2025年1月6日(月)
【よくある相談シリーズ】自発的に勉強する子に育てる方法はありますか?
「いくら言っても勉強しない」「言うまで宿題をやらない」「勉強にやる気がない」。勉強に向かう我が子の消極的な姿勢を見て、悩みを抱える保護者は多いはずです。子どもが自主的に勉強するための親の心構えや声かけ方法は? 大手学習機関に長年勤め、現在は先生と生徒のための学習支援アプリを開発し、教育機関の支援に携わる峯岳徳先生に聞きました。
なぜ勉強してほしいのかを保護者自身が問う
まず、保護者のかた自身が「なぜ自分は、子どもに勉強してほしいのか」を自問してみましょう。「周りの子が中学入試をするから」「偏差値の高い良い学校に進学してほしいから」など答えはさまざまだと思います。ひょっとしたら、ご自身の過去の反省から、子どもに勉強をしてほしいと願っているのかもしれません。心配するのは重々に理解できます。それが親というものです。しかし、高い成績をとって良い学校に進学すると、本当に子どもは充実した人生を送れるのでしょうか? 今の時代、決して勉強(成績)が全てではありません。子どもが将来どんな職業に就こうが、その子が自分の道を切り拓き、周囲から頼りにされ、生き生きと働き、幸せな人生を謳歌するのが一番だと思いませんか? 保護者は、幸せな人生を送ってほしいと、さまざまな方法で子どもに手を差し伸べます。しかしそれが、その子本来の魅力を引き出す適切な方法かどうか、保護者が自分自身の気持ちに向き合い、今一度じっくりと考えてみましょう。
声かけアプローチで気持ちのいいコミュニケーションを
忙しい毎日を送っていると、つい発してしまうのが感情に支配された言葉です。例えば「~しなさい」「~してはダメ」という言葉。これは、感情任せの代表的な声かけ例で、親から子どもへの「禁止」的な意味が含まれます。また、「~していいよ」という何気ない一言には、「許可」の意味が含まれています。子どもは、常に親から何かを禁止され、許可がないと動いてはいけないのでしょうか? ある大学教授の調査によると。特に幼い子どもは6秒に1回、親から叱られたり、指示されたり、許可されているという結果が出ています。
また、「勉強しなさい」「我慢しなさい」「ちゃんとしなさい」などという言葉を、無意識に使っていませんか? これらは全て、親から子どもへの命令です。そこから透け見えるのは、自分が思う理想の型に子どもを当てはめ、枠からはみださないことだけに焦点を置く保護者の姿です。どう言われたら気持ちがいいか、ご自身に当てはめて考えてみてください。少しだけ表現を変え、「一緒に~してみよう」「~してみてね」など、寄り添う言葉に変換すると、親子間で気持ちの良いコミュニケーションがとれます。
言い方を変えるだけで子どもは変わります。苛立ちから命令形の言葉を発してしまうなら、なぜイライラするのかを考えてみてください。もし、ご自身のストレスや疲れが原因かもしれないと思ったら、一度時間を空けてリフレッシュし、自分の気持ちと向き合ってみるのもよいかもしれません。
また、「勉強しなさい」「我慢しなさい」「ちゃんとしなさい」などという言葉を、無意識に使っていませんか? これらは全て、親から子どもへの命令です。そこから透け見えるのは、自分が思う理想の型に子どもを当てはめ、枠からはみださないことだけに焦点を置く保護者の姿です。どう言われたら気持ちがいいか、ご自身に当てはめて考えてみてください。少しだけ表現を変え、「一緒に~してみよう」「~してみてね」など、寄り添う言葉に変換すると、親子間で気持ちの良いコミュニケーションがとれます。
言い方を変えるだけで子どもは変わります。苛立ちから命令形の言葉を発してしまうなら、なぜイライラするのかを考えてみてください。もし、ご自身のストレスや疲れが原因かもしれないと思ったら、一度時間を空けてリフレッシュし、自分の気持ちと向き合ってみるのもよいかもしれません。
大事なのは結果ではなく取り組みを褒めること
褒めることも大切です。しかし、褒め方にもコツがあります。端的に言うと、結果ではなく、子どもの取り組みを褒めるのです。テストで良い点数を取ったことを褒めるのではなく、そこに向かうまでの子どもの懸命さを褒めてあげてください。アメリカで、興味深い壮大な社会実験が行われた例をお話しましょう。とある小学5年生2つのクラスで、1年間算数のテストを実施しました。 ひとつのクラスは、できたら「偉いね」、もうひとつのクラスは「頑張ったね」という褒め方をしました。 1年後、「偉いね」と褒めたクラスはカンニングという不正が起こり始めました。なぜかというと「偉い」と褒めてほしいがために、子どもは失敗を恐れ、テスト結果だけに固執するようになったのです。「頑張ったね」と褒めたクラスは、取り組みを認められたため、どんどん勉強に意欲的になりました。
この実験が示すとおり、子どもが頑張った過程や努力を褒めることが大切です。「頑張ってみよう」という気持ちを引き出す褒め方を意識してみましょう。
この実験が示すとおり、子どもが頑張った過程や努力を褒めることが大切です。「頑張ってみよう」という気持ちを引き出す褒め方を意識してみましょう。
心の成長や生きる力の基盤を育む「一緒に行う・学ぶ」体験を
