5月30日(土)午前10時30分~11時25分
瀬戸内海に浮かぶ、呉市・豊島(とよしま)。伝統の“一本釣り漁法”が有名な、腕利き漁師が集う島だった。しかし今は過疎化が進み、漁師の担い手は減少の一途。
また、環境の変化によって近年魚の数が激減し、不漁が続いている。
この島で、漁師を目指して第一歩を踏み出した青年がいる。広島市内の高校を卒業したばかりの北瀬孝太さん、18歳。彼は、小学生の時から「漁師になりたい!」という夢を持っていた。そのわけは、豊島に暮らす祖父・勝繁さんだった。頼もしいベテラン漁師で島の人気者。その背中に、憧れ続けてきたのだ。
しかし、「跡継ぎができる」と喜んでいるばかりではない祖父。今や漁師が「食べていけない」仕事になっていることを肌身で感じているからこそ、この道を選んだ孫の将来に不安も感じている。「何とかメシが食えるようにしてやらんと…」。
祖父の家に引っ越し、漁師としての修行を始めた孝太さん。憧れが現実になり、覚えないといけないことばかりの毎日だ。海の状態の見極めや、微妙な釣りの感覚、仕掛けづくりの技術…、祖父の長年の技術に追いつくのはまだまだ先のこと。しかし孝太さんは、漁業が厳しい状況の中「自分にできること」も模索していく。
厳しい漁師の世界に飛び込んだ青年と、彼を厳しくも温かく指導する祖父の姿を通し、瀬戸内の漁業の「今」を見つめる。