2023年5月12日(金)
【よくある相談シリーズ】子どもを叱る時のNGワードは?
子育て座談会で質問されることが多いのが「子どもの叱り方」について。どうすれば子どもに伝わるか。どう言えば子どもに分かってもらえるか。どうしたら子どもの自己肯定感を下げずにすむのか。ひとことで「子どもの叱り方」と言っても、お母さんたちのお悩みの背景は人それぞれ。今回のコラムは、子どもを叱る時のポイントとNGワードについてお伝えしたいと思います。
◎POINT❶
『行動』を叱ること。子どもの人格否定は不要です。
そもそも、子どもを叱るのは何のためでしょうか? たまに「子どもを叱ってはいけない。子どもの気持ちを尊重しなくては」と一生懸命に考えていらっしゃるお母さんに出会います。「叱ることが良いか悪いか」と考えるのではなく、「叱らなくてもよいことは叱らない」「叱る必要のある時にはしっかり叱る」。これがとても重要です。
小さな子どもは、物事が良いことなのか悪いことなのか、自分にとって大丈夫なことなのか危険なことなのか、それを自分で考えて理解することは難しく、親や大人の反応を見て、自分の中に行動規範を作っていきます。そのため、人や物が傷つく「危険な行動」はしっかり「やってはいけません」と伝えていく必要があるのです。「危険な行動」は、しっかり叱ること。ここで大切なのが『行動』を叱ることです。
例えば、道路に飛び出しそうな子どもには、「飛び出してはいけない!」とはっきり伝えなければいけません。そうしないと命を守ることができないからです。たまに、子どもに叩かれても何も言わずに叩かれるままになっていたり、子どもにひどい暴言を言われても耐えているお母さんがいらっしゃいますが、お母さんが傷つくことも「危険な行動」に入れて考えてみましょう。「そんなことを言われるとママは悲しいから辞めて欲しい」と伝えましょう。
◎POINT❷
嫌味な皮肉をつけずに、端的に具体的に伝えること。
では次に、叱るかどうか悩ましい「危険まではいかないけれど、止めて欲しい行動」について考えてみましょう。
例えば、靴下を洗濯機に入れず、リビングに転がしている。毎日毎日、「靴下は洗濯機に入れなさい」と何度伝えても繰り返されている状況。「あんた、何回言ったら分かるの! 靴下は洗濯機に入れてといつも言っているでしょ! 何度言われてもできないなんて、あんたはバカなのか!」ここまで来ると、自分が怒鳴ったことで余計に怒りはヒートアップ。子どもへのひどい言葉が止まらない…。そんな経験ありませんか?
「何度言っても分からない!」と言った嫌味や皮肉。「バカなのか!」と言った人格否定の言葉には、子どもたちは耳を閉ざしてしまいます。これらの感情的な表現をすると、本当に伝えたい「靴下を洗濯機に入れて」は全く伝わらなくなってしまうのです。
そして困ったことに、この嫌味や皮肉、人格否定の言葉は、心への暴力(暴言)になります。暴力はどんどんエスカレートしていく性質があります。はじめは小さな嫌味に「ごめんなさい」と反省していた子どもたちも、何度か言われているうちに、徐々にその言葉に慣れていき、反応しにくくなっていきます。そうすると嫌味だけで終わらず、人格否定の暴言にまでエスカレートしていってしまうのです。嫌味や皮肉は百害あって一利なし。自分の伝えたいことは何かを意識して、端的に具体的に伝えるように心がけるようにして嫌味や皮肉を予防していきましょう。
◎POINT❸
不安を煽らず、語尾を肯定的な表現で伝えること。
子育て座談会で出会ったお母さんから次のようなご質問がありました。「子どもに“~しなければ~できないよ”と言う表現をしてしまいます。これは、子どもに使っても良い表現なのでしょうか?」。答えは、「あまり良い表現とは言えません」。
