2024年9月6日(金)
【よくある相談シリーズ】夏休み明け、子どもが「学校に行きたくない」と言い出しました…。
楽しかった夏休みも終わり、新学期が憂鬱という子どもがいるかもしれません。もし我が子が「学校に行きたくない」と言い出した時、親にできることはあるのでしょうか?今回は、養護教諭として長年小学校に勤め、現在は大学にて教鞭をとる寺西先生に、夏休み明けの子どもの不登校の原因や、親ができるサポートなどを聞きました。
疲弊した子どもがSOSを発する夏休み明け
長い夏休みが終わり、学校が再開する時期は、子どもが学校に行くことを嫌がり、不登校になりやすいタイミングといわれています。不登校になる子どもの割合が一番多いのは、4月から5月にかけての新学期です。なぜならクラス替えや担任の先生が変わるなど、新しい環境が引き起こす不安を子どもが抱えてしまうからです。しかし、そこはどうにかギリギリの状態で頑張り、保護者の期待に応えて頑張った子たちが息切れを起こしてしまうのが夏です。1学期を乗り越えてやっと夏休みを迎えた子どもは、本来の自分が出せる家で寛げる環境を得ます。しかし2学期という戦場へ向かうとなると、疲れ果てた子どもたちが学校に行けないというケースが多く見られます。
原因探しをせず子どもを問い詰めない
不登校になる原因はさまざまあります。「特定の子からいじめられている」「勉強がわからない」「そりの合わない子がいる」など、理由がはっきりしている場合は、早急に保護者と学校が対応すれば早期に解決する場合があります。
しかし昨今、「明確な理由はないけれど、なんとなく学校に行きたくない」という子が増えています。もちろん突き詰めていけば、小さな理由はたくさん出てきます。でもそれは、学校に行かない理由を、保護者から問い詰められて頑張って探しているからに過ぎず、子どもの本心でないことが多いのです。お父さんやお母さんにしてみれば、「子どもが学校に行けないくらい辛いと言っているのだから、きっと何か原因があるのだろう」と、必死で理由を見つけようとします。しかしその行為は、どんどん子どもを追いつめてしまいます。「我が子のためにやれることはやりたい」と思う気持ちはよくわかりますが、だからといって、理由を強引に引き出し、無理に子どもを学校に行かせようとするのはやめましょう。
しかし昨今、「明確な理由はないけれど、なんとなく学校に行きたくない」という子が増えています。もちろん突き詰めていけば、小さな理由はたくさん出てきます。でもそれは、学校に行かない理由を、保護者から問い詰められて頑張って探しているからに過ぎず、子どもの本心でないことが多いのです。お父さんやお母さんにしてみれば、「子どもが学校に行けないくらい辛いと言っているのだから、きっと何か原因があるのだろう」と、必死で理由を見つけようとします。しかしその行為は、どんどん子どもを追いつめてしまいます。「我が子のためにやれることはやりたい」と思う気持ちはよくわかりますが、だからといって、理由を強引に引き出し、無理に子どもを学校に行かせようとするのはやめましょう。
ありのままの子どもを受け止め抱きしめる
とは言え、子どものこととなると親はなかなか冷静にはなれません。子どもから「学校に行きたくない」と言われたら、大変なショックを受けることでしょう。子どもは言葉を絞り出し、その言葉を聞いたお母さんやお父さんの表情を見ています。その時、怒った表情を読み取ると、もう正直な気持ちは言えなくなってしまい、お母さんがショックを受けた表情をすると子どもも動揺してしまいます。その時、「そうだったんだ、よく教えてくれたね。」と言えるといいですね。もちろん、それが難しいということはよく分かります。まずは、ありのままの子どもを受け止めてあげてください。子どもは親が大好きです。親に心配をかけたくない、傷つけたくないと本心を隠し、期待に応えようと必死で頑張っています。
心配は少しそばに置いて、「応援するよ。寂しい思いをさせていたのならごめんね。そのままのあなたが大好きだよ。いつでもあなたの味方だよ」と、しっかりと口に出してメッセージを伝えてあげてください。そして「一緒に頑張ろう」という姿勢でいてください。外で自信を失いがちな子どもたちには、自信を回復させてあげる安全基地が必要です。その安全基地が家であり、お父さん、お母さんをはじめとする身近な人なのですから。
心配は少しそばに置いて、「応援するよ。寂しい思いをさせていたのならごめんね。そのままのあなたが大好きだよ。いつでもあなたの味方だよ」と、しっかりと口に出してメッセージを伝えてあげてください。そして「一緒に頑張ろう」という姿勢でいてください。外で自信を失いがちな子どもたちには、自信を回復させてあげる安全基地が必要です。その安全基地が家であり、お父さん、お母さんをはじめとする身近な人なのですから。
不登校支援を強化する広島の学校現場
