2019年6月12日(水)
【よくある相談シリーズ】子どものペースにどこまで付き合う?
◆「マイペース」と言うように、人にはそれぞれ自分のペースと言うものがあります。ゆっくりと時間の流れる人、矢のごとく早く流れる人など、人それぞれ。
冷静に考えると「人は人、自分は自分」と割り切れる話ですが、一緒に生活する家族となるとそうはいかないですよね。どちらにも悪気はなく、ただ自分のペースで生活しているだけ、ただそのスピードが違うだけ。子どもたちは私たち大人を怒らせようと、わざとゆっくり動いたり、せわしく動いたりしている訳ではないことをまずは心に留め置いて、自分とペースの合わない子どもたちとどう付き合っていくのか考えてみましょう。
●大人と子どもの違いを整理してみよう!
◆まず子どもたちの特徴から整理してみましょう。子どもたちの脳は、私たち大人に比べまだ未発達。なので、注意・集中を適切に向けたり、コントロールする力もまだまだ未熟です。すぐにしていることから気持ちを切り替えて、次の行動に移すことができないこともあるのです。「今すぐそのゲームを止めて、お片付けをして歯を磨きなさい」なんて、特に自分の好きなことをしている最中だと、切り替えるのは子どもたちにとってとても大変な作業なんです。
◆また、もう1つ、子どもたちの脳の働きで言えば、大人に比べて2つのことを一度にする同時処理が苦手です。例えば、私たち大人は「時間を見ながら支度をする、片付けをする」など、「~しながら~する」2つ以上の事柄をすることができますが、これがまだ難しい子どももいます。「何時だと思ってるの!時計を見ながら支度をしなさい!」子どもには、もしかして「時計を見る」と「支度をする」は、別々に捉えているのかもしれないですね。
◆では、この気持ちの切り替えが難しく、時間を気にしながら行動することが苦手な子どもたちにどう時間について伝えたり、関われば良いのでしょうか?
●ペースの合わない子どもと上手く付き合うポイント
❶声のトーンを抑えてやるべきことを伝えるように、意識しましょう。
ゆっくりちゃんの場合でもセカセカ君の場合にも、共通する点があります。大人の感情的な声は、耳に届きにくいと言う点です。
❷子どもと視線の高さを同じにして目を合わせて伝えましょう。
特に注意があちこち向きやすい子どもは、自分の気持ちとは関係なく、見た物に反応してしまうことがあります。そんな時、目線を合わせて話すことで、内容が耳に届き易くなるのです。ただ、目線を合わせるのをひどく嫌がる子どももいます。そんな時に無理をすると、嫌な気持ちでいっぱいになり、話の内容が入って来なくなってしまうので、目を合わせることにこだわらず、反応を見ながら伝えてあげましょう。
❸具体的に一つずつやるべきことを伝えましょう。
子どもたちは短期間に覚えられる量も私たち大人に比べて容量が少ないのです。
❹上手くできた時に、肯定してあげましょう。
ここからがとても重要なポイントです。だいたい子育て相談で多いのが、上手くいっていない困った場面で、どうしたら良いのかという相談です。が、大切なのは、「稀だけどできた時にどう声をかけるのか」なんです!
週に4日朝の準備が遅く、バタバタと登校している子どもが、たまたま1日だけ準備が早く終わった時があれば、そこが一番学習できる機会となります。
あなたは子どもに何を伝えたいですか?「昨日もその前も毎日そうできたらいいのにね」と言うとこれは嫌味になってしまい、子どもたちは言われた内容は頭に残らず、嫌な気持ちだけが体験として残ることになってしまいます。
●これまでの子育てを振り返ってみましょう。
◆これまでの子育てを振り返り、自分のペースに子どもを巻き込み、付き合わせていたなぁと感じる方は、お子さんがどんなペースで過ごすのが心地良いかを観察してみましょう。そして、時間に余裕のある時には、子どものペースに付き合ってみてあげましょう。反対に、いつも子どものペースを最優先に考え、自分のペースなんて考えたこともないと言う方は、もう少しご自身の心地よいペースで過ごせる時間を増やしましょう。子どもにとっても、周囲に合わせる練習にもなっていきます。
◆親と子のペースが合わない子育ては、親にとっても子どもにとっても大きなストレスを抱えがち。どうぞ皆さん、ご自身のストレスケアやリフレッシュの時間も大切に!!
- 土居和子
<span style="color:#555;">広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会
スクールソーシャルワーカー
広島文化学園短期大学保育学科 非常勤講師
三原看護専門学校 非常勤講師</span> - <span style="color:#3E3A39">その他
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
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ティーチャーズトレーニング、
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