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【子育て支援シリーズ】もう読んだ? 『わたしが障害者じゃなくなる日』 〜難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた~


持続可能な開発目標「SDGs」の達成に向けて、世界的な取り組みが進められています。世界レベルの目標と思えば、“自分ごと”として捉えられないかもしれませんが、私たち一人ひとりの小さな取り組みが重要です。「誰ひとり取り残さない世界」のために、私たちにできることは何でしょうか。厚生労働省では、子どもたちの健やかな育ちと豊かな想像力のために、子どもたちに読んで欲しい本を「厚生労働省 社会保障審議会 児童福祉文化財」として選出しています。今回は、令和2年度の推薦作品の中から、『わたしが障害者じゃなくなる日』をご紹介します。

 

●障害者なんて、いないほうがいいのでしょうか?

難病をかかえ、人工呼吸器とともに生きる著者からのメッセージ。
人は、ただ地面が盛り上がっただけの山の景色に感動できるのだから、
同じ人間である障害者に感動できないはずがない。
必ずそこに価値を見いだせるはず——。
重度障害者として暮らす著者が、その半生をふりかえりながら、
障害とはなにか、人間の価値とはなにかを問いかけます。

著者は東京都女性活躍推進大賞を受賞。
亡くなる直前まで講演活動を続けるなど、
障害者問題のオピニオンリーダーとしても活躍。
多くの人の心に足跡を残しました。
「合理的配慮」など障害者理解に欠かせないテーマも取り上げ、
「共に生きる社会」をみんなでいっしょに考えるための1冊です。

 

(本文より)
わたしは生まれつき、脊髄性筋萎縮症という、とてもむずかしい名前の病気にかかっています。
どんな病気なのか、かんたんに言うと、体の筋肉がだんだんおとろえていく病気です。
みんなが当たり前のようにしている、かけっこも、ボール投げも、リコーダーを吹くことも、そう、呼吸をすることだって、ぜんぶ、筋肉がないとできません。
その筋肉がだんだんなくなっていく病気です。
だから、みんなができることが、わたしにはできません。
小さなころは自分の足で立って歩けたけど、今は車いすを使わないと動けません。
本のページをめくるのだって、だれかの助けがないとむずかしい。
息をすることも、人工呼吸器という機械を使わないと、できないのです。

わたしは、重度障害者と呼ばれています。重い、障害のある、人。
たしかにそうかもしれません。
でもね、じつは、わたしに障害があるのは、あなたのせいなのです。
そう言ったら、おどろきますか?
それはそうだよね。あなたはきっとわたしのことを知らない。
わたしもあなたのことを知らない。なのに、自分のせいだなんて。
でもね、本当にそうかもしれないんだよ。
わたしが病気であることと、「障害がある」ことは、別のこと。
わたしの生きづらさをつくりだしているのは、この世の中、この社会なのです。
わたしのような障害者でも、楽しくて、もっと生きやすい世の中って、つくれないのかな。
それはきっと、障害のない人だって生きやすい世の中なんじゃないかな。
わたしは、そんな社会をつくりたいと思っています。
そのために、目の前にいるたったひとりのあなたに、わたしは語りかけたいのです。
あなたが変われば、わたしの障害をなくすことも、できるはず。
たったひとりのあなたが、たくさんふえて、みんなになれば、いつか社会は変わるはず。
その未来を信じて、わたしはこの本をとどけます。

 

 
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