子育てアドバイス

Vol.1 子どもが自分から片づけたくなる整理収納について

答えてくれたのは 整理収納アドバイザー 高杉紀子さん
 小学4年生の息子は、リビングにランドセルを投げっぱなしにしています。リビングは来客があったり仕事に利用したりすることも多く、整理整頓はもちろん、見た目もすっきりしたいもの。でも、子どもに無理やり片づけさせても続きませんし、親のイライラは増すばかり。子どもとうまく共存できる整理収納方法を探すようにすれば、気持ちがとても楽になります。
 そこで、子どもと一緒に楽しみながら、整理収納に取り組んでみてください。


ポイント1 子どもの動線を見て、物の定位置を決める
子どもが片づけたくなる整理収納のコツは、簡単な方法にすること。まずは、子どもの動線を観察してみましょう。
 息子は帰宅すると自分の部屋を通り過ぎ、リビングでランドセルを下ろします。宿題はリビングで済ませます。「自分の部屋に置きなさい!」と言い続けるよりも、リビングにランドセルの定位置を設けてみました。目につきやすい、AVボードの一角。教科書などの収納場もリビングに置いたチェストに確保しました。これですっきり、息子も片付けやすくなります。
 また、洗面所に置いた3段の引き出しには、子どもの下着・靴下、パジャマ、水泳道具一式を収めています。下着類は、お風呂から上がったときの着替えをここで済ませるため、水泳道具は洗面所にあるタオルと合わせて準備するのに便利だからです。水泳道具は少し取り出しにくい一番下の引き出しに収納。収納場所の決定は、使用頻度を考慮します。
ポイント2 アクション回数を少なくする
リビングにあるランドセルや子どもの教材などは、どうしてもカフェカーテンを掛けたり箱に入れて目隠しをして、見た目をすっきりとさせたくなります。でも、カーテンを寄せるなどのひと手間=アクションでも、子どもは面倒に感じてしまう様子。開け閉めが不要なオープンな棚に置いたり、箱などで仕分けるなら大まかなグループ分けにするのが、整理収納を楽にするポイントです。子どもと話し合って、簡単にできる整理収納を考えた方が、親も子もストレスが少なくなりますね。
 小学校では毎日たくさんのプリントをもらってきます。それを教科ごとに仕分けし、ファイルしておいて復習する…それができればすばらしいことですが、教科に関係なく1つのクリアファイルに入れることに。クリアファイルがいっぱいになれば、学習机の深い引き出しへ移動して収納。年度末に、たまったプリントや使い終わった教科書やノートを処分するようにします。
ポイント3 増え続ける物は、収納に合わせてたびたび見直しを
子どものおもちゃは増え続け、使っていなくても思い出があって捨てられないことがよくあります。でも、放っておけば収納スペースがいくらあっても足りません。
 ここではおもちゃの収納用に3つのクリアケースを用意。息子なりにグループ分けをしていて、大きなおもちゃ、トミカのおもちゃ、そのほか何でも、と分類しています。新しいおもちゃが加わり、ケースからおもちゃがあふれるときに何かを処分することになります。このとき大切なのが、親が勝手に処分しないこと。「もう収める場所がないけどどうする?」「最近、使っていないね」と声をかけ、子どもにどうするかを決めさせます。それをできるだけくみ取ってあげましょう。捨てるばかりでなく、リサイクルショップを活用するのもひとつの方法。わが家では使わなくなったおもちゃは「サンタさんに引き取ってもらう」ことにしています。
 見直しを繰り返すうち、子どもは物を買う前に「これを買ったらどこに片づけようか」「それなら何を処分しようかな」と考えるようになります。お金の使い方が変わり、物を大切にする心も芽生えてきたようです。

おわりに…
子どもは自分が納得していないと動きません。子どもが自発的に片づけるのを、じっくり待ち、それが難しい場合は親子で話し合いましょう。
 また、子どもの整理収納にも息抜きが必要です。子どもが自由に飾ることができるスペースもつくってあげましょう。例えば子ども部屋の整理たんすの上。わが家ではぬいぐるみやおもちゃなどを飾ります。子どもも満足、親も少しずつ変わっていくディスプレーから、子どもの成長が感じられて楽しいものです。



高杉紀子さんプロフィール 2級建築士、IFA国際フラワーアレンジメント協会認定インストラクター
広島市在住、整理収納アドバイザー、インテリアコーディネーター。ハウスメーカー・家具メーカー・インテリアコーディネートオフィスで、CAD 入力やインテリアコーディネート業務に携わる。現在は「アトリエ 空(くう)」代表として、新築住宅やマンションのトータルインテリアコーディネートをはじめ、リノベーション・コンバージョン物件、モデルルームのコーディネートなど、インテリアから整理収納、お花まで暮らしのトータルコーディネートを提案する。
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