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泳げるようになりたい!苦手なクロールを得意にしたい!

 待ちに待った夏休み。せっかくの長い夏休みですから、子どもたちが楽しみながら成長できることにチャレンジしてみませんか。
 そこで、「水泳が苦手」というお子さんや、「自分も泳ぎが苦手なので教えられない」という保護者の方に向けて、広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)でプールの監視・指導を行っている古田彩由花さんに、苦手な水泳の克服法を聞いてきました。
泳げるメリットを子どもと一緒に話し合ってみましょう
 泳ぎが苦手な子どもにとって、水泳の時間はとても苦痛です。小学校中学年頃になると、泳げる子と泳ぎが苦手な子の差が広がり、苦手な子はますます憂鬱になってきます。

「水泳は全身運動です。基礎体力や持久力が自然に身につきます。水遊びだけでも体力がつきますよ」(古田さん)
 現在、スイミング指導をしている古田さんは、小学校低学年の時にはプールが怖くて全く泳げなかったそうです。小学校3年生になって水泳教室に通ったのがきっかけで、水と親しみ、水泳を楽しめるようになれたと言います。
古田さんによれば、水泳(クロール)は順を追って練習していくことで、必ず泳げるようになれるそうです。安全のためにも泳げるようになった方がいいと古田さんは話します。

1.水に慣れよう
泳げない子どもは「水が怖い」と言います。水を怖がっているうちは、水泳の練習は進められません。
怖いという程度によりますが、本当に水が嫌いでシャワーも苦手という子なら、手を水に浸けてみることから始めます。水に手を浸け、水の感触に慣れるようにします。

手を浸けることが出来るようになったら、今度は体に水を慣らして行きます。初めは足から入り、胸くらいまでの浅いプールに入ってみましょう。初めは無理をせず、時間をかけて少しずつ水に慣れていくようにします。
胸まで水に浸かれたら、今度は肩まで水に入ってみましょう。少しずつ、確実に水への恐怖心を取り除いて行きます。

 次は両手で水をすくい、ゆっくりと自分の頬に水を浸けてみます。顔に水がかかることに慣れたら顔を少しずつ沈める練習をします。
まず、鼻の下まで、次に鼻が水面に隠れるまで、さらに目の上に水が来るまで、と次第に顔を沈め、最後には頭の先まで潜れるよう、徹底的に水に慣れる訓練をします。
「水が怖くなくなったら次に進みやすくなりますよ」(古田さん)

2.顔浸けが出来たら、次は蹴伸びの練習をしよう
 水が怖くなくなれば、今度は顔を水につけて浮かんでみます。この形で壁を蹴ってスーッと伸び、前に進むのが蹴伸びです。
子どもは脂肪の割合が大人より多いため、体に力が入っていなければ浮かびます。恐怖心から体に力が入ると沈んでしまいます。
第一段階の《水慣れ》が出来、水に対する恐怖心を完全に取り除かれていればスムーズに出来るはず。
 「スーパーマンみたいにスーッと」上手に浮かんで蹴伸びが出来るようになったら、次に進みましょう。
(キャプション:力が入っていなければ、体が水に浮くことを覚えます)


3.バタ足の練習、そして息継ぎはブクブク、パッ!
 プールサイドに腰かけて、脚を伸ばした状態で左右交互に上下させます。水深が浅いところで脚全体が水に浸かるようにして、水を蹴るバタ足の感覚を覚えます。
 慣れてきたら、うつ伏せの姿勢で、同じように脚を伸ばしてバタ足の練習をします。これでクロールの《脚》は完成です。

水泳の息継ぎは、私たちが空気を吸う時に無意識で行っている呼吸法と異なります。どのタイミングで鼻から息を吐くのか、いつ口から息を吸うのか、練習しましょう。
 プールではビート板を使います。
まず、片手を伸ばしてビート板の先端を持ちます。腕はビート板にぴったりつけます。
片手で持ったままビート板を水に浮かせて、真っ直ぐに浮く形を取ります。顔を水に浸けたら鼻から息を吐き(ブクブク)、ビート板を持った手と反対側に振り向くようにして顔を上げ、口から息を吸います(パッ)。ブクブク2秒、パッ1秒のリズムを目安に、ビート板を持って息継ぎを練習しましょう。
キャプション:腕を伸ばして、ビート板にピッタリつけます

 次に、ビート板を外して、息継ぎだけ練習します。ビート板を外しても、片手は真っ直ぐに伸ばしたままです。腕を回して水を掻く練習をする前に、腕が伸びた形で息継ぎをすることを体に覚えこませます。
 息継ぎの練習だけならお家のお風呂でも出来ます。ブクブク、パッのリズムをしっかり練習しましょう。

4.腕を回す練習をしよう
 腕の回し方は陸上で練習してみると良いでしょう。少し前かがみ気味になって椅子の後ろから背持たれに両手を置き、片手ずつ腕を回す練習をします。
 一度回す毎に椅子の背もたれに手を戻しましょう。右、左、右、左。左右均等に、ゆっくり腕を大きく回す練習です。
(キャプション:腕を回す練習は、お家の方が手のひらで受ける形で行っても良いです)

 左右が回せるようになったら、息継ぎを加えます。息継ぎで顔を上げる方向は人によって様々ですが、例えば右で息継ぎをする場合、左の腕を回し、右の腕を回し、もう一度左の腕を回し、次に右の腕を回す時に顔を腕と同じ方向に動かして水面の上に顔が出るタイミングで息を吸い込みます。(左、右、左、右で息継ぎ)
 息が続かないようであれば、左、右で息継ぎを入れても構いません。

 陸上で腕を回す練習、息継ぎのタイミングが分かったら、今度は水の中に立って水に顔を浸け、同じよう腕を回しながら息継ぎを練習します。

5.蹴伸び、バタ足、腕回しと息継ぎを全て組み合わせる。
 「ここまで出来れば、あとは全てを組み合わせるだけです!」(古田さん)
 初めにしっかり水に慣れておけば、上達が早いと古田さんは繰り返します。水泳が苦手、という子どもたちは水が怖いことが多いので、基本は水に慣れることだそうです。
 古田さんも初め、水が怖かったと言います。水泳教室では初め、体の部分が水に触れることから始め、少しずつ水に触れる面積を増やしていきました。1週間ほど水慣れの訓練を続けると次第に水に対する恐怖心が解け、そこからは練習に入れたそうです。
 その当時、今回ここで紹介した順序でクロールを練習し、グングン泳げるようになったと言います。現在、古田さんは泳げない子どもたちへの指導もこの順序で進めて、泳げる子を育てているのだそうです。

「クロールは簡単で、スピードが出る泳法です。長く泳ぐのにも向いています。きっちり泳げるようになると、とても楽な泳ぎ方なんですよ」(古田さん)

命を守るために、水泳を学ぶ
 昔に比べて、水泳の授業数が減っていると言われます。
赤十字社では、泳げるとは一つの泳法を連続で100メートル、しかも呼吸が途切れることなく泳げて初めて『泳げる』と言います。ほとんどの人は『泳げない』方に該当しています。
 全ての人が100メートル泳げる必要はないかも知れません。しかし、いざという時は、泳げるかどうかが生死を分けることになります。

 水が怖いから水泳は嫌い、泳げない、と思いこんでいるなら、夏休みに泳ぐ練習をしてみてはどうでしょう。プールに連れて行けないというお父さん、お母さんは、一緒にお風呂に入ったとき顔浸けやブクブク、パッの息継ぎ練習などしてみてはいかがでしょうか。

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