2013年12月6日(金)
Vol.5 9歳の危機!?やる気をひろげるには?
質問:子どもにやる気がありません。声をどう掛けたらいいの?
答えてくれたのは、おやイスト いとうともこさん
子どもたちに「勉強しなさい!」と言いながら、「なんで勉強しないといけないの?」と聞き返されて困った―という経験はありませんか。反抗期を迎え、自分の気持ちをしっかりと主張できるように成長した子どもたち。その年齢を迎えた子どもたちが生きる道を見つけ、生きる力を身に付けていくために、親としてできることをおやイストのいとうともこさんと一緒に考えてみました。
子どもたちに「勉強しなさい!」と言いながら、「なんで勉強しないといけないの?」と聞き返されて困った―という経験はありませんか。反抗期を迎え、自分の気持ちをしっかりと主張できるように成長した子どもたち。その年齢を迎えた子どもたちが生きる道を見つけ、生きる力を身に付けていくために、親としてできることをおやイストのいとうともこさんと一緒に考えてみました。
■将来を見出しにくい時代、子どもはなおさら
日本社会の様々な領域で、産業や経済の在り方、雇用の形態などさまざま構造的な変化が進んでいます。夢や希望を持てない、何がやりたいのか分からない、そんな子どもや若者が増えているといわれています。大人だって様々な不安を抱え、この先、どんな未来がひらけてくるのか、どんな社会がよいのかを一生懸命見い出そうとしている時代です。子どもたちはその空気を敏感に感じて育っていますから、大きく影響を受けて当然です。「勉強しろ」とか「もっとガンバレ!」と言うばかりでは、子どもたちのボルテージは下がっていくばかりです。
それよりも、やりたいことや大好きなことに向かって頑張る環境をつくったり、応援することで子どもたちのやる気アップにつなげたいもの。結果的に、これからまだまだ続く長い学校生活や勉強に、よい影響をもたらしてくれるはずです。
それよりも、やりたいことや大好きなことに向かって頑張る環境をつくったり、応援することで子どもたちのやる気アップにつなげたいもの。結果的に、これからまだまだ続く長い学校生活や勉強に、よい影響をもたらしてくれるはずです。
■反抗は自立への道、生き方を考え始める時期
小学校中・高学年は、2~3歳の「イヤイヤ」が顕著な第一反抗期と、14歳前後の思春期の第二反抗期の間、中間反抗期にあるといわれています。「9歳の危機」だとか「10歳の橋を渡る」ともいわれます。親や先生など周りの大人の矛盾に気づき、論理的に考えて意思を主張できる段階を迎えています。「あれ?」「それ、おかしい」「この前と違うよ!」という口答えが始まります。「親に反抗するなんて!」と腹立たしく思われるかもしれませんが、反抗は子どもたちにとっては自立への道。反抗しながら、自分の価値観をつくり、生き方を考え始めているのです。
保護者の方や先生方とは違った“自分の生き方”を考え始める時期であり、そんな時に、尊敬できる人、憧れの人の生き方に触れるということは、子どもたちに「夢」と希望をもたらします。そこからやる気も湧いて、勉強への意欲にも結びついていくと思われます。
保護者の方や先生方とは違った“自分の生き方”を考え始める時期であり、そんな時に、尊敬できる人、憧れの人の生き方に触れるということは、子どもたちに「夢」と希望をもたらします。そこからやる気も湧いて、勉強への意欲にも結びついていくと思われます。
■お手本となる大人の存在が意欲をもたらす
お子さんたちは「将来こうなりたい」とか、「こんなことやりたい」という「夢」や「希望」を持っていますか。持っているなら、その夢や希望に向けて、必要な学びやトレーニングを親子で調べてみてはいかがでしょうか。「まだ分からない」「特にない」ようなら、伝記や最近の著名人の子ども時代からの生き方について書いた本を勧めてみることもおすすめしています。
昔は地域にあった職業が、どんどん子どもたちから遠ざかり、ベッドタウンでは昼間に大人と出会う機会も少なくなっているという現状もあります。みんなと一緒に行動し、勉強や体育が他の同級生より上手にできることが評価される学校生活と違い、さまざまな職業に触れ、どの道も究めることは素晴らしくて面白いことを知ってほしいと思っています。プロの話は世界を広げ、好奇心を刺激してくれます。こうした刺激は、学ぶ意欲や喜びをもたらしてくれることでしょう。
昔は地域にあった職業が、どんどん子どもたちから遠ざかり、ベッドタウンでは昼間に大人と出会う機会も少なくなっているという現状もあります。みんなと一緒に行動し、勉強や体育が他の同級生より上手にできることが評価される学校生活と違い、さまざまな職業に触れ、どの道も究めることは素晴らしくて面白いことを知ってほしいと思っています。プロの話は世界を広げ、好奇心を刺激してくれます。こうした刺激は、学ぶ意欲や喜びをもたらしてくれることでしょう。
■プロフェッショナルとの出会いが生きる目的を考えるきっかけに
現在、私を含めて3人で、各分野のプロから話を聞く「プロに学ぶ!子どもキャリア塾」を企画・実施しています。主に小中高校生とその保護者を対象に、弁護士、webデザイナー、また呉市かまがり天体観測館の館長を招いてお話をしていただきました。11月に開催した「会社をつくって社長になろう」の会では、会社の仕組みを昔話「桃太郎」になぞらえて説明。その後、子どもたち一人一人がどんな会社をつくりたいか、そのために必要な仲間はだれか、給料などを考えて、参加者の前で発表しました。参加者の兄弟の幼児や1年生もしっかり発表してくれました。子どもたちが考えて口に出してみることで、会社の成り立ちや自分が将来できることの枠を広げてほしいと思います。
保護者が一方的にすすめても、反発するお子さんも多いと思います。伝記を読むことやキャリア塾のようなイベントで話を聞いてみることも、ひとつの方法です。反抗期に入っているお子さんには、「これいいよ」「読んでみたら」と直接すすめるよりも、本を目につくところに何気なく置いてみたり、保護者が面白そうに読んでみることをおすすめします。何より純粋に反抗したい時期ですから。いかに興味を持たせるかが、保護者や教師の腕の見せどころではないでしょうか。
保護者が一方的にすすめても、反発するお子さんも多いと思います。伝記を読むことやキャリア塾のようなイベントで話を聞いてみることも、ひとつの方法です。反抗期に入っているお子さんには、「これいいよ」「読んでみたら」と直接すすめるよりも、本を目につくところに何気なく置いてみたり、保護者が面白そうに読んでみることをおすすめします。何より純粋に反抗したい時期ですから。いかに興味を持たせるかが、保護者や教師の腕の見せどころではないでしょうか。
- おやイスト いとうともこ
- 子育てや子育て支援活動を通して、子どもたちが成長した後の未来を見据えた子育てについて、メールやネットでの情報発信、各種素材を使った手仕事体験を企画・実施。新しい時代をひらく子育て・教育への取り組みを進め、子どもの成長に沿った接し方、親子関係づくりや不登校を活かす方法などのお話会、畑や手仕事体験を楽しむ「にちよう楽校」を開催。子どもキャリア塾の企画・普及に努める。