2009年9月度 TSS番組審議会報告
とき:2009年9月3日(木)午前11時
ところ:TSS本社会議室
報告事項
審議に先立ち、まず事務局より、BPO(放送倫理・番組向上機構)の活動状況や、TSS7~8月度視聴者対応状況についての報告が行われた。
審議
TSS報道特別番組『いま、ヒロシマが聴こえる・・・ ~全聾作曲家・佐村河内守が紡ぐ闇からの音~』(8月6日午後3時放送)
委員からは
- 何度も涙を流しながら見た
- 感動の一言。際立って素晴らしい番組
- 良い番組。良い素材と巡り合えたことに感心
- メッセージ性・訴求性の強い、印象に残る番組
- 難しいテーマを、難しい言葉を使わず、優しく表現した番組
- 見応えのある番組。佐村河内さんというメッセージ性の強い人を起用したことで、インパクトの強い番組になった
- 恒例の原爆特番を今年は肩の力が抜けるような感じで見ることができた。重いテーマを良い素材で素晴らしくまとめている
- うねるように書かれた楽譜、カーテンを閉め切った室内など、冒頭の描写が番組テーマをうまく暗示していた
- 冒頭であらすじを理解できた上、時間軸もぶれてなくて、安心して見ることができた
- 全体の流れはよくわかったが、横軸のエピソードが目まぐるしい
- 闇を体現する厳しい人かと思えば、子どもには優しかったりする。存在感のギャップに引き付けられた
- 作曲中の凄さまじい姿や内面をぶつけたような強烈な譜面に対して、ナレーションは淡々としていて見やすかった
- 佐村河内さんの境遇が裏付けになっており、その生の声が数多く生かされていて、太一君との交流も丁寧に描かれていた
- 障害を持つ子どもから勇気や希望をもらう話は、劣等感の裏返しの優越感のような気がしたが、佐村河内さんの“自分よりひどい状況にある子どもが自分のことを心配してくれる”という言葉で真意がわかった
- 合唱する子どもたちの変化を見たかった。本番後の感想を聞きたかった。番組では先生が一生懸命に見えた
- 歌った子どもたちは番組を見たのだろうか。ぜひ見てもらいたい
- 世代を超えて伝えることの難しさ、それでも懸命に伝えようとする人がいることがよくわかった
- 音楽や楽譜という共通言語によって、世界にメッセージを発信できることがわかった
- 平和運動はともすると、発信する側の一方的な思いになりがちだが、伝えるヒロシマ、学ぶヒロシマのつながりを明確にした
- “平和教育”という言葉への固定概念を改めて考えさせられた
- 被爆第2世代から第3世代への継承かと思ったが、第1世代のことはあまり伝えられていないことがわかった
- ナレーションに“私たち”を多用することで、制作者側の意図をよく伝えていた
- “闇と光”というキーワードがうまく使われていて、考えるきっかけになった
- 番組スタッフが全聾の佐村河内さんとメールでやりとりしたというのは象徴的
- 中途半端な場面でCMが入り、思考が途切れた。配慮が必要なのでは
などのコメントが寄せられた。
これらの感想や意見を受けて、制作を担当した報道部の大藤潔報道業務担当部長、三戸美佳記者は、
- 今の平和な世の中で、闇の存在を忘れがちだが、在広テレビ局の使命として、伝え続けなければいけないことがある
- 佐村河内さんへの最初のアプローチは、ニュース企画での取材で、それは断られた
- 特番での取材に際し、当初はインタビューは受けないなどの条件付きだったが、取材中に佐村河内さん自身に変化が起こり、『自分の言葉で語ります』と言われた
などと発言し、活発な意見交換が行われた。
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長・大野徹副委員長・山田知子委員・池田明子委員・中嶋健明委員・徳永修委員・大野主税委員・荒木史子委員・上田茂則委員(順不同)