この“~しなければ~できないよ”は、脅しに近い表現で、不安感の強いお子さんの場合には、子どもの不安を煽り、感情的に揺さぶってコントロールしてしまうことになってしまいます。また、言葉に敏感なお子さんの場合には、語尾を“~できないよ”と否定的な表現で伝えることで、かんしゃくの原因になることも。さらに、“どうせできない”とモチベーションを失ってしまうお子さんも多いでしょう。
実はこの表現、同じ内容を、肯定的に言い換えることができます。“~したら~できるよ”という伝え方です。例えば、「ご飯を全部食べなかったら、デザートのリンゴは食べられないよ」と言われるより、子どもたちは「ご飯を全部食べたら、デザートにリンゴが待ってるよ」と言われる方が、元気モリモリ、食事の箸が進むのです。
また、お店を走り回る子どもに「走ってはいけません!」とか、病院で大きな声で話す子どもに「大きな声で話したらいけません!」など、否定的な表現でついつい伝えてしまうことがありますが、ここでもこのポイントを思い出してみましょう。
私たち大人であれば「走ってはいけません」と言われたら、暗黙の了解で「歩け」と言うことだと分かりますが、子どもたちには伝わりにくいのです。例えば、「寝そべる?」「立ち止まる?」など、何をして良いかが伝わらないのです。それだとやっぱりまた子どもたちは走ってしまいます。「走らず、ゆっくり歩こうね」「大きな声でおしゃべりしないように。このくらいのコソコソ声で話そうね」など、語尾を肯定的な表現にすると、子どもたちにも具体的にどうすれば良いのか伝わりやすくなるのです。
『行動』を叱ること。子どもの人格否定は不要です。
そもそも、子どもを叱るのは何のためでしょうか? たまに「子どもを叱ってはいけない。子どもの気持ちを尊重しなくては」と一生懸命に考えていらっしゃるお母さんに出会います。「叱ることが良いか悪いか」と考えるのではなく、「叱らなくてもよいことは叱らない」「叱る必要のある時にはしっかり叱る」。これがとても重要です。
小さな子どもは、物事が良いことなのか悪いことなのか、自分にとって大丈夫なことなのか危険なことなのか、それを自分で考えて理解することは難しく、親や大人の反応を見て、自分の中に行動規範を作っていきます。そのため、人や物が傷つく「危険な行動」はしっかり「やってはいけません」と伝えていく必要があるのです。「危険な行動」は、しっかり叱ること。ここで大切なのが『行動』を叱ることです。
例えば、道路に飛び出しそうな子どもには、「飛び出してはいけない!」とはっきり伝えなければいけません。そうしないと命を守ることができないからです。たまに、子どもに叩かれても何も言わずに叩かれるままになっていたり、子どもにひどい暴言を言われても耐えているお母さんがいらっしゃいますが、お母さんが傷つくことも「危険な行動」に入れて考えてみましょう。「そんなことを言われるとママは悲しいから辞めて欲しい」と伝えましょう。
◎POINT❷
嫌味な皮肉をつけずに、端的に具体的に伝えること。
では次に、叱るかどうか悩ましい「危険まではいかないけれど、止めて欲しい行動」について考えてみましょう。
例えば、靴下を洗濯機に入れず、リビングに転がしている。毎日毎日、「靴下は洗濯機に入れなさい」と何度伝えても繰り返されている状況。「あんた、何回言ったら分かるの! 靴下は洗濯機に入れてといつも言っているでしょ! 何度言われてもできないなんて、あんたはバカなのか!」ここまで来ると、自分が怒鳴ったことで余計に怒りはヒートアップ。子どもへのひどい言葉が止まらない…。そんな経験ありませんか?
