2017年4月13日(木)
どうする?どうした?中学受験
入学・進級シーズンを迎え、子どもの中学受験を検討すべきか悩み始めた家庭もあるかもしれません。そこで、実際に中学受験を経験した3人の保護者に、体験談を聞きました。
Aさんの場合(長女・長男の受験を経験)
●中学受験は、いつごろ、誰が決めましたか? またその理由は?
当初全く中学受験をする予定ではありませんでした。上の子が4年の時の二分の一成人式で「将来英語関係の仕事に就きたい」という娘の発表を聞き、私立の学校も進学先の選択肢の一つとしてもよいかなと思ったことがきっかけでした。夫と娘と話し合って決めました。下の子は姉の様子に影響を受けて、自然な流れで受験することになりました。
●いつごろから、どんな準備を始めましたか?
上の子は受験を決意してからすぐ(4年の2月くらい)、下の子は小3年の2月くらいから塾に通わせました。
●塾と学校の勉強の両立に、どんな工夫をしましたか?
あまり特別なことはしていなかったように思います。学校の事はきちんとした上での中学受験と考えていたので、学校の宿題や提出物はできているか声かけをして確認していました。
塾には夕食を食べさせて行かせていました。特に高学年は塾からの帰宅時間が遅いので食事をとらないと最後まで学習に取り組むのは難しいかと思います。私が仕事を持っていて塾の送迎時間ぎりぎりに帰宅していたのですが、夫の実家が近くということもあり、母の協力のもと食べさせた上で送り届けていました。
帰宅してからは睡眠時間が確保できるように声かけをしていました。またTVや大好きな野球観戦等息抜きの時間も必要なので時間のやりくりに気を付けていたように思います。
●子どもがやる気や自信を失った時はありましたか? その時どんな声をかけましたか?
塾のテストの成績が思わしくなくて落ち込んだ時もありました。受験本番ではないから大丈夫と声かけしていたと思います。頑張っている子供を攻めるような言葉がけはしないように心がけていました。正直感情的になることもありましたが、ひと呼吸して気持ちを落ち着かせていました。それでもどうしようもないときは塾の先生に相談していたと思います。話を聞いてもらえるだけでも落ち着くものです。
●結果を受けて、どうでしたか? また受験を経て子どもさんに変化は?
上の子は第一志望の学校とご縁があり、努力は報われるということを身をもって体験できたのではないかと感じています。何事に対しても、とは語弊がありますが、一生懸命さ、真面目さはそのころの経験に基づいているのではないかと思います。
下の子は第一志望の学校とは縁がなくて大変悔しい思いをしたみたいです。受験本番は一度きりなので、自分の思い通りにならない事があるのだと痛烈に感じたと思います。後悔しないように自分に何が出来るのか、どうすればよいのかを考えるいい機会になったのではないかと思います。
●こうすれば良かったなど、これから受験を考えている方にアドバイスがあれば
中学受験は親のサポートがとても必要だと思いますが勉強に関してはあまり口出しせずにプロの塾の先生にお任せするのが良いと思います。親は子供の体調管理、(特に美味しいごはんでしょうか)が大切です。子供が悩んでいるときはいつでも相談にのるから任せなさいという懐を持てたらいいですね。(これは現在でも課題ですが…)。また、時々「よく頑張ってるね」の声かけをしてあげてください。親から認められていると感じることは子供にとってとてもうれしい事で気を起こさせることになるのではないかなと思います。頑張ってください。
Bさんの場合(長女の受験を経験)
●中学受験は、いつごろ、誰が決めましたか? またその理由は?
4年生の頃、本人と話をして決めました。「将来の夢に向かって、少しでも高い実力をつけるため」と考えましたが、本人は「何か特別でわくわくするもの」ぐらいにしか感じていなかったかもしれません。
●いつごろから、どんな準備を始めましたか?
4年生から中学受験専門塾に通いました。
●塾と学校の勉強の両立に、どんな工夫をしましたか?
娘の場合、スポーツ系の部活に入っていたので、学校の勉強との両立というよりは、部活との両立に悩んだことがありました。最終的には、本人の意思で最後まで部活を続けることを選びました。
部活との両立のため、自宅近くにある授業時間が短い塾に変え、通塾のための時間短縮をしました。夜は塾の勉強を中心にし、学校の宿題は、限られた時間で手早く終わらせるため、朝、登校前に取り組みました。
週4日ある部活練習は、塾がある平日1回は休むことにし、塾の授業やテスト日が練習試合や公式試合と重なる日については、本人の意思でどちらを優先するか決め、塾を休む日は補講などでカバーできるよう、早目に塾側と調整を行いました。
●子どもがやる気や自信を失った時はありましたか? その時どんな声をかけましたか?
