2004年9月度 TSS番組審議会報告
とき:2004年9月24日(金)11:00~
ところ:(株)テレビ新広島 役員会議室
議題
- 10月改編について
- TSS報道特別番組
『語られなかった真実~原爆で死んだアメリカ兵~』
<ゲスト>報道部 若木憲子
報告事項
*松浦雄一郎委員長、就任ご挨拶
*事務局より、BPO報告NO.13、14、15の報告。TSS7月、8月の視聴者対応報告。
審議
(1)10月改編について・・・編成制作局長 川口英二より報告
(2)「TSS報道特別番組 語られなかった真実~原爆で死んだアメリカ兵~」
(8月6日 金曜日 17:00~17:54 24:55~25:50 放送)
- 淡々とした表現なのに、取材対象に対して丁寧な堀おこしをしていて、わかりやすく胸に迫る良い作品。
- 構成がしっかりしているが、最後の似島の遺骨発掘の場面は不必要ではないか。
- アメリカロケの映像が美しく心が和んだ。若木ディレクター自身のナレーションの部分も良かった。
- 毎年重いテーマの8/6特番だったが、今年は米兵被害者を切り口にしたのは新たな試みだと思い楽しみにしていた。作り手の顔が出ているのは良かったと思う。
- 取材内容は良かったが、反戦反原爆を意図しすぎて空回りしている気がした。
- 各地各国によって「戦争」の捉え方が違うことへの認識が足りない。日本は「願えば平和がやってくる」という考え方だが、他の国では「平和を求めて戦い、守る」というスタンス。いい切り口の番組だけど、同じ結果になったと思う。
- この番組を「学校教育の教材に」という視聴者からの要望があったようだが、反対である。
- 番組のなかで出てきた「被爆米兵を棒でたたく絵」などむごいものを見せる意図が理解できなかった。
- 自分の世代としては、「被爆米兵」がいたと言う事実を知らなかったのですんなり見ることができた。
- 柳井に、平和の碑を建立した部分をもっと強調して制作したら良かったと思う。また、被爆した米兵の人達は広島平和公園の被爆名簿に入れてもらっているのか知りたかった。自分たちの世代としては、日米両者とも被害者であり加害者だと思うし名簿に入れてあげて欲しいと思う。
- 番組を流す側が偏った意見を放送するのは危険だが、この番組のように、淡々と事実を伝え、受け手の判断に委ね、多くの人に見てもらうことが必要では。
- 内容の濃い番組だった。例年に比べて大変独自性のあるものだったと思う。ただ、自国の兵士を原爆で失った事実の公表を避けてきたアメリカ当局への「真実」の解明には至っていなかったと思う。「悲惨な絵」を描くことの意味や思い、また米兵遺族の「味方の攻撃によって失った悲しみ」をもう少し深く突っ込んで取材して欲しいと思った。
- アメリカまで取材に行き、取材活動をした努力は伺えるが、もう少し広島との絡みを映像化した方が良かったと思った。
- 今まで8月6日関連の番組を見るのは苦痛だったが、今年の番組は違っていた。それはあまり知られていない「米兵」に焦点をあてたこと。また、BGMやナレーションが良かったこと。等の要因がある。また、「平和の尊さ」という口に出せば安っぽくなる言葉を使わず、疑問を解く旅の広がりを丁寧に追った姿勢に好感を持った。
- 人間としての倫理・道徳が大前提で、作り手の意図したところを押しつけるのではなく、我々地球人が過去のものを現実の問題として捉え、地球の平和を求める必要があると思った。
- 「平和の裏には尊い犠牲がある」ということはやむを得ない・・・という表現があれば良かったのでは?
これらの意見に対して制作担当ディレクターの若木憲子は、
- 自分は大阪出身で平和問題について深く考えたことがなかったが、米兵が被爆死していた事実を知り、その死から何かが語られると思い取材を始めた。
- 願えば平和がやってくるわけではないが、少しでも原爆・平和について考える機会は必要だと思う。
- 自分たちの世代は過去の話と捉えがちだが、その世代なりの主観があっても良いと思っている。「悲惨な絵」を出したのも、あえて悲劇の事実を伝えてゆきたいと思ったからである。
等の発言があり、委員との活発な意見交換が行われた。
- 次回番組審議会:
- 2004年10月29日(金)11:00~
<議題>
(1)「知恵の輪ニッポン」
(2)未定
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長 上野淳次副委員長 大野徹委員 福島光宏委員
末長昌子委員 山田知子委員 池田明子委員 内田隆之委員 前田益男委員 以上