「何度言っても分からない!」と言った嫌味や皮肉。「バカなのか!」と言った人格否定の言葉には、子どもたちは耳を閉ざしてしまいます。これらの感情的な表現をすると、本当に伝えたい「靴下を洗濯機に入れて」は全く伝わらなくなってしまうのです。
そして困ったことに、この嫌味や皮肉、人格否定の言葉は、心への暴力(暴言)になります。暴力はどんどんエスカレートしていく性質があります。はじめは小さな嫌味に「ごめんなさい」と反省していた子どもたちも、何度か言われているうちに、徐々にその言葉に慣れていき、反応しにくくなっていきます。そうすると嫌味だけで終わらず、人格否定の暴言にまでエスカレートしていってしまうのです。嫌味や皮肉は百害あって一利なし。自分の伝えたいことは何かを意識して、端的に具体的に伝えるように心がけるようにして嫌味や皮肉を予防していきましょう。
◎POINT❸
不安を煽らず、語尾を肯定的な表現で伝えること。
子育て座談会で出会ったお母さんから次のようなご質問がありました。「子どもに“~しなければ~できないよ”と言う表現をしてしまいます。これは、子どもに使っても良い表現なのでしょうか?」。答えは、「あまり良い表現とは言えません」。
この“~しなければ~できないよ”は、脅しに近い表現で、不安感の強いお子さんの場合には、子どもの不安を煽り、感情的に揺さぶってコントロールしてしまうことになってしまいます。また、言葉に敏感なお子さんの場合には、語尾を“~できないよ”と否定的な表現で伝えることで、かんしゃくの原因になることも。さらに、“どうせできない”とモチベーションを失ってしまうお子さんも多いでしょう。
実はこの表現、同じ内容を、肯定的に言い換えることができます。“~したら~できるよ”という伝え方です。例えば、「ご飯を全部食べなかったら、デザートのリンゴは食べられないよ」と言われるより、子どもたちは「ご飯を全部食べたら、デザートにリンゴが待ってるよ」と言われる方が、元気モリモリ、食事の箸が進むのです。
また、お店を走り回る子どもに「走ってはいけません!」とか、病院で大きな声で話す子どもに「大きな声で話したらいけません!」など、否定的な表現でついつい伝えてしまうことがありますが、ここでもこのポイントを思い出してみましょう。
私たち大人であれば「走ってはいけません」と言われたら、暗黙の了解で「歩け」と言うことだと分かりますが、子どもたちには伝わりにくいのです。例えば、「寝そべる?」「立ち止まる?」など、何をして良いかが伝わらないのです。それだとやっぱりまた子どもたちは走ってしまいます。「走らず、ゆっくり歩こうね」「大きな声でおしゃべりしないように。このくらいのコソコソ声で話そうね」など、語尾を肯定的な表現にすると、子どもたちにも具体的にどうすれば良いのか伝わりやすくなるのです。
●「叱る」と「褒める」は紙一重。
ここまでをまとめると、子どもたちを叱る時のポイントは、「行動を叱る」「語尾を肯定的な表現で伝える」。そしてNGワードは、嫌味や皮肉、不安を煽る脅し文句でした。これは子どもたちのためだけではありません。
このポイントをおさえて子育てをすることで、子どもたちにママがして欲しいこととして欲しくないことが伝わりやすくなり、子育てや生活がしやすくなります。また、言葉と心は繋がっています。ママの言葉がネガティブな表現が減り、ポジティブな表現が増えることで、ママ自身の心が穏やかに安定してくるのです。
最後に子どもの『躾(しつけ)』で1番大切なことをお伝えしておきます。叱った後、お子さんが叱られたことについて、次に同じような状況でその行動を改善できた時に、いかに褒めるかが重要で1番大切なポイントです。子どもたちを叱りっぱなしにせず、しっかりとできるようになったことも見届けて褒めてあげましょう。すると、褒められた子どもは一層その好ましい行動をするようになっていきます。そして、これが子どもたちを躾ることなのです。
子どもたちは、まだ子どもなので何でもすぐにできるようにはなりません。少しづつ子どもたちの「できた!」が増えていくのを、のんびり一緒に楽しんでいきましょう『躾(しつけ)』は急がずのんびりと。
- 土居和子
- 広島県教育委員会スクールカウンセラー
東広島市教育委員会スクールソーシャルワーカー
東広島市保育課保育ソーシャルワーカー
修道大学非常勤講師
ココロトモニ代表
ペアレントトレーニング、NPプログラム、BPプログラムなど保護者向け子育て講座
ティーチャーズトレーニング、事例検討会など保育士や教員向け研修会など