2011年9月度 TSS番組審議会報告
とき:2011年9月7日(水)午前11時
ところ:TSS本社会議室
報告事項
審議に先立ち、事務局よりBPO(放送倫理・番組向上機構)の活動状況やTSS7~8月度視聴者対応状況の報告があった。
審議
TSS報道特別番組『託す~語り部 沼田鈴子がまいた種~』
<8月6日(土)午前9時55分放送>
委員からは
- まさに正鵠を得た素晴らしいタイトル
- 次世代に対して負うべき責任について考えさせられた。良い番組
- 沼田さんが放送直前に亡くなり、制作には相当苦労したと思われる。沼田さんの思いを伝えなければという制作者の執念を感じた
- 沼田さんは、自身をさらけ出して語り続けた稀有な人。彼女を通して継承を訴えようとした試みはとても素晴らしい。沼田さんの存在とご逝去を伝えた意義のある番組
- 沼田さんの亡くなる直前の姿を撮ることができたのは制作者の力。沼田さんもやさしく協力していたし、作り手もやさしく接していた。両者の気持ちがにじみ出ていた
- 沼田さんの死は、被爆体験継承の難しさの象徴。だからこそ若者たちに伝わっている事実が感動的。
- 沼田さんが最後にアオギリを見に行ったシーンや最後の会合に出たシーンなどが、とてもさりげなく撮影されていた。ご苦労を称賛するとともに、この貴重な映像を今後さらに生かして欲しい
- アオギリのエピソードは、初めて聞く人にはよくわからなかったのでは。もう少し説明が欲しい
- 沼田さんの話を直接聞けなかった星美小学校の生徒のコメント『ビデオは壁がある。直接聞く方が良かった』が印象的だった
- 自分自身、広島に生まれ育ったが、被爆体験はなく、惨禍について語ることもなかった。しかし、被爆体験のないことで、遠慮している場合ではないと感じた。次世代への責任として、バトンを受け取る覚悟をさせられた
- 在広各局が毎年原爆特番を制作しているが、その重要性が増している。被爆者の平均年齢が77歳を超え、次世代に継承するために、映像を残していくことが大切
- 今年の原爆特番は、福島の原発事故を受けて、原爆と原発が並列的に扱われがちだったが、殺人兵器としての原爆を前面に出したこの番組は、シンパシーを持って見ることができた
などのコメントが寄せられた。
これらの感想や意見を受けて、プロデューサーの大藤潔報道部長は、
- 年を追うごとに被爆体験を聞くことが難しくなっていくが、今回の取材は身をもってそれを感じた
- 沼田さんが亡くなっても、番組の構成は、大きく変えなかった
- この番組のための取材は約1年間だが、それ以前のアーカイブが多く残っており、それを生かすことができた
などとコメントし、活発に意見を交換した。
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長・大野徹副委員長・池田明子委員・徳永修委員・村上栄一委員・大下洋嗣委員(順不同)