子育てアドバイス

子どもの肥満傾向からみえる 食生活で気を付けたいことは?

 学童期は発育・発達の重要な時期。子どもの肥満に関する問題を中心に、子どもの食生活で気を付けたいことを、広島市教育委員会の健康教育課食育係、西尾佳代子さんに聞きました。
肥満傾向児は、減少傾向から横ばいに
 平成25年度学校保健統計調査(文部科学省)の「肥満傾向児の出現率の推移」をみると、平成18年度以降は減少傾向にあったのが、23年度以降はほぼ横ばいに推移しています。減少したといっても、1割前後の肥満傾向児がいます。肥満は病気のリスクを上げてしまうため、子どものうちから気を付けたいところです。
 また、年齢が上がるごとに肥満傾向児の割合が上がる傾向が男女ともに見られ、広島市の保健調査でも同様の結果が出ています。
 肥満傾向の改善には、食事と運動が大切です。一日三度の食事を規則正しく、楽しく食べること、ちょっと家族で出かけるなど、体を動かす習慣をつけることなどを意識してみはいかがでしょうか。
食事はバランスよく、3:2:1の割合で
 日々の食事が子どもの体をつくります。子どもの成長には規則正しく、栄養バランスのとれた食事を楽しく食べることが大切です。実際、朝食摂食率は広島市の小学生約97%、中学生約95%。しかし、朝食で野菜を食べたかどうかを聞いてみると結果は半数程度。食事の栄養バランスの見直しがまだまだ必要です。
 食事内容を見直す時には学校給食の献立を参考にしてみてください。給食は子どもが1日に必要なエネルギー量の3分の1が摂れるように、また1日に摂りたい栄養量の3分の1~2分の1が摂れるように考えています。給食を参考に、家庭の食事も主食、主菜、副菜を組み合わせて考えてみてください。主食はお米やパン、主菜は肉や魚、卵や豆腐などを使った主なおかず、副菜は野菜や芋、海藻を使ったおかずを指します。これらを主食3:主菜1:副菜2の割合で組み合わせることがおススメです。
 肥満傾向の改善にも、バランスのよい食事が一番です。
親子で話し合っておやつのルールを決めて
 バランスのよい食事を心がけた上で、肥満傾向を改善するために気を付けなければいけないことは、間食(おやつ)のとり方です。食べる量や飲み物によって、カロリーを摂り過ぎているかも。おやつは心のゆとりや楽しさを生むものでもあります。否定するのではなく、食べ方を見直してみて。おやつをとる時間や量などを親子で話し合ってみることを提案します。子どもも納得した「おやつのルール」なら、しっかりと守ることができるのではないでしょうか。
食事の満足度を高める工夫を
 食事を楽しく、時間をかけてゆっくり食べることで、満腹感を感じることができます。食事が家族団らんの楽しい場になるように考えてみませんか。朝食をゆっくりとることが難しいなら、夕食は家族そろって食べるとか、平日が難しいなら休日は一緒に食べるといった工夫を。
 テレビを観ながら何気なく食べてしまったり、一人で黙々とあっという間に食べ終わってしまったりしていませんか。時間をかけて会話を楽しみながらゆっくり食べることで、満腹感が随分と変わるはずです。
 楽しく食べる環境なら、嫌いな食べ物のイメージもアップして好き嫌いの克服も期待できます。食事の満足度を高めることは、間食を減らすことにつながります。
 子どもが将来にわたって自分の身体を大切にし、健康を気遣いながら成長していけるように、家庭での食事の時間を大切にしてください。広島市では、毎月19日を「わ食の日」として、栄養バランスのとれた日本型食生活を指す「和食」、食卓を囲む家族団らんの「輪食」、環境に配慮する「環食」の3つの「わ食」を推進しています。ご家庭で食生活を振り返るきっかけにぜひ「わ食」を取り入れてみてください。
広島市教育委員会 学校教育部
健康教育課 食育係
主任指導主事 西尾佳代子(管理栄養士)
(広島市立学校栄養教諭の経験をもつ)
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