2017年10月12日(木)
それぞれどう接したらいい?性格の全く違う兄弟姉妹
先月より「家族と子育て」をテーマに、広島大学大学院教育研究科の教授で、学校心理教育支援室 「にこにこルーム」の担当をされている栗原慎二先生に話を聞きます。今月は「兄弟」。性格が全く違う兄弟姉妹にどのように接するべきでしょうか?
その子その子に合った方法で向き合う
兄弟といえども、それぞれ別々の人間ですから、子どもが違えば育て方が違うのは当たり前です。それぞれの個性をよく見て、その子に合った育て方をするのがベストと言えます。心理学的には「適性処遇交互作用」という言葉があるのですが、同じ方法が同じ効果を生むとは限らないということです。
例えば、アメリカの俳優トム・クルーズは、「自分はディスレクシア(失読症)だ」と公表しています。文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害です。だから脚本を読むことは難しいけれど、台詞は全て耳で覚えてしまいます。耳で聞いて判断できる人には字や絵を見せる必要はありません。逆に絵を見なければ判断できない人には、口で言っても難しいということになります。
よく「この子は何回言ってもわからん」というようなことがありますが、もしかしたら伝える方法が間違っているのかもしれません。その子その子の適性に合わせて、伝え方を変えないといけないのです。
例えば、アメリカの俳優トム・クルーズは、「自分はディスレクシア(失読症)だ」と公表しています。文字の読み書き学習に著しい困難を抱える障害です。だから脚本を読むことは難しいけれど、台詞は全て耳で覚えてしまいます。耳で聞いて判断できる人には字や絵を見せる必要はありません。逆に絵を見なければ判断できない人には、口で言っても難しいということになります。
よく「この子は何回言ってもわからん」というようなことがありますが、もしかしたら伝える方法が間違っているのかもしれません。その子その子の適性に合わせて、伝え方を変えないといけないのです。
それぞれを“えこひいき”して愛されているという満足感を
兄弟げんかの原因の一つに、親の愛情の取り合いがあります。幼児が兄弟の赤ちゃんが生まれた時に、“赤ちゃん返り”などの退行現象を見せることがありますが、これも愛情を注いでほしい、自分もかまってほしいという心理の現れです。こういう時に「何やってるの、お兄ちゃんでしょ」などと突き放してしまうと、「自分は愛されていない」という傷を抱えてしまいます。逆に、しっかりと気持ちに寄り添ってあげれば、「自分も愛されている。弟はまだ小さいから仕方ない」と理解につながりやすくなります。
こういう話をすると「うちは兄弟両方に愛情を注いでいる」と戸惑う保護者の方もおられると思いますが、大事なのは親が「充分に注いでいる」と思うことではなく、子どもが「充分に注がれている」と感じられることです。この解決方法でお勧めなのは“えこひいき”です。例えば他の兄弟がいない時などに、その子のことをたくさん褒める、しっかりハグするなど、目一杯えこひいきしてあげてください。
自分が愛されていると思うことは、兄弟のことを受け入れることになります。夫婦も、親子も、それぞれの性格や個性の違いを受け入れ合うことができれば、お互いのことを尊重できます。
こういう話をすると「うちは兄弟両方に愛情を注いでいる」と戸惑う保護者の方もおられると思いますが、大事なのは親が「充分に注いでいる」と思うことではなく、子どもが「充分に注がれている」と感じられることです。この解決方法でお勧めなのは“えこひいき”です。例えば他の兄弟がいない時などに、その子のことをたくさん褒める、しっかりハグするなど、目一杯えこひいきしてあげてください。
自分が愛されていると思うことは、兄弟のことを受け入れることになります。夫婦も、親子も、それぞれの性格や個性の違いを受け入れ合うことができれば、お互いのことを尊重できます。
“手がかからない子”にこそ、目と手をかけて
時々あるのが、兄弟のどちらかはあまり手もかからないのに、もう一人にはとても手がかかるというもの。特に上の子に手がかからなかった場合、その成功体験が通用しないことで、保護者の方も混乱しがちですが、最初に述べたように、子どもは一人ひとり違いますので、経験にとらわれずに向き合い方を変えてみましょう。
そして、気を付けなければいけないのは、手のかかる子ではなく、手のかからない子へのケア。手がかかる子は常に周囲からの目や手が向けられて育ちますが、手のかからない子は自分の感情を押し込めてがまんを重ねている場合があります。「この子はいい子だから大丈夫」と安心して手や目を離してしまうのではなく、時にはしっかり向き合って思いを聞いてあげて、「無理しなくていい、がまんしなくていい」ということを伝え、気持ちを開放させてあげるようにしましょう。
そして、気を付けなければいけないのは、手のかかる子ではなく、手のかからない子へのケア。手がかかる子は常に周囲からの目や手が向けられて育ちますが、手のかからない子は自分の感情を押し込めてがまんを重ねている場合があります。「この子はいい子だから大丈夫」と安心して手や目を離してしまうのではなく、時にはしっかり向き合って思いを聞いてあげて、「無理しなくていい、がまんしなくていい」ということを伝え、気持ちを開放させてあげるようにしましょう。
- 栗原慎二(くりはらしんじ)
広島大学 大学院 教育学研究科 教授
日本学校教育相談学会 会長
日本スクールカウンセリング推進協議会副理事長
日本ピアサポート学会常任理事
公益社団法人学校教育開発研究所(AISES) 代表理事 - 学校心理教育支援室 にこにこルーム
<a href="http://home.hiroshima-u.ac.jp/cserd/nikoniko/">http://home.hiroshima-u.ac.jp/cserd/nikoniko/</a>
児童・生徒、保護者、教育関係者の皆様を対象とした相談室。学習支援、心理支援の両面からサポートします。
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