子育てアドバイス

子どもが育つ!夏休みはお手伝いに挑戦しよう

 夏休みに入ると、子どもたちが家で過ごす時間は長くなりますね。夏休みをうまく活かし、子どもたちがお家の仕事、お手伝いを積極的に取り組めるよう親子でチャレンジしてみませんか。
 今回は家事の専門家であるママ楽サポート代表の西村祐紀さんに、子どものやる気を引き出しながら楽しくお手伝いをしてもらうコツをお聞きしました。

夏休みはお手伝いをしてもらいたい! どんなことから始めると良いでしょうか
 子どもたちには無理なく、楽しみながら出来ることから始めるのがお勧めです。子どもたちは水遊びが好きですから、夏らしく水を使う涼しげなものから手伝ってもらってはいかがでしょうか。
 お風呂洗いや洗い物、シンク磨きや、水を使ってデッキブラシでベランダ掃除なども子どもたちは楽しんでやってくれるはず。約40日の夏休みはお手伝いを通じて子どもが成長するチャンスになります。


子どもがお手伝いを嫌がります・・・
「親が楽をするために『これ、やっておいてね』と子どもにお手伝いを強要していないでしょうか」(西村さん)
 
西村さんに伺ったところ、子どもにお手伝いをしてもらう最初のステップは、《簡単なものだけやらせてみる》ことだそうです。
例えば、お皿洗いを手伝ってもらう場合、まず親子で一緒に台所に立ち、親が大きなお皿や汚れのひどいものだけを先にやって見せます。そして、小さなものや汚れの軽いものを少しだけ残し、「これだけ手伝って」と子どもにやらせてみます。
そして、どんなに簡単なことでもきちんと出来たら「良く出来たね、助かったよ」というフィードバックをしてあげましょう。親に褒められるということは子どもにとって最大の喜びです。

お手伝いを初めから完璧にやらせようとすると、子どもは抵抗感を示します。やったことがないお手伝いはうまく出来ないかも知れません。うまく出来ていない結果を見た親が「きちんと出来ていない」と子どもに指摘すると、子どもはお手伝いを楽しめず、抵抗感を強めます。
 
 お手伝いをさせる目的は、子どもが家事をする能力をつけること。親自身が楽をしたいために手伝いを強要すると、子どもはお手伝いを楽しめません。無理のないお手伝いから始め、褒められることが大切です。大好きなお母さん、お父さんの役に立っていることが達成感となり、最終的にはお手伝いが出来る子に育ちます。

子どものお手伝いは10分でできることから
 いきなり高度なお手伝いを要求することが無理なのと同様、時間がかかりすぎるお手伝いも子どもには不向きです。
 子どもが楽しんでお手伝いをできる時間はせいぜい10分程度。子どもの能力に合わせてが10分でできることをやってもらいましょう。初めは親子で一緒にできることが好ましいようです。親子で一緒に洗濯物を畳みながら子どもにはタオルだけ畳んでもらうなど、簡単にできること、時間がかかりすぎないものから始めてみましょう。
また、夏休み中の子どもの仕事としてお手伝いをやってもらうなら午前中が良い、と西村さんは話します。宿題を午前中に済ませるのと同様、朝は子どもがまだ元気で、お手伝いに集中しやすい時間帯のようです。


子どものお手伝いには親の力量が問われる?
 「子どもが『お手伝いをしてくれない』と言う方は、お手伝いをしやすい環境づくり、仕組みづくりを考えてみては?」(西村さん)

 コツはお手伝いを子どもの仕事にしてしまわないこと。初めは、失敗しても大きな問題にならないような簡単なお手伝いから気楽に始めさせることが重要です。子どもにも考えさせながら、親も一緒に楽しみながら取り組んでみては。

「コレとアレ、どちらかやって欲しいんだけど、どちらにする?」
「どうすればキレイにできると思う?」
子どもが主体的に取り組み、自分の頭で考えて進められるようにしてみてください。自分の意見が通った、自分の考えを親が聞いてくれたという経験は子どもの満足感や達成感を生み出します。
初めから完璧にできる子どもはいません。すぐに結果を求めず、楽しみながら出来るものからやってもらうことがお手伝いを継続させるポイントです。


報酬は褒められること
 様々な考え方がありますが、それでも西村さんは「お手伝いを即、金銭的な報酬につなげることは少々疑問があります」と話します。
 もちろん、労働の対価として報酬を得るという社会の基本原則を子どもが理解することは間違っていません。しかし、お家でのお手伝いついては、自分がしたことが家族の役に立っていること、それによって親が助けられたと喜んでくれていることが、子どもにとっての何よりの報酬になっているはずです。
 褒めてもらいたい、喜んでもらいたいという子どもの素直な欲求に対して、必ずしも金銭で応える必要はないのではないでしょうか。むしろ、金銭によってしかお手伝いが出来ないというのでは少々寂しいかも知れません。協力し合って家族の生活が成り立っていることを、お手伝いを通じて子どもが学んでいくことが重要です。

お手伝いをしてもらうときの親の心構えとは
 お手伝いは将来に向けて子どもの生きる力をつけるための学びです。結果として親が楽になることはあっても、楽をすることが目的になってしまうと、子どもにとっては苦痛になってしまいます。
 子どもが楽しく家事に取り組めるためには、初めに親が期待し過ぎず、一緒に取り組むという意識が必要です。いきなり丸投げではなく、少し手伝うことで助けられた親が喜ぶということを子どもが感じながら、少しずつ出来ることを広げていくようにしたいもの。
 子どもが楽しんで出来ることから始め、万一うまく出来なくても叱ったりせず、「どうしたらもっとうまく出来るかな」と親子で話し合えるくらいの余裕が欲しいですね。そのためには子どもが出来る範囲で手伝いをさせるということが重要になります。

「お手伝いを親子のコミュニケーションにうまく利用してください。親にとっては褒める力、育てる力量を求められる場です」(西村さん)

 親子で話し合いながら取り組み、少しずつ出来ることをレベルアップしていく。その繰り返しが子どもの生きる力を育てます。

夏休みを家族の絆をつくる40日間に
 長い休暇をどうすごすかによって、子どもの成長は大きく変わります。お手伝い一つを取ってみても、責任を持って自分の仕事を果たすことを覚えれば、子どもにとって大きな成長になります。
 時間に余裕がある夏休みだからこそ、子どもに小さなお手伝いからチャレンジさせてみてください。
 お手伝いを通じて親は子どもと関わる時間を作り、一緒に考えたり取り組んだりしてみてはどうでしょう。大好きなお母さん、お父さんが「ありがとう、助かるよ」と声をかけてあげることで、子どもたちは家族の中での自分の役割や立ち位置を理解し、より一層、家族の絆を深めることが出来るのではないでしょうか。

「8月の中頃、お盆を過ぎると夏休みは終盤を迎えます。それまでに色々なお手伝いに取り組んでみることをお勧めします」(西村さん)

 いつも忙しくしているお母さん、お父さん。夏休みこそ、子どもの成長を信じて、小さなお手伝いをお願いしてみてはどうでしょうか。

西村 祐紀(にしむら ゆき) ママ楽サポート 代表
広島市西区古江西町5-24-104
TEL 082-942-0545
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