塾の宿題が多い、授業はどんどん先に進む・・・その繰り返しに追われる日々に疲れ果ててしまい、反抗期も重なって、親子関係が悪化しそうな時期がありました。(実際、悪化しました・苦笑)
「今やっていることは、いつか必ず自分の力になるよ。」「やめる事はいつでも出来るから、もう少し続けてみたら? それでもだめなら、その時にやめるかどうか考えようよ。」これをひたすら繰り返し、“だましだまし”最後まで引っ張りました。
●結果を受けて、どうでしたか? また受験を経て子どもさんに変化は?
「自分がしてきたことが結果のすべて」だということを理解して、いい結果も、悪い結果も淡々と受け止めていました。第一志望校には合格できず、地元の公立中学校で頑張る決意をしました。
何事に対しても、自分はどこまで頑張ったのか、限界はどこなのか、自分に何が足りなかったのか、自己分析できるようになったと思います。
●こうすれば良かったなど、これから受験を考えている方にアドバイスがあれば
受験と部活、どちらも中途半端な取組になってしまった感はありますが、部活で思いっきり汗を流し、チームメイトと女子ばなで盛り上がるひと時は、プレッシャーからの一時逃避、ストレス発散、心身バランスを保つために貴重な時間だったと思います。
親子ともに精神的に追い詰められ、視野が狭くなりそうになった中学受験、時には心身ともにリラックスできる時間をつくり、「よ~し、また、がんばるぞ!」と前向きになれる環境づくりは大切だと思います。
Cさんの場合(長男の受験を経験)
●中学受験は、いつごろ、誰が決めましたか? またその理由は?
5年生に上がる前に、習い事(英語・空手など)を続けるか、塾に行って受験するか本人に決めさせました。憧れの仕事をしたいという夢もあり、「受験する」と言ったので、第一・二志望校に受からなかったら地元中で、と決めて臨ませました。
●いつごろから、どんな準備を始めましたか?
5年生から塾に通いました。
●塾と学校の勉強の両立に、どんな工夫をしましたか?
学校の勉強はないがしろにしないように言っていたので、塾の時間が長い日は宿題が少し大変そうでした。塾でつける学力とは違うことを学校では学んで欲しいと思っていたので、受験前も休ませず、本人も学校で友達との時間を楽しんでいました。
●子どもがやる気や自信を失った時はありましたか? その時どんな声をかけましたか?
マイペースだったので、模試の結果があまり良くなくても、そんなに気にした風はありませんでした。社会が苦手だったので、私の知り合いから、歴史を歌で覚えられるCDを借りて車の中で聞くようにしたら、伸びてきたのは安心に繋がったようでした。
受験が近くなった時に同じようなミスを繰り返していることに気づき、間違った問題をノートなどに貼って苦手問題集を作ってやったら効果があったので、もっと早く間違いをつぶす対策をするよう声をかければ良かったと思いました。
●結果を受けて、どうでしたか? また受験を経て子どもさんに変化は?
結局、第一・二志望校には届かず、模試の判定はある程度正しく奇跡は起きない、努力や積み重ねが大切ということを感じたと思います。合格をいただいた第三・四志望校に行くか、地元の公立中に行くか家族会議を重ね、第三・四志望の私立から一つを選びました。その学校の教育には満足しているので、良かったかなと思っています。ただし、入学してから気を抜きすぎなので、大学受験までに中学受験の経験を思い出してくれればいいなと思っているのですが(笑)。
●こうすれば良かったなど、これから受験を考えている方にアドバイスがあれば
受験するのは子どもなので、まずは親の希望より子どもの意志が必要だと思います。うちの場合は、本人が野球やサッカーには興味がなかったので、たまたま勉強を頑張るという選択をしたのかな、と。勉強したことは先々まで無駄にはならないので、それはそれで良かったと思っています。
地元中でもいいと思っていましたが、いざ受験するとやはり2年間頑張ってきた姿を知っているので、不合格だと落ち込みました。第三・四志望校は受かっても行かせないと思っていたけれど、一つでも合格通知をもらうと安心できたので、一校に絞ってしまわず模試代わりくらいの感覚でも追加で受けておいてもいいと思います。
こうしてみると、受験に至った経緯も結果の受け止め方もそれぞれですが、各家庭で子どものことを考えてサポートしていたことがわかりますね。これから中学受験を考えているご家庭は、身近な経験者の声なども参考にしてみてください。