2012年3月度 TSS番組審議会報告
とき:2012年3月23日(金)午前11時
ところ:TSS本社会議室
報告事項
審議に先立ち、事務局より2月度視聴者対応状況や4月改編、BPO(放送倫理・番組向上機構)の活動状況についての報告があった。
審議
TSS報道特別番組 東日本大震災から1年『それでも、ココで生きていく』
<3月11日(日)正午放送>
委員からは
- 広島の戦後復興の象徴であるお好み焼を通して、福島の震災復興に向けての大きな問題を提起した番組。広島の復興と広島出身である主人公の思い入れが絡み合っていた
- 静かな迫力のある番組。登場人物が特別な人ではなく普通の人であったため、彼らの言葉を“生の声”として重く受け止めることができた。臨場感と説得力があり、迫力が感じられた
- 登場人物がそれぞれの場面で問題提起しており、あなただったらどうするのか、問いかけられている気がした
- 余韻のあるドキュメンタリー番組。気取りのないストレートな言葉が繋がっていて、心情をありのままに引き出していた。福島の現状について改めて考えさせられた
- この番組の題材は、大きな問題でありながら、人々が忘れかけている“勇気”“奉仕”“恩返し”が含まれている。これらを問いただしたことで、番組の余韻が残った
- 過度な演出や脚色もなく、敢えて意見や思想を出さなかった構成に好感を持った。見えない放射線の恐怖を感じながら、答えのない葛藤を抱えながら、それでも生きていかなければならない福島の人々の姿を、よく映し出していた。どう思い、どう考えるか、宿題を突き付けられた気がした
- 復興の大変さを分かっているような気になっていたが、もう一度考えさせられた。“日常の風景”が失われていることに気がつかされた
- 原発の良し悪しではなく、福島の人々が日々どう生きているか、現在進行形の状況を痛感した
- 地元にあるはずの必要な情報が地元に報道されていない、深刻な問題を取り上げていた
- やらせ感覚がなく、映像が自然体であり、新鮮な驚きと感動を覚えた
- 子どもがダダをこねる場面や、お年寄りたちの表情が、自然体だった
- 少女が窓越しに公園をみているシーンは、福島の生々しい実態を浮き彫りにしており、印象深かった
- 登場人物の対比が良く、心の不安や悩みをうまく描き、人の心をさりげなく撮っていて素晴らしい
- スキーを一生懸命やっていた人が、なぜ福島でお好み焼屋を始めたのか、説明が欲しかった
- 師匠との再会のシーンや、お好み焼店を始めたルーツを、もっと深く表現して欲しかった
- 主人公がお好み焼の師匠に挨拶するシーンは淡白にみえたが、広島の人間ゆえに福島の復興に命をかけてきたという気持ちが伝わってうれしく思った
- 福島を出るか残るかの選択で悩む気持ちは、子どもを持つ親として共感した
- タイトルの出るタイミングが、遅すぎたのでは
- CMの使い方が良かった。大はしゃぎのCMがなく、番組の流れに違和感がなかった
- エンディングは感動的だった
などのコメントが寄せられた。
これらの感想や意見を受けて、報道部の田中浩樹ディレクターは、
- 放射線という目に見えないものをどう撮るか、カメラマンが苦労した
- 取材対象を被害が大きい地域ではなく、あえて福島市内にしたのは、避難区域外でさえ、こういう状況だという福島の現実を伝えたかった。そして、それを一番理解してくれるのが、広島の人ではないかと思った
- 少女が公園で遊べないシーンを映すことで、国から安全だと言われている地域でさえ、不安を持って生活している現状を表現したかった
- フジテレビのニュースの放送開始時刻がTSSより早いので、キャスターの挨拶や名前の表示などが広島では出ないことなど、一部違和感があることは否めない
- ニュースで放送されていない本音の部分を引き出したかったので、あえて激しい映像は入れなかった
などとコメントし、活発に意見を交換した。
- <出席委員>
- 松浦雄一郎委員長・大野徹副委員長・池田明子委員・荒木史子委員・村上栄一委員・大下洋嗣委員・細羽雅之委員(順不同)