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諦めなければ夢は叶う!

 「あきらめなければ 夢 100%」競技者として、夢の伝道師として・・・怪我やスランプ、何度も挫折感を味わいながらも競技者としての夢を追い続けているトライアスリートがいます。福元哲郎(通称 テツロー)さん、45歳。
 現役競技者として歩みながら、夢を追い続けることを子どもたちに伝える活動も行っています。

夢を追うことを体現して見せる
 2018年1月、競技者としての選手生命を賭けた手術に臨んだテツローさん。今日までリハビリと体作りに励みながら、講演活動をはじめ、精力的に活動しています。
 怪我はまだ完全に回復していません。競技者として活躍できないばかりか、痛々しい姿を見せることに抵抗感がないわけはありません。それでも、「諦めなければ 夢100%」をスローガンに、夢を追い続ける大切さを語り続けています。そして、その姿はまさに「夢を諦めない」を体現するものとして、多くの人々に共感と勇気を与えています。

生かされている 自分の使命とは何かを考える
 「昔、寝ころんだら見える天井の位置に目標を貼っていたんですよ」と話すテツローさん。
 子どもの頃から体を動かすことが大好きで、アスリート道を一心に突き進んできたテツローさんですが、小学校に入学する前、大きな病気を宣告されました。母親がショックのあまり隠れて泣いていた姿を今でも忘れられないと話します。

 ところが三カ月ほど入院し、いよいよ手術直前での最終検査を行ったところ病巣が奇跡的に消えていたのだそう。退院後は一転、元気いっぱい、ワンパクいっぱいの少年として育ちました。大病を宣告されたことがありながら、テツロー少年の母親は彼を病弱な子としては育てなかったのです。

元気いっぱい、わんぱく盛りの子ども時代

「本当に大切なものを知っていたんでしょうね。子どもの力を信じて、ノビノビ育ててもらったということが今の自分に繋がっていると思います」(テツローさん)

 母親からは生かされているということは使命を持っているということ、だからその使命を果たすためにしっかり生きるということを教わったと言います。
 子どもに「使命を果たす」とは難しすぎる言葉かも知れません。しかしその言葉が胸に刻み込まれ、次第に自分の果たすべき使命とは何かを意識して生きるようになりました。

挫折と空回りの連続だった学生時代
陸上競技に明け暮れた中学生時代。(右から2番目)

 結果を出すことに執着が強すぎ、焦りから空回りしていた時代があったと学生時代を振り返ります。
「祈るような気持ちでトレーニングに打ち込んでいました」(テツローさん)

 焦りと挫折の高校三年間。全国高校駅伝やインターハイでの結果は決して成功とは言えないものでした。
 自分の成果に目を向けすぎるあまり、仲間への信頼感が薄らぎ、自分が故障すれば自分の回復や復帰のことしか考えられない時期もありました。
 上位入賞の実力があると期待されながら、大きな大会ではその力を発揮出来ないまま高校を卒業。
 大学では一念奮起してインターカレッジ出場、全日本駅伝出場という目標を叶えました。
「でも、そこで頂点を目指せる選手にはなれないと感じたんです」(テツローさん)

 そこで、新たな可能性をトライアスロンに求めました。
 誰もやりたがらない過酷な競技。だからこそ、挑戦しがいがある、驚きと感動を与えられると、トライアスロン競技者に転向したのが大学4年生でした。
 卒業論文のテーマとしてトライアスリートの運動生理学を選択。自分を実験材料としながらトライアスロン競技のための練習に打ち込みました。テツローさんのトライアスリートとしての選手人生はここから始まっています。



夢は形を変えて実現することがある
 テツローさんの子どもの頃の夢は「体育の先生」。しかし、競技者として進学し、競技中心で生きてきたため、教員免許を取得することは出来ませんでした。

 しかし現在、テツローさんは専門家として小学校で講義を行っています。子どもたちと一緒にグランドや体育館に立ち、アスリートの立場から体育の専門家として子どもたちと関わっています。
「こうなりたいという想いの軸さえぶれていなければ、形を変えて夢の方から近付いてくるものです。教員として教壇に立つことは出来ませんでしたが、スポーツの専門家として教えることが叶いました。子どもたちを指導したり教室で一緒に給食を食べたり出来るのですから、先生になる夢は叶えられていますよね」(テツローさん)

夢も叶えること、叶えるために出来ることを伝えるのが自分の使命
 テツローさんは全国で行われる講演活動にも赴いています。夢先生(ユメセン:JFA日本サッカー協会こころのプロジェクト)として、夢や目標を持つことの素晴らしさ、フェアプレーや助け合いの精神を子どもたちと語り合い、触れ合いながら伝えていく活動を行っています。
 数々の場面で自身の体験を語り、夢を持つ大切さを説き続けています。そして、このことが子どもの時に母親から言われた「使命」に繋がっていたことを感じると話します。

子どもの力を信じて小さな成功体験を積ませる
 子どもたちは未来に対して夢を持っています。無謀に感じられる夢や大きすぎる夢を口にする子どもに対し、安全で着実な人生を歩んでもらいたいという親心からつい「そんなの無理」「できっこない」と予防線を張ってしまうことはないでしょうか。

 夢を追うことで遠回りをしたり、失敗して苦い体験をすることもあります。けれど、親は子どもたちの力を信じてあげて欲しいとテツローさんは話します。
助けてやりたいと思う時こそ遠くから辛抱強く見守ることが、子どもの力を伸ばします。

「小さな成功体験を積むことが子どもの自信につながります。陰からそっと見守りながら、努力を汲み取ってあげてください。時々、声をかけてあげることで、見てもらっていたことに気付き、安心感を持って進んでいけます」(テツローさん)

限界に挑戦する姿を通じて、夢は叶えられることを伝えたい
 過酷過ぎるレースゆえに完走するだけでも価値があるとされるトライアスロン。しかし最近は競技者人口も増え、成果を目指す競技にもなってきたそうです。

 水泳、自転車、マラソン。この三種目を制覇、完走するためにはバランスの良いトレーニングとセルフマネジメントが必要な競技です。時間をやりくりしながら体を作り、競技に立ち向かうことで自分が限界だと思っていた一線を越えられることが喜びになると言います。

 そんな福元さんがいつも言い続けている言葉が『あきらめなければ夢100%』。
「夢は諦めなければきっと叶えられるということを伝えたい。これが生かされている自分の使命だと思いますね」(テツローさん)

 夢を一つひとつ叶えてきたトライアスリートの言葉は明るく、力強いものでした。

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