2010年2月度 TSS番組審議会報告
とき:2010年2月22日(月)午前11時
ところ:TSS本社会議室
報告事項
審議に先立ち、事務局より、このほど番組審議委員に就任した石井宏和委員の紹介、BPO(放送倫理・番組向上機構)の活動状況やTSS1月度視聴者対応状況についての報告が行われた。
審議
その後、フジテレビ編成制作局編成担当局長・小川晋一氏が、
『これからのテレビ フジテレビの編成戦略について』と題し、フジテレビの番組編成の基本戦略について以下のように述べた。
- 民放テレビは50年以上にわたって広告収入をベースにしたマスメディアとしてやってきたが、その経営基盤そのものが岐路に立っている
- デジタル化によりインフラは大きく変わったが、編成戦略や視聴者のマインドはあまり変わらなかった
- 広告業界の冷え込みや、マーケット事情次第という経営体質により、民放全体が苦境に立たされている
- デジタルテレビの普及は7割まできたが、2011年7月のアナログ停止までに、2台目以降も含めどこまでいけるか。普及しないままでの停止はHUT低下、媒体価値低下につながる
- インターネットへの接触時間の増加がHUTの低下につながっていることは否めないが、マスとしてのテレビとの接触とは違う。むしろ若年層がモバイルにシフトしていることを懸念。モバイルとの連携を模索中である
- こうした状況を踏まえ、以下の3点を進める方針。~(1)もう一度テレビの価値を見出してもらう(2)模倣の繰り返しから脱却。他媒体・他局にないコンテンツの創造(3)子供に親しまれ、拒否されないメディアをめざし、次世代の支持者育成を図る
これを受けて、各委員からは、
- 最近の新聞やテレビの報道は、各社横並び。かつてはそれぞれ独自性があった
- 生まれた時から携帯があった世代が育ち、新聞を取らない家庭も増えている。私自身も自分にとってのゴールデンタイムが夜10時以降になっているように、環境は徐々に変わりつつある。バランスの良い組み合わせを再構築する必要があるのでは
- 録画視聴やユー・チューブがこれだけ普及し、CMを飛ばしてみる人も増えている。新たなビジネスモデルが必要なのでは
- テレビの価値を再認識するということだが、素晴らしい番組に限って視聴率が低かったりする。テレビの価値を視聴率ではなく、質で決めるのであれば共感できる
- NHKにはできない民放としてできることは何か。TSSが担えること、会社としての存在意義を考える必要がある
- テレビで見たこと知ったことが行動につながるようであれば、新たな価値と言えるのでは
- テレビにしかできない、編集を加えないリアルタイム性を追求すべき
- 昔の子どもたちは“怪獣もの”などを見て“ごっこ遊び”をした。現代の子どもたちはゲームなどバーチャルに傾倒するが,かつての“ごっこ遊び”にはリアリティがあった。デジタル化とともに、テレビからリアリティが失われているのでは
- 個人へ向けたCMの発信を検討するなど、マスへのこだわりを捨ててみることも必要なのでは
- お金を払ってでも見たくなるような知的好奇心が満たされるような番組を提供すべき
などの意見が出され、局側も含め活発に意見を交換した。
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長・大野徹副委員長・山田知子委員・池田明子委員 中嶋健明委員・徳永修委員・荒木史子委員・大野主税委員・石井宏和委員(順不同)