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『被爆者・近藤紘子さん 被爆証言』

人類史上初の被爆地・広島の放送局として、核兵器廃絶と平和の実現を目指し、平和関連番組を制作してきたテレビ新広島(TSS)が、広島大学平和センター川野ゼミと共同で翻訳した被爆者 近藤紘子(こんどう こうこ)さんの被爆証言(2020年2月4日取材)を2023年2月28日から、「Hiroshima Peace Program TSSアーカイブプロジェクト」で世界に向けて配信する。

今回は全編英語の被爆証言で、広島大学平和センターの川野徳幸センター長とブルガリア国費留学生で広島大学平和センター・リサーチ・アシスタント(大学院人間社会科学研究科博士課程後期国際平和共生プログラム学生)のヴァシレヴァ・ヴラデサヤ・ビラノヴァさん、広島大学の元留学生でアメリカ出身の翻訳家レイチェル・ニコルソンさんが翻訳を行った。TSSアーカイブプロジェクトは、広島大学の平和科目の教材として採用されており、次世代に被爆の実相と平和の尊さを伝えている。

【番組内容】

アメリカのジャーナリストでありピューリッツァ賞作家ジョン・ハーシー氏が、アメリカ政府によって隠されていた原爆投下直後の広島の惨状を取材したルポルタージュ『ヒロシマ(Hiroshima) 』は、1946年8月に、雑誌「ニューヨーカー」に異例の形で掲載され、即日30万部を売り上げる大反響を呼んだ。アメリカ国内では学校の副読本として広く読み継がれ、ニューヨーク大学主催の「20世紀最高のアメリカジャーナリズム作品ベスト100」の第1位にも選ばれたジャーナリズム界で最も有名な作品である。

その『ヒロシマ』に登場する6人の被爆者の一人である元広島流川教会の牧師でノーモアヒロシマ運動提唱者 故・谷本 清氏の長女・近藤紘子さん(こんどう こうこ 78歳・兵庫県三木市在住)が、2020年に神戸市東灘区にあるカネディアン・アカデミイ(インターナショナルスクール)で全編英語の被爆証言を行った。

教会で育ったことで、幼い頃から外国人と接し、アメリカにも住んだ経験のある近藤さんは、日本とアメリカ、両方の視点で語ることができ、講演では生後8か月で被爆した時の状況や広島へ原爆を投下したB29エノラ・ゲイ号の副操縦士ロバート・A・ルイス氏との衝撃的な出会い、ABCC(現在は、放射線影響研究所・RERF)での出来事のほか、約40年ぶりに広島を訪れたジョン・ハーシー氏や旧ソビエト連邦最後の最高指導者で冷戦を終結に導いたミハイル・ゴルバチョフ氏との思い出を語る。

父はいつも私に言っていました。
『政府を変えることはできません。政府のシステムを変えることもできません。
でも紘子、人から人へ。』 と…。

【監修・監訳】

近藤 紘子(こんどう こうこ)

1944年(昭和19年)11月20日生まれ。広島流川教会牧師の谷本清と谷本チサの長女。生後8か月の時、爆心地から約1.1キロ地点で被爆。1963年高校卒業後アメリカに留学。アメリカ・センテナリー短大、アメリカ大学卒業。広島大学教育学部修士研究生(2年)。

戦後、父の平和への思いを引き継ぎ、世界中で平和活動を行っている。
日本の子供たちを海外の養父母に紹介する「国際養子縁組」の世話係や世界の子供たちと共に平和を訴える「財団法人チルドレン・アズ・ザ・ピースメーカーズ」の国際関係相談役を経験。世界的に著名な被爆者のひとりであり、日本キリスト教団三木志染教会牧師・近藤泰男の妻。

広島大学平和センター センター長・教授 川野 徳幸(かわの のりゆき)

近藤さんの証言を一人でも多くの方が視聴し、核なき世界というヒロシマの思いが共有されることを願っています。

(プロフィール)

専門は原爆・被ばく研究、平和学。広島・長崎原爆被害、セミパラチンスク・チョルノービリの核被害について社会医学的視点から調査研究を行っている。

【翻訳】

ヴァシレヴァ・ヴラデサヤ・ビラノヴァ
広島大学平和センター・リサーチ・アシスタント
(大学院人間社会科学研究科 博士課程後期 国際平和共生プログラム学生)

このプロジェクトに携わり、近藤さんの証言を読む機会を得たことをとても嬉しく、感謝しています。近藤さんのメッセージは真の平和のメッセージです。それはパワフルで力を与えるものであり、私はそれに深く感動しました。辛い経験を乗り越える彼女の強さは感動的です。近藤さんの言葉が多くの人の心に届くことを願っています。

戦争の悲惨さを再び目の当たりにする今、私たちは皆、広島の教訓を思い起こす必要があります。

レイチェル・ニコルソン(翻訳家)

広島在住の翻訳者として、この重要なプロジェクトに携わることができて光栄です。

近藤さんの証言は人間性に溢れているからこそ、心に響く力があります。時々ユーモアを使い、時々涙を流しながら証言し続ける近藤さんの姿に感動しました。

一人でも多くの人がこちらの講話を観て、共感して、そして自ら核兵器問題や平和について身近な家族や友人に話してみようと思うきっかけになれたらと思っております。

【取材】

藤原宇裕(ふじわら たかひろ)

2020年8月6日に放送した被爆75年報道特別番組「誰がための放影研」で取材させて頂きました。近藤さんは生後8か月の時、爆心地から1.1キロで被爆。生死をさまよいましたが、奇跡的に助かりました。

今回、公開するのは、2020年2月神戸市にあるインターナショナルスクール「カネディアン・アカデミイ」で近藤さんが生徒たちへ被爆の実相などについて語った講演です。ほぼノーカットで構成しています。

今日、世界に1万3000発以上ある核兵器。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、今、世界は緊張に包まれています。核保有国、非保有国それぞれの国の人が近藤さんの言葉に耳を傾け、「核兵器とは何か」「戦争とは何か」「平和とは何か」を考えるきっかけになればと思います。

《プロフィール》

神戸市出身。在京キー局時代、国交省、都庁、環境省、原子力規制庁などを担当。2018年からテレビ新広島に勤務。現在、警察、司法、行政を取材する記者兼報道デスク。祖父は爆心地2キロで被爆。

【スタッフ】

取材
藤原 宇裕
撮影
山本 龍
ナレーター
石井 百恵
翻訳
ヴァシレヴァ ヴラデサヤ ビラノヴァ・ レイチェル・ニコルソン ・猿田 純哉
取材協力
カネディアン・アカデミイ・新庄 壮一
MA
講崎 友蔵
ナレーション収録
石本 澄子
企画・編集
吉村 美紀
監修・監訳
近藤 紘子・川野 徳幸
制作著作
TSSテレビ新広島
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