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わが青春のオーストラリア!
ANAクラウンプラザホテル広島 原めぐみ 総支配人
先日オーストラリア・デーを祝う会にてオーストラリアの名物料理を紹介しながら懐かしい食にまつわる話をさせていただいたところ、この度、このように原稿を書かせていただく機会をいただくことになりました。
20歳の時にタスマニア州ホバートのホテルで働き始めたのですが、最初は研修生バッジをつけて客室清掃のトレーニングから始めました。ハウスキーピングの年配の女性たち(愛情を込めて「おばさん」と呼ばせていただきます。)が「あれを持っていきなさい!」「これをやるといいわよ!」とたくさん世話を焼いてくれるのですが、ご存じの通りオーストラリアの「a」のアクセントは「エイ」ではなく「アイ」なので最初はなかなか理解できず「Pardon me?」の繰り返しでした。今考えると、おばさんたちは辛抱強く私に教えてくれていたなぁ、と感謝せずにはいられません。
さて、ホテルで働き始めた中で一番の驚きは1日に3回もティータイムがあることでした。8時30分始業で朝の「ティー」が10時にあり、ランチの「ティー」が12時にあり、午後の「ティー」が14時30分にあることでした。おばさんたちは「Shall we have a tea?」と時間になると声をかけあってキャンティーンに行くのですがそこにはいつでも紅茶が用意してあり、スコーンやミートパイも自由に取ることができて、イギリスの文化が受け継がれていることをとても強く感じました。
ハウスキーピングで1か月研修した後、2か月目にレストランに異動になりました。そこでは夫婦ともに同じレストランでパートタイマーとして働いている人たちがいました。二人でシフトをやりくりして旦那さんも幼稚園の送り迎えや家事をしていて、他にも多くのカップルが同じように子育てを共有しており、日本も将来こんな風になるのだろうか、と思いました。実際には日本はまだまだ子育てへの男性の参加の時間はオーストラリアより大幅に少ないのですがこれについてはぜひオーストラリアの文化を参考にしてみてはいかがでしょうか。
このようなオーストラリアでの生活や仕事の経験が、今の仕事に大きな影響を与えています。ANAクラウンプラザホテル広島の地域本部はシドニーにあり、オーストラリア人の同僚や上司と日常的にやり取りをしています。オーストラリアは第二の故郷のような感覚なので、いつも親しみを感じるのですが、それと同時に自国の自然や資源を守り、オーストラリアとしての文化の醸成のためにレガシーを大事にしている取り組みを見るたびに尊敬の念を感じずにいられません。
こうした文化の良い部分をご近所の国の人間として学ばせてもらい、そして日本で活かすことができればといつも考えます。
現在コロナウィルス禍で国を超えた移動が制限されていますが、落ち着いたらぜひまたオーストラリアに行って大自然と美味しいワインと料理を楽しみたい、と思います。