2020年6月17日(水)
【よくある相談シリーズ】うちの子、深夜まで起きているクセがついてしまいました…。
新型コロナウィルスの感染予防対策で、急に学校が休校になったり、外でしっかり友達と遊ぶ時間も作れなくなったり。子どもたちも私たち大人も落ち着かない日々が続いています。昼間、外出自粛で遊びに出るのも控え、友達とも会えず、退屈な日々を過ごしている子どもたちを見ると、ついつい夜の番組は見せてやりたいと思ったり、YouTubeの視聴やゲームの時間が長くなってきたり。それに伴い、心配になるのが生活習慣、生活リズムの乱れです。私の出会うお母さんたちのお話やご相談にもそんな話題が増えて来ました。今回は、夜更かしの対策について一緒に考えてみたいと思います。
●まずはお子さんの状況を観察してみましょう。
子どもの行動のパターンを変える、もしくは改善する(躾とも言いますが)ためには、まず何が起こっているかをしっかり観察してみましょう。また、子どもの行動を観察することは、子どもを感情的に叱り付けず、客観的に冷静に対応できるようになるコツでもあります。
夜遅くまで起きている行動は、どんな状況で起こっているのでしょうか?
例えば、「昼まで寝ているから夜なかなか眠れない」「夕方長い時間お昼寝をするから」など、睡眠そのものの問題であれば、夜更かしの予防は、早起きを心がけたり、昼寝を減らすことで改善しそうなことが見えて来ます。また、睡眠の質の問題であれば、「夜間は部屋の照明を落とす」「お風呂から上がって30分以内に布団に入る」など、寝易くする工夫も考えられます。
例えば、「お父さん(お母さん)の帰りが遅いのが気になって眠れない」「目をつむると不安になりそわそわしてしまう」など、気持ちの問題であれば、まずは、子どもが何に不安になっているのか、様子を見てみましょう。高学年の子どもたちであれば、お話の中で話してくれるかもしれません。それが例えば「コロナが心配」なのであれば、ニュース番組(新型コロナウィルスの情報)の視聴を減らす。新型コロナウィルスの感染を必要以上に恐れず今出来ること(手洗いやうがいなど)を伝える。また、このタイプのお子さんには「~せんと、コロナになるよ」など、子どもが恐れを感じる表現での指示は控えましょう。
最後にテレビやYouTubeの視聴については、例えば、「10時以降の番組は録画して次の日に見る」「YouTubeは1日1時間にする」など、この機会におうちのルールを家族で考えてみましょう。
この時に、このルールは何のためのルールなのかをしっかり伝えましょう。「コロナの感染予防のためには、病気にかかりににくい身体を作らないといけないの。そのためには早寝早起きがとても大切なんだって。そもそもママ(パパ)は、A君が病気になって欲しくないし、もし病気になったら家族が会えなくなってしまうのも、ママ(パパ)はとても嫌だから、何とかかからないように、うちの家族も協力していきたいと思っているの」など。
●ルール決めのポイント
この子どもたちとのルール決めで重要なのは、「それなら僕も(私も)頑張りたい」と思えるように伝えること。そのために大切で、しかも子どもたちが「聞きたい」と思っているのは、「どうしてママ(パパ)がそんなことを言っているのか」私たち大人の気持ちを伴った考えです。これはお説教ではありません。ただ「大切なあなたを守りたい」「家族みんなで元気に過ごしたい」など。心から湧き出る気持ちです。
ルール決めには、もう1つ重要なポイントがあります。それは、ルールは『怒るために作るもの』ではなく、『褒めるために作るもの』だと心得ておくこと。「うちの子、ルールが守れません」という相談でよくあるパターンは、ルールを決めて、できている時には何も声をかけず、できなくなった途端に、「できていないじゃない!」「約束したでしょ!」と注意して子どもも親も疲弊してしまう…。ルール決めは『褒めるため』なので、大切なのは、すかさず褒める!
例えば、「10時以降の番組は録画する」と決めたとします。お子さんがテレビ録画をしているのを見たら、すかさず「おぉ。ちゃんと約束を覚えていたんだね」と褒める。するとその後の行動も協力的になり、10時になるときちんとテレビを切ることができました。ここで忘れてはいけないのが、ここでも「ちゃんと切ったね。約束守ってくれてありがとう」と褒めていきます。
“褒める(肯定する)”と、子どもはどうしてルールが守れるようになるのでしょう? おだてに乗っているからでしょうか? 子どもだって、私たち大人だって、人から『肯定される』『認められる』と、自信がつきます。「僕は(私は)自分で決めたことをきちんと守れるんだ」と自信を持ってルールに向き合うことができるようになるのです。
●最後に…振り返ってみましょう
子どもたちが、YouTubeやゲームにはまるのは、本当にそれがただ楽しいからだけでしょうか?
私は自分にストレスがかかっている時は、インターネットの検索時間が増え、気が付いたら動物の可愛い画像をボーっと眺めていることが…。逆に言えば、そんなボーっと過ごしている自分にはっと我に返り、「あぁ、最近疲れているんだなぁ」と気づかせてもらうこともしばしばです。私たち大人ですら経験したことのない状況で、どうすれば良いのか分からない不安を、いつまで続くか見通しも持つこともできない不安を強く感じながら生活を送っています。
未来への大きな不安に押し潰されそうな時は、「今・ここ」をしっかり感じながら生活してみましょう。「この玉子焼きは美味しいな」「花の匂いがするぞ」「山の緑が綺麗だな」でも。子どもと一緒にいる時であれば、「Aちゃんの耳は、お父さんに似ているなぁ」とか「B君の笑いのツボはここなのかぁ(テレビ)」「美味しそうに食べるなぁ」「よくもこんなに口の周りが汚くできるな(笑)」などなど…。1人でも子どもと一緒でも、「今・ここ」に在る物に気づく、「今・ここ」に居ることを味わってみる。これが不安をやわらげるコツであり、笑顔で過ごす時間を増やすコツです。
家族の大人が不安そうな表情で、笑顔も減っていれば、子どもたちは現実・実生活の不安を紛らわせるために、ゲームや物語の世界に没頭する時間を増やしているのかもしれません。笑顔は心の回復力(レジリエンス)を高めるためにも、身体も免疫力をアップさせるためにも有効だと言われています。新型コロナウィルスを跳ねのける強い心と身体を作るために、「今・ここ」を感じ、心を落ち着け、笑顔を増やした生活を心がけていきましょう!
今回は夜更かしの対策のお話でしたが、少し内容が新型コロナウィルス対策にも繋げて書いてみました。親子で過ごす時間が増えた今、夜更かし対策にしても、その他の生活場面でも、“褒める(肯定的声かけ)”を心がけることが、怒る回数を減らし、楽に生活できるためのポイントです。「良いとこ見つけ」ゲームだと考え、できるところからやってみてくださいね。
- 土居和子
広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会
スクールソーシャルワーカー
修道大学 非常勤講師
三原看護専門学校 非常勤講師 - その他
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
BPプログラムなどの保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、
事例検討会などの保育士や幼稚園教諭向けの研修会
小中学校教員向けの研修会など