子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】ワンオペ子育てがキツくても相談できる人がいません…。

●子育ては誰がやっても大変。誰かを頼って良いのです。
「ワンオペ子育てがキツくても、相談できる人がいません」とのお悩み、辛いですね。忙しくて大変な時に、誰かに話を聴いてもらいたい、誰かを頼りたいと思うのは自然なこと。そんなとき、安心して相談できる人がいると、それだけで心が安らぎますね。

まずお薦めしたい対処法は、ご自身の今の状況を見渡してみましょう。深呼吸して、自分が何に困っているのか、立ち止まって少し考えてみましょう。場合によっては、困っていることをノートに書き出してみるのも良いかもしれません。書き出してみると、頭の中が整理され、取り組むべきことの優先順位が見えたりして、少し気持ちがスッキリすることもあります。

さらにお伝えしたいのは、子育てと家事や仕事との両立は、誰もが苦悩していること、自分一人で抱え込んで解決できることではない、誰かを頼って良いということです。1人の子どもを育てあげることは、そもそも複数の大人が多くのエネルギーを注ぐことにより、初めて実現するものです。その上、子育てと家事や仕事の両立となると、益々多くのエネルギーが必要となるでしょう。職場での責任が発生している仕事に加えて、家事や子育てを両立していくことは、決して容易なことではありません。

相談者ご本人にとっては、周りの人は難なくやっていることだし、なぜ自分だけこんな思いを抱くのだろう、どうして自分はうまくいかないのだろうと情けない気持ちになったりすることもあると思います。しかし、実際には、子育てと仕事の両立を難なくこなすことができている人はいないように思います。もし仮に、「特に困っていません」と感じている人がいるならば、その人は、助けてくれる近親者や地域の人に恵まれていることが考えられます。

親は子どもが誕生したら立派な親になれるかというと、そうでもありません。生物学的には親ですが、すぐに成熟した養育行動が備わるわけではなく、親自身も日々の子育てのなかでゆっくりじっくり、親性が育まれていくのです。子どもが時間をかけてできないことができるようになる、ゆっくり成長するのと同じように、親自身も日々の養育行動を通して、我が子のために成熟した養育行動ができる親になっていくのです。

子育てしていると、次々に新たな困難が押し寄せてきます。子どもの成長と共に親が抱える子育ての悩みは変化していきます。子どもが赤ちゃんの時には、離乳食はうまくいくだろうか、目を離している間に怪我をしないだろうかなどの不安は尽きないでしょうし、幼児期になると幼稚園の生活に慣れてくれるだろうか、他の子どもと比べて私の子どもは何か問題があるのではないだろうかと思い悩む日もあるでしょう。

小学校に入ると、友達との関係で心配することも生じてくるかもしれません。目まぐるしく展開するデジタル化のなかで、携帯電話はいつから持たせたらいいのだろう、あんなにゲームばかりして大丈夫だろうかなど、悩みの性質は年齢によって大きく変化していくのです。つまり、何歳になったら、子育ては終わりという性質のものではないのです。

このように考えると、子育てする親は、誰もが悩ましい思いを抱えながら生きている、むしろ「子育てがうまくいった」と言う人はいないのではないでしょうか。「子育てで困っていることがある」、「仕事との両立で大変だ」、こういった悩みは、どの家庭の親も大なり小なり感じていることで、特別なことではないのです。
●いま抱えている悩みや不安を解消するために。
この悩みながらの子育てを人々はどうやってくぐり抜けていくことができるのでしょうか。困っていることを口にして誰かに聞いてもらうこと、困っている者同士で愚痴を言い合ったり、人生の先輩に話を聴いてもらったり、時には専門家に子育てアドバイスをしてもらったりする、つまり、誰かに頼ること、これに尽きると思います。

我が子のことについて、誰かにちょっと話したり、不安を聴いてくれる人がいたり、そういった場所があるだけで、気持ちがずいぶんと楽になります。是非、隣近所の人や地域の人で話ができそうな人がいないか見渡してみましょう。

住み始めたばかりの地域なので、近くに知り合いがいない人は、地域の幼稚園や保育園、子育て支援センターなどで話を聴いてもらうと良いでしょう。こういった場所では、園やセンターを地域に開放し、誰もが子どもを連れて園に行き、遊んだり話をしたりできる機会が設けられています。園や子育て支援センターの保育士の先生がじっくりと話を聴いてくれますし、また、そこには、他の親子も来ていますから、他の親と子育てで気になることや、家事や仕事との両立で悩んでいることを話題にしてみると良いでしょう。人に話をしてみると、「他の人も悩んでいるんだ」「同じような思いを抱えているんだ」と気づくことが多いものです。

親自身が悩みを抱えている場合、子どもと向き合う際に、じっくり子どもと向き合うことが難しくなっていることも心配しなければなりません。親が悩みからのストレスや疲れを抱えている場合、子どもは、それらを無意識に感じ取ってしまい、子ども自身も落ち着かなくなってしまう、つまり、子どもの心にも影響を与えてしまうことがあります。親がストレスや疲れをため込んでしまわず、ゆったりと子どもと過ごすことができることが大切です。我が子のためにも、一人で抱え込まず、周りの力を借りることに一歩踏み出してみましょう。
●子育てに優しい共生社会の実現を目指して。
誰かを頼って、サポートしてもらったときには誰もが心が楽になり、ハッピーな気持ちになります。それはサポートしてもらった側のみならず、サポートした側にとっても、誰かの役に立てたこと、「ありがとう」と言ってもらえることは、心地よいものでしょう。

今は子育てと仕事の両立に大きな苦労を感じながら過ごしていらっしゃるかもしれません。でもそういう時だからこそ、地域の人を頼り、職場の上司や先輩を頼り、いろいろな人々の力を借りましょう。力を貸してくれる人達の中には、数十年前、実は自分も苦労を感じながら子育てしていた方がいらっしゃいます。自分の子育てが一段落してきて、「子育てする若い人達に数十年前の自分の姿が重なり、応援したい」と思ってくださっているかもしれません。

そしてやがて、この相談をしてくださった方ご本人も、数十年後には、子育てする若い親達に地域で出会う日がくることでしょう。その時には、人生の先輩として応援していきましょう。

子育てにかかわって人々が支え合っていく営みは、これまでも、そしてこれからも、世代を超えて循環し、社会がつくられていくのではないでしょうか。子育ての悩みはもちろん、人々は誰もが悩みを抱えながら生きています。「話を聴いて欲しい」「困っていることがある」と社会に声を上げること、その声に地域の人々、社会が耳を傾けていく、そういう誰にとっても安心して生きていくことができる共生社会を皆でつくっていきたいものです。
永田彰子 安田女子大学教育学部児童教育学科
准教授
広島大学教育学研究科博士課程後期修了 博士(教育学)
専門分野は、発達心理学、子育て支援
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