2022年3月24日(木)
【子育て支援シリーズ】もう読んだ?『11番目の取引』
春休みの宿題の読書感想文はもう終わりましたか? 厚生労働省では、子どもたちの健やかな育ちと豊かな想像力のために、子どもたちに読んで欲しい本を「厚生労働省 社会保障審議会 児童福祉文化財」として選出しています。今回は、令和元年度の推薦作品の中から、『11番目の取引』をご紹介します。
強奪された祖父の楽器を買い戻すために、
サミは自分の持ち物で物々交換を始める。
期限は1か月。700ドルを用意できるのか?
アフガニスタン難民のサミと祖父の生きる術であり、心の拠り所だった伝統楽器ルバーブが奪われた! 買い戻すには1か月以内に700ドルが必要だ。サミは友だちの助けを借りて自分の持ち物で物々交換を始める。たった1か月の間に700ドルを稼ぐという試みは果たしてうまくいくのか。サミと祖父の関係、過去の出来事、家族のことなどは、サミが苦心惨憺する過程で、回想の形で効果的に挿入される。サミという人物と、アフガニスタンでの幸せな日々や衝撃の出来事が段々に明らかになっていく巧みな構成に、ページを繰る手が止まらなくなるだろう。本作品は作者のデビュー作であり、代表作になるに違いない秀作である。
【著者紹介】 作●アリッサ・ホリングスワース
アメリカ合衆国、フロリダに生まれる。イギリスのバース・スパ大学で文学修士号をとる。本作品がデビュー作。現在、アメリカのバージニア州ハンプトン在住。
【訳者紹介】 訳●もりうちすみこ
福岡県に生まれる。訳書『ホリス・ウッズの絵』(さ・え・ら書房)が産経児童出版文化賞に、訳書『真実の裏側』(めるくまーる)が同賞推薦図書に選ばれる。他の訳書に『きみ、ひとりじゃない』『九時の月』(さ・え・ら書房)など多数。