2025年4月14日(月)
新学期前の子ども服選びは安全面も大切に

新入学、新学期が訪れる春。子ども服を新たに買い替える家庭も多いでしょう。しかし、子どもが着ている服が原因で、思いがけない事故が起こることがあります。今回は、子ども服を選ぶ際に気を付けたいポイントを紹介します。

服による事故が身近に起こる可能性

東京都が2006年に行った調査によると、子どもが着ている服が原因で「けがをした」「危ない目に遭った」「ヒヤリとした」という経験がある親は全体の77%に上ります。さらに、その中で実際にけがをした経験がある親は6人に1人、けがはなかったけれど危険を感じた親は5人に3人の割合に達しています。つまり、多くの家庭で、服が原因となって事故に遭ったり危険を感じたりしているのです。
特に、服の紐やベルト、フードが遊具や家具、ドアノブなどに引っかかることで転倒したり、宙吊りになったりする事故が多く見られました。これらの事故は、時に深刻な結果を招くこともあります。

身近な場所で起こる具体的な事故例

衣服が原因となる場合の事故の一例を挙げてみましょう。
●首回りの紐
滑り台の枠に紐が引っかかって転倒したり、ブランコの鎖に紐が絡まって降りる際に転んだりすることがあります。
●ウエストや腰回りの紐
自転車の車輪に紐が巻き込まれて事故が起きることがあります。また、長い紐を自分で踏んで転倒したり、バスのドアに紐が挟まれてケガをすることもあります。
●ズボンのすその紐
電車のドアに紐が挟まれたり、エスカレーターで紐が挟まれて転倒したりすることもあります。
●フード
フードが家のドアノブに引っかかって首が絞まり、場合によっては転倒することがあります。
実のところ、欧米では死亡例の報告があり日本でも十分な注意が必要ですが、これらの事故は、予防が可能です。全てとは言い切れませんが、子ども服の選び方に気をつけることで、事故を防ぐことができます。

服選びでは安全性を重要視しよう

子ども服を選ぶとき、デザインや快適さはもちろん大切ですが、最も重要なのは「安全性」です。子どもがどんな行動をするかを考えて、服がどんな影響を与えるかを想像しましょう。例えば、走ったり跳びはねたり、遊具に登ったりする際に服が引っかかる心配がないか、周りの環境に注意して服を選ぶことが大切です。下記のような点に気をつけながら、引っかかりにくい服を選ぶよう心掛けましょう。
―紐やリボンが長すぎないか―
紐が長すぎると、遊具や家具、ドアノブに引っかかる原因になります。特に、首回りやウエストに長い紐がついていると危険です。
―フードが大きすぎないか―
フードが大きすぎると、走ったり遊んだりしているときに、引っかかるリスクが高まります。小さめのフードや、フードが外れやすいデザインが安全です。
―サイズが合っているか―
サイズが大きすぎると、裾や袖を踏んで転ぶことがあります。体にぴったり合った服を選ぶことで、動きやすく、事故を防ぐことができます。
―素材やデザインの確認―
服のデザインが複雑すぎたり、飾りが多すぎたりすると、引っかかりやすくなります。シンプルで動きやすいデザインが理想的です。

13歳未満の子ども服の安全基準「JIS L4129」

日本では、2015年12月に子ども服の紐に関する安全基準が定められました。これを「JIS L4129(よいふく)」と呼び、13歳未満の子ども服に適用されます。この基準では、紐の長さや位置について明確に定められています。例えば、首回りや頭から垂れ下がる紐はつけてはいけないことが決まっているのです。
JIS基準に強制力はありませんが、子ども服メーカーにとっては一つの指針となり、安全性がさらに考慮された服作りが進んでいます。覚えておきたいのは、一部の特別な衣服にはJIS基準が適用されないことです。例えば、七五三などの儀式用の衣服や、競技用のスポーツ衣料などです。これらの服は、基本的に子どもが大人の見守りのもとで着るものとされており、JIS規定の対象外となります。

少しの意識を持って子どもの事故を防止

おしゃれな服を着たいという子どもの意思に寄り添う気持ちも、もちろん大切です。しかし、一度事故が起これば、後戻りできない悲しい現実が待つ場合もあります。服を選ぶ際には、「この服は本当に安全だろうか?」という意識を持ち続け、子どもたちが元気に安全に新生活を送れる環境を整えてあげましょう。

<出展>
政府広報オンライン:「「カワイイ!」だけで大丈夫?こども服は、安全性を考えて選びましょう」
経済産業省:「子ども服の安全基準、知っていますか?」
政府広報オンライン:「「カワイイ!」だけで大丈夫?こども服は、安全性を考えて選びましょう」
経済産業省:「子ども服の安全基準、知っていますか?」