2023年2月15日(水)
【よくある相談シリーズ】うちの子、ゲームやネットばかりして、困っています。
●インターネットを禁止するのではなく、
上手な付き合い方を一緒に考えましょう。
子どもがゲームやインターネットなどのメディアに熱中して長時間視聴してしまう、そんなご相談が年々増えているように感じます。
小学生のパパママ世代は、自宅にテレビゲームはあったかもしれませんが、オンラインゲームやインターネットが今ほど身近なものではありませんでした。私たちが体験したことのない世界で、現代の子どもたちは生きています。これだけインターネットに依存した生活の中で、子どもたちに使用を禁止することはできませんし、それが適切な方法とも言えません。私たち大人が子どもたちと一緒に、インターネットとの距離の取り方・付き合い方について考えていくことが大切です。
日本小児科医会(https://www.jpa-web.org/information/sumaho.html)の公式ホームページでは、子どもの1日のメディア(ゲーム、スマホ、テレビ、パソコン)の総接触時間について、「2時間以内」を目安にすることを推奨しています。まずは、この目安を参考に、家庭での過ごし方を見直されてはいかがでしょうか?
●日頃から、親子の対話を大切に。
次に大切なことは、親子のコミュニケーションです。大人と比べて自分の衝動や気持ちをコントロールすることが未熟な子どもたちは、「時間が過ぎているでしょ。止めなさい!」と言われるだけでは、自分から楽しいゲームやネットを止めることはできません。日頃から親子のコミュニケーションを大切にして、特にお子さんへの肯定的な声かけをしておくことで、子どもたちの「自分で自分を律する力」が育まれていきます。
このコミュニケーションで、もう1点ポイントをお伝えします。皆さんはお子さんがどんなゲームやYouTube動画などを好んで見ているのかご存知ですか?「ゲームは自分にはわからない」「YouTubeはくだらない」と決めつけてしまっていませんか?
ゲームやネットにはまっている子どもたちの中には、本当は大人との関わりを求めているけれど上手く伝えられない子どもたちがいます。お子さんがゲームをしていたり、YouTube動画を視聴している時、隣に座って一緒に見てみてください。そして穏やかに「〇〇くんは、どうしてこのゲームが好きなの?」「この動画は、どんなところが面白いの?」と尋ねてみましょう。
私がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの仕事で関わったお母さんたちの中にも、お子さんのゲームや動画の好みについてまったく分からなかった方がいらっしゃいます。しかし、お母さんが「何が楽しいの?」と興味を持ってお子さんの様子をじっくりと観察していくうちに、お子さんにゲームを教えてもらいながら一緒に楽しむようになったり、YouTube動画を一緒に観るようになっていかれることがよくありました。そして、親子で対話する時間が増えていくうちに、だんだんと子どもたちの視聴時間が減っていかれたのでした。
●親子での対話、気持ちの共有が、SOSを出せるチカラに。
ゲームやインターネットは、子どもたちにとって楽しく刺激的なものです。しかし、ただそれだけに終始させず、それを介して他者(お父さんやお母さん)とその楽しさを一緒に共有していくこと。このアクションが、ゲームやインターネットとの適当な付き合い方を見つけることに繋がっていきます。
また、自分の好きなものをお父さんやお母さんに興味を持ってもらえたことは、子どもたちの自己肯定感を高めることにも繋がり、親子の良い関係が生まれます。私たちの経験したことのない世界で生きる子どもたちには、この先も私たちの想像を超えた困りごとや悩みごとが出てくるでしょう。そんな困りごとや悩みごとのすべてを私たち大人が排除することができない子どもたちの未来。大切なのは、自分からSOSを出せるチカラをいかに身につけるかです。親子の対話は、「SOSを出せるチカラ」を育みます。
最近では、子どものスマホのインターネット視聴時間を親がモニターできるサービスや、使用時間を制限できるゲーム機の機能もあります。このようなサービスや機能を活用していくことも便利ですが、その土台となる対話力を磨いて、親も子も楽しくゲームやインターネットと付き合える方法を一緒に見つけていきましょう。
- 土居和子
- 広島県教育委員会 スクールカウンセラー
広島県乳幼児教育支援センター
保育ソーシャルワーカー
東広島市教育委員会
スクールソーシャルワーカー
修道大学 非常勤講師
ココロトモニ(オンラインペアトレ講座主宰)代表
その他
ペアレントトレーニング、NPプログラム、
BPプログラムなどの保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、
事例検討会などの保育士や幼稚園教諭向けの研修会
小中学校教員向けの研修会など