2012年1月度 TSS番組審議会報告
とき:2012年1月12日(木)午後5時
ところ:広島市東区 シェラトンホテル広島会議室
報告事項
- まず事務局より、11~12月度視聴者対応状況やBPO(放送倫理・番組向上機構)の活動状況についての報告があった。
- 次に、BPO放送倫理・番組向上機構 放送と人権等権利に関する委員会・調査役の長谷川澄男氏が、『最近のテレビ番組とBPOの活動について』と題して講演を行った。
講演内容
『最近のテレビ番組とBPOの活動について』
- 自分はこれまでNHK・フジテレビと放送局の報道現場を中心に働いてきたが、現在はBPOで、攻守所を変えて30年以上の経験を修正せざるを得ないことも多い
- 東京・大阪の放送局社員を対象にしたBPOの印象についての聞き取り調査では、“上から目線”“お白州のような存在”といった意見が大多数であった
- 人権委員会は、放送倫理検証委員会と異なり、視聴者などから人権侵害の訴えを受けて審理が始まるため、どうしても裁判に近い形になる。実際に委員9人のうち3人が弁護士。毎回真剣に議論をしていて、予定時間を大幅に超えることも多い
- 放送局と政治と行政の狭間にあるため、プレシャーも強く、機能しているのか、存在理由はあるのかといった圧力もある
- プレッシャーという点では、放送局の取材についても個人情報を盾にするなど圧力が高まっている
- BPOは、93年の“椿事件”で起きた自民党や放送懇談会などの法規制の動きを食い止めるために設立されたが、放送局として極めて自律性の高い機関である
- 放送倫理検証委員会の川端和治委員長は常々、BPOは放送局の最大の応援団でありたいと考えているし、実際にそうだと発言している
- BPO初代理事長の清水英夫氏は、BPOが今まで機能し続けて来たのは、放送局がBPOの決定に対し、不満があってもそれに従い、守ってきたからであるとコメントしている
- BPOは、放送局との距離をなんとか詰めたい、近くにありたいと考えている。放送局サイドも緊張感を持ちつつ、付き合いを深めていって欲しい
- BPOは、謙抑的であるべき。でなければ放送局に対して委縮効果を及ぼしかねない。しかし制作者たるもの、BPO何するものぞの気構えも持って欲しい
この講演を受けて、委員からは、
- 個人情報問題では、テレビだけでなくあらゆるメディアで取材がやりにくくなっていると思う
- TSSを見ていると、あまり問題が起きそうではない。慎重にやっている印象を受ける
- くだらないところで問題が起きているような印象があり、制作者のレベルに疑問を持つ。きちっと議論をする機関を持つことは、進歩であり、高いレベルでの議論に期待する
- 良い番組・心に残る番組からは、制作者の意気込みが伝わってくる。BPOの抑制力・規制力が、放送局の意欲を押さえつけないようにしていただきたい
- 放送倫理・番組向上というが、そもそもテレビが日本人の倫理観を堕落させてはいないか。放送批評は、未発達な状態であり、テレビを批判する場があるべきではないか
などのコメントが寄せられた。
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長・山田知子委員・池田明子委員・荒木史子委員・村上栄一委員(順不同)