2021年12月16日(木)
【よくある相談シリーズ】うちの子、会話が苦手で、親にできることは何でしょうか?
「うちの子は、いつまでたってもことばが上手に話せない」と、親は自分の子どものことばの発達をたえず気にかけ心配しているものですね。
わたしたちは、人間社会の中で、ことばを通して「わたし」という人格をつくりあげ、ことばを通して人と人とがつながり合って生きています。人間社会では、ことばは「生きる力」として重要な役割を果たしているのです。ですから、子どもの「生きる力」としてのことばをしっかりと育てたいものです。
それでは、子どもの「ことばを育てる」ために、親はどのように子どもと関わっていけばよいものでしょうか。
●最も大切なのは、
子どもにことばを使う機会を多く与えること。
乳児期の子どもに対して、さかんに話しかけている母親の姿をよく見かけます。母親が子どもに話しかけることは大切ですが、子どもが乳児期を過ぎて幼児期に入っても、そのままの姿勢を保っている母親は意外に多いものです。幼児期に入ると、子どもは母親の話しかけに対して「応答する」という生活が望ましくなります。それにも関わらず、母親がいつまでも「こうなのでしょう」と、自分から先に子どもの言いたいことを話すのは、子どもに話す機会を多く与えることにつながらないものです。子どものことばの発達をうながすには、親が子どもに対して「何事もことばで表現させるように工夫する」ことが大切です。
●次に大切なのは、
子どものことばの量を増やすための工夫。
最近の子どもは、楽しいことや悲しいことがあると 何でも「スゴイ!」の一言ですませてしまう傾向があります。この原因として、子どもの頭の中にことばの量が少ないことが考えられます。人間はことばの量が増えれば表現はもっと豊かなものになるはずです。
子どものことばの量をふやすには、親が子どもに対して、毎日本を読み聞かせるという習慣をもつことが大切です。本の読み聞かせの目的は様々でしょう。本の内容のおもしろさを楽しませる目的もあるでしょうし、人間的な情操を育み養う目的もあるでしょう。
しかし、最も重要な目的は、ことばの量を増やし、ことばの使い方を覚えさせることではないでしょうか。子どもはいきなり本に興味をもつわけではありませんが、毎日くりかえし行われる読み聞かせの時間があれば、自然に本というものに興味をもつようになるはずです。その興味がのちのち、子どもの自発的な読書という生活習慣が生まれるための素地になるのです。
- 野々村 憲
広島文化学園大学 学芸学部子ども学科
准教授 - 専門分野:言語教育学
最終学歴:広島大学大学院学校教育研究科(言語教育専攻)
修了学位・資格:言語教育学修士(広島大学)/小学校教諭
1級普免許状/中学校教諭2級普通免許状(国語)/高等学校教諭2級普通免許状(国語)