
平成10年7月 鉄蕉会亀田総合病院(千葉県鴨川市)勤務
平成11年9月 同上(亀田メディカルセンター)整形外科医長
平成16年10月 佐々木外科医院 副医院長
平成23年4月 広島大学病院 整形外科非常勤医
平成25年4月 佐々木外科整形外科医院(名称変更)副院長
平成29年6月 院長として継承新規開院
◎一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会「スポーツ損傷シリーズ
野球肘予防のストレッチ」(http://www.jossm.or.jp/series/flie/s32.pdf)
および「スポーツ損傷シリーズ 成長期の肘障害」
(http://www.jossm.or.jp/series/flie/s18.pdf)を加工して作成。