2003年7月度 TSS番組審議会報告
とき:2003年7月10日(木)午前11時~
ところ:(株)テレビ新広島 役員会議室
議題
- 「ニッポンを釣りたい!~美しい国の楽しみ方教えます~」
- 「視聴率調査の現状と課題」
◆事務局より
- 議題紹介及び議題に伴うゲストの紹介(「ニッポンを釣りたい!」はTSSプロダクション ディレクター清水正義氏・「視聴率調査の現状と課題」については(株)ビデオリサーチ中国支社 支社長 白木 篤氏)
- 番組審議委員の変更について
産経新聞社 広島支局長 村上栄一氏転勤に伴い、佐藤義博 新支局長に変更(2003/7/1付)
また、上野千歳委員退任に伴い、ノンフィクション作家 池田明子氏就任(2003/9/1付) - BPO(放送倫理・番組向上機構)概要について
7月1日付で設立されたBPOは、これまでの「放送番組委員会」と「放送と人権等権利に関する委員会」と「放送と青少年に関する委員会」という3つの委員会を運営する、放送界の自主機関であるということ、またその設立に関する資料に基づき運営内容などを報告した。 - 視聴者対応・月間ダイジェスト<6月度>の報告
◆審議
(1)ニッポンを釣りたい~美しい国の楽しみ方教えます~
- 川や海をフィールドとして楽しめる「釣り」をテーマに、「食」の要素も入っていて、良かったのではないかと思う。ただ国民的レジャーの「釣り」と言う視点からは消化不良だったのではないか?
- 要約すると3つの点が気になった。
- 起用するタレントの中で発信力に随分差があったように思う。つまりリポーターとしての能力に差があった。例えば、光浦靖子さんと高樹沙耶さんは「インドア派VSアウトドア派」の代表と言う役割で、奄美大島の大自然を伝えるにふさわしかったと思う。一方、東京湾のパートは全く良くなかった。「おいしい!」とか「すごい!」としか言わないような20代・30代のリポーターより、もう少し高年齢の落ち着いたリポーターを起用した方が良かったのではないか?
- 各地域とも共通して言えるのは、「釣り」に集中せず付属シーンが多すぎたのではないか?ということ。つまり、青森編だと「腕相撲」、東京編だと「屋形船」のシーンなどは「釣り」がテーマのこの番組において必要だったのかなと思う。
- 釣りの楽しみに加え、日本全国の地域性が出ていて良かったと思う。それゆえに、例えば瀬戸内編の料理の部分で、道場六三郎のような大物料理人を起用した方が良かったのか、地元の料理人を使った方が良かったのか疑問である。
- 奄美―青森―東京―小豆島と、番組の流れはとても良かったのではないかと思う。
- 東京編は悪天候であったが、それは自然と言えば自然なのだから仕方ないとして、吉本興業の二人を使って、バラエティー感を出したいという意図はよくわかったが、不十分だったと思う。ここは、はずしても良かったのではないか?
- 「国民的レジャー」の釣りをテーマにしたのは、とても良かった。東幹久さんが小豆島で鯛を釣り上げ、道場さんに料理してもらって食するということは、最高の贅沢だと思った。
- 釣りには興味がなかったが、TSSの番審委員になって何度も審議しているうちに慣れてきた。
奄美編はとても良かったが、東京編がガタガタだった。 - 番組の時間はそんなに長いわけではないのだから、バラエティーの要素を入れるより、直球勝負で「釣り」本来のおもしろさを出した方が良かったのではないか?
- 4カ所の地域での釣りだったが、地元に対しての配慮が感じられ、敬意を払っていたように思えた。
- 気迫にあふれた番組だったと思う。当初85分というのは長く感じたが、実際見てみるとオムニバスという形式だったのでテンポがあってとても視聴し易すかった。また、いろいろな釣りのパターンを見ることができて良かった。
- 限られた時間で4つのコーナーは少し詰め込みすぎかなと思う。東京をはずした3つで良かったと思う。
- 日本という国は、「海」の美しさをアピールするしかない。例えば他の委員の方と視点を変えて意見を述べるとしたら、東京湾の部分も出来は悪かったかもしれないが、沢山「キス」が釣れていて、東京湾もこんなに魚が釣れるようになったんだというアピールになり良かったのではないか?誰でも簡単につれるのがキス釣りで、それを料理も合わせて紹介していたので良かったと思う。
- 85分楽しませて頂いた。「釣り」というのは、日本の特徴や味わいを表現するのに最適なテーマだと思った。「釣ったものを食べる」これぞ日本の文化だと思った。瀬戸内で東さんが釣り上げた鯛はとても立派で、それをさばくには道場さんのような著名な料理人の方がとてもふさわしいと思った。
- 魚料理にはやはり「酒」は欠かせないもの。番組でも料理とお酒の組み合わせを考えてほしかった。
- 釣りをした場所の地図や、奄美で釣りをした際のトローリングの船長や、青森の渓流釣り場等連絡先をもう少し丁寧に入れてほしかった。
これらの意見に対し、制作を担当したTSSプロダクション 清水正義ディレクターは、
- 東京湾は海が汚いというイメージを持っていた。しかし、実際調べてみると旬の魚の宝庫だということもわかった。今回、東京編の部分の表現は残念な結果になったが、次回は是非東京湾の良い部分・知られざる部分も出してゆきたい。
- 「こういう番組での、タレントを選ぶ基準は?」と言う質問に対しては、ただ「釣りが好き」というタレントの中から選ぶのではなく、「このタレントに釣りをさせたらどうなるだろう?」という視点で考えている。
- また、腕相撲シーンなどはカットしても良かったのでは?というご意見もあったが、短いロケ時間の中で、「いかにタレントの素顔を引き出すか」という事を心がけていたので、そういう意味ではタレントの素の姿がよく出ているカットだと思い使用した。
- 1995年から1年1本の割合で釣りをテーマにした全国ネット番組を制作放送してきた。今後もこの経験を生かし、まだ経験していない魚にもチャレンジしてゆきたいと思っている。
など、制作現場の現状を、委員からの質問に対する回答を交えながら発言した。
(2)「視聴率調査の現状と課題」ゲスト:(株)ビデオリサーチ中国支社 白木篤支社長
*今回の議題が「ニッポンを釣りたい」ということで、その視聴率結果に基づいた報告
*「視聴率の基本」
- 広島地区では1974年に日記式視聴率調査がスタート。1991年にオンライン式に変更。
- 広島地区サンプル200世帯
- 広島地区で視聴率1%は約6720世帯で、個人視聴率1%は16050人
- 調査対象世帯の選び方(毎月5~6世帯づつ入れ替えて3年で200世帯が入れ替わる仕組みになっている)
- 視聴率の誤差について
- テレビ視聴率の季節変化
- 広島地区・世帯の平均視聴率時間は8時間
- 一日の視聴パターン
- デジタル化への対応
等、「視聴率」の基本を説明していただいた。
- 次回番組審議会
- 8月は恒例で休会。次回は9月16日(火)11:00~
<議題>
「同じ空の下で~その時、ヒロシマは~」
「最近のテレビ番組について」
- ◆今回出席委員
- 岸田俊輔委員長・上野淳次副委員長・福島光宏・末長昌子・小川秀久・山田知子