2001年2月度 TSS番組審議会報告
とき:2001年2月20日(火)午前11時から
ところ:テレビ新広島会議室
議題
- 自社制作番組「ナナは方舟に乗った~種の保存と動物園~」について
- 犯罪被害者の人権と報道について
審議に先立ち事務局から、名古屋の「援助交際ビデオ関連報道」について「人権侵害とまでは言えないが、放送倫理上問題があった」とするBRCの審理結果、1月のTSSの視聴者対応として626件が寄せられたことを報告した。
(1)自社制作番組「ナナは方舟に乗った~種の保存と動物園~」について
- 誕生から成長まで長期間にわたり、よく取材されていた。
- 種の保存という大きなテーマを扱いながら、地元に密着した内容なのでより身近に考えることが出来た。
- 池内淳子さんのナレーションは抑制されていて心地よかった。
- 動物園の目的が冒頭のシーンで示され、番組自体のテーマがよくわかった。
- ナナとユウコの抱き合うシーンが感動的。あのシーンが撮れただけで、番組は成功したと言えるのではないか。
- ナオコは人工授精「させられた」のか?ナオコの死と引き替えてまで人工授精をやる必要があったのか、納得できないものが残った。
制作を担当した岩崎美幸ディレクターは「取材を通じて動物園の使命が次第に判ってきた。チンパンジーという親しみやすい動物を通して、人類に科せられた種の保存という大きなテーマが理解されれば」と制作意図を述べた。
(2)犯罪被害者の人権と報道について
- マスコミが持つべきは好奇心でなく探求心
- 警察発表が信用できなければ何を信じればよいのか。「真実を伝える」というテレビ新聞の使命は大きい。
- マスコミは好奇心と公共性を読み違えて自らを正当化している。国民の関心を満たすことは場合によっては犯罪に相当することがある。
- 被害者家族への取材では「宇和島水産高・事故」のケースなどかなり抑制がきいている。少しずつ抑制もききつあるのではないか。
- これまで加害者の人権擁護にばかりとらわれすぎてきたのではないか。
- 報道すれば誰かを傷つけるという側面は必ずある。
- 被害者が興味本位に扱われるのは報道する側だけでなく見る側にも問題がある。
- 全体的に見れば被害者の人権はおろそかにされてきた。
これらの意見を受け、会社側からも「耳の痛いテーマだが、真摯に受け止めなければならないことであり、常に自戒が必要。」など意見交換をした。
出席者は以下の通り。
岸田俊輔(委員長)、上野淳次(副委員長)、大野徹、福島光宏、原口倫子、村上栄一、元廣和弘(順不同・敬称略)