子どものため、保護者にしかできないことがあります。それは、時間とお金、そして移動を伴う体験です。旅行や季節イベントを楽しむことをはじめ、コンサートに連れて行く、図書館や本屋に一緒に行くなど、子ども一人では決してできない体験を指します。
旅行に行くにも、ただ単純に楽しむだけでなく他にも獲得目標を持てば尚良いです。例えば、大阪のエンターテインメントパークに遊びに行くなら、1日旅行期間を増やして歴史に関する旅を追加してみましょう。例えば大阪城。今の大阪城の目の前の広場に円筒の箇所があります。その下に大阪の陣で焼け落ちたもともとの大阪城があります。「焼け落ちた後に土を盛ってその上に建てたのよ」と保護者の方も、しっかり下調べをして子どもに説明できるとよいです。
お金をかけなくても、できることはたくさんあります。行政の子ども向け施設で行われている無料の化学実験などのイベント実施日を調べ、そこに連れていくことも保護者にしかできないことです。図書館に一緒に行って、常に本に触れる環境を整えるのもいいでしょう。これらの行動は、ぜひ意識的に実践してください。なにかひとつ、毎月の予定としてスケジュールに組み込むといいです。
旅行に行くにも、ただ単純に楽しむだけでなく他にも獲得目標を持てば尚良いです。例えば、大阪のエンターテインメントパークに遊びに行くなら、1日旅行期間を増やして歴史に関する旅を追加してみましょう。例えば大阪城。今の大阪城の目の前の広場に円筒の箇所があります。その下に大阪の陣で焼け落ちたもともとの大阪城があります。「焼け落ちた後に土を盛ってその上に建てたのよ」と保護者の方も、しっかり下調べをして子どもに説明できるとよいです。
お金をかけなくても、できることはたくさんあります。行政の子ども向け施設で行われている無料の化学実験などのイベント実施日を調べ、そこに連れていくことも保護者にしかできないことです。図書館に一緒に行って、常に本に触れる環境を整えるのもいいでしょう。これらの行動は、ぜひ意識的に実践してください。なにかひとつ、毎月の予定としてスケジュールに組み込むといいです。
保護者が贈れる子どもへの人生プレゼント
興味深いデータをご紹介します。アメリカの某大学卒業生で、自身の仕事やポジションを通じて「社会や仕事で有意義な改善や改革をもたらしている」30代・40代、約1000人へ行ったアンケートです。彼らに、現在の職業を選んだことに誰が影響しているかと問うた結果、「保護者」が1%、「教師」が14%でした。一番は「身近な手本となる人物、伝記など」という答えで、その割合はなんと84%と大変高い数字でした。身近の手本となる人物とは、学校の先輩や、親戚のお兄さん、お母さんが連れて行ってくれたスポーツイベントで出会ったプロ選手、市の講演会で話が面白かった大学教授などさまざまです。歴史に大きな足跡を残した人の生涯を綴った伝記からの影響も多大です。加えて、アニメや小説もいいでしょう。全世代に人気の「ワンピース」は、仲間たちが一致団結して困難に立ち向かっていくストーリーです。上場した若手経営者があげる好きな漫画です。iPadやスマートフォン、医療機器、GPSの仕組みを開発した人たちの多くがあげるのは、「スター・トレック」。画面で見た夢の世界であったものを実現しています。「ハリーポッター」は、魔法界の中で主流ではない、要は伝統的な家柄ではない子どもたちが団結して物事を解決していきます。同小説を読んだ子は、差別に立ち向かう勇敢な心を培ったでしょう。
つまり、子どもの将来を決めるきっかけは、未知なのです。そのいつか来るチャンスを与えるのが保護者の役割だと考えてください。いろんなものを見たり触れたりできる経験をさせ、人に会う機会を持たせることが、親から子どもへの最大のプレゼントです。「勉強しなさい」と指示や命令をするのではなく、周囲の環境を整えてあげましょう。
操るのでなく幸せを願う。子どもの勉強する意欲は、そこからがスタートです。いろいろと試しながら、子どもと家族にとってベストな方法を探していけるとよいですね。
つまり、子どもの将来を決めるきっかけは、未知なのです。そのいつか来るチャンスを与えるのが保護者の役割だと考えてください。いろんなものを見たり触れたりできる経験をさせ、人に会う機会を持たせることが、親から子どもへの最大のプレゼントです。「勉強しなさい」と指示や命令をするのではなく、周囲の環境を整えてあげましょう。
操るのでなく幸せを願う。子どもの勉強する意欲は、そこからがスタートです。いろいろと試しながら、子どもと家族にとってベストな方法を探していけるとよいですね。
- 峯 岳徳 株式会社POPER Executive Advisor
- 大手学習機関の元代表取締役社長。2020年10月に株式会社POPERにExecutive Advisorとしてジョイン。POPER社は先生方の業務負担軽減と、先生方が“生徒たちが変わることに寄り添える”ための「学習支援アプリ」Comiruを開発提供中。2022年11月に東京証券市場グロース市場上場。Comiruの利用人数はこの4年間で16万人から約43万人に伸長。全国6000教室で利用中。先生方の「教えることがなめらかになること」と、生徒たちが「自らやる気になること」を目標にさらに深化中。東京在住。