正直に言うと不登校を改善する「こうすべき」という正解はありません。子ども、親のそれぞれの性格など、ケースバイケースで対応は違うからです。遠慮せず、まずは学校に相談してください。担任の先生、養護教諭、校長先生、その他に話しやすい先生がいれば、誰でもかまいません。そしてできれば、「子どもがこういう理由で行きたくないと言っています」と、親が先走って子どもの気持ちを代弁するのではなく、子どもの口から自分の意思を話せる環境をつくってあげてください。
そして、子どもの意思を大切に支援することが重要です。教室に入りたくなければ保健室など子どもが行きやすい場所、行ける時間帯に行けばいいのです。子ども自身が勉強に心配を持てば、先生はきっと宿題はどうしますか、こんな方法もありますと提案してくれるでしょう。一人で悩まず相談すれば、学校の中で、その子その子に対応した支援体制が整えられていくはずです。
広島県教育委員会は2019年に、県内の指定11校に、不登校傾向の児童生徒の支援のためにスペシャルサポートルーム(SSR)を作りました。2024年度には、小中合わせて、全42校に設置が広がっています。また最近は、どこの学校にもスクールカウンセラーが来校しますし、どこの市区町村にも相談窓口はあります。保護者が相談する窓口は以前に比べて確実に広がっています。加えて、現在の小学校現場では、不登校=ダメという認識は徐々になくなっています。選択肢はたくさんありますから、どうか一人で全て抱えずに、周りを巻き込みながら子育てをしてください。
そして、子どもの意思を大切に支援することが重要です。教室に入りたくなければ保健室など子どもが行きやすい場所、行ける時間帯に行けばいいのです。子ども自身が勉強に心配を持てば、先生はきっと宿題はどうしますか、こんな方法もありますと提案してくれるでしょう。一人で悩まず相談すれば、学校の中で、その子その子に対応した支援体制が整えられていくはずです。
広島県教育委員会は2019年に、県内の指定11校に、不登校傾向の児童生徒の支援のためにスペシャルサポートルーム(SSR)を作りました。2024年度には、小中合わせて、全42校に設置が広がっています。また最近は、どこの学校にもスクールカウンセラーが来校しますし、どこの市区町村にも相談窓口はあります。保護者が相談する窓口は以前に比べて確実に広がっています。加えて、現在の小学校現場では、不登校=ダメという認識は徐々になくなっています。選択肢はたくさんありますから、どうか一人で全て抱えずに、周りを巻き込みながら子育てをしてください。
世間の常識に囚われず子どもの自立を見守る
子育てにおいて、お母さんが占めるウェイトは現在も大きいと思います。これまで精一杯、お母さんは子育てをやってこられたと思います。子育ては、誰から習うわけでもありません。お母さんにとっても、お母さんであることが初めての経験です。子育て術系の本もたくさんありますが、その通りにはいかないのが現状です。だから、まずお母さんが、「自分はよく頑張っている」とご自身を認めてください。お母さんが自分を否定しても、子どもは全く嬉しくありません。
決して子どもの不登校を安易に容認しているわけではありませんが、小学校に行かないくらいで、人生が終わるわけではありません。私は小学校生活の中で多くの不登校傾向児童と出逢ってきました。なかには、5年間不登校の子と向き合った経験があります。しかし、彼は今、立派に成長し、素敵なお父さんになっています。
人生は小さな挫折の積み重ねです。つまり、それを自ら乗り越える力を子どもに付けさせることが大事なのです。学校に行くことが最終目標ではありません。一番大切なのは、子どもの自立です。
変化し続ける社会において、「学校が全て」という過去の固定観念に縛られることなく、子どもにしっかり目を向けることから始めてみませんか?不登校という現実に直面すると、子ども保護者もとっても苦しい毎日を送るかもしれません。でも、その状態がずっと続くわけではありません。次の一歩を踏み出すときが必ず来ます。辛い経験は、いつか必ず役に立ちます。子どもにとっても、親にとっても、人生を切り拓く大きな武器になってくれるはずですから。
決して子どもの不登校を安易に容認しているわけではありませんが、小学校に行かないくらいで、人生が終わるわけではありません。私は小学校生活の中で多くの不登校傾向児童と出逢ってきました。なかには、5年間不登校の子と向き合った経験があります。しかし、彼は今、立派に成長し、素敵なお父さんになっています。
人生は小さな挫折の積み重ねです。つまり、それを自ら乗り越える力を子どもに付けさせることが大事なのです。学校に行くことが最終目標ではありません。一番大切なのは、子どもの自立です。
変化し続ける社会において、「学校が全て」という過去の固定観念に縛られることなく、子どもにしっかり目を向けることから始めてみませんか?不登校という現実に直面すると、子ども保護者もとっても苦しい毎日を送るかもしれません。でも、その状態がずっと続くわけではありません。次の一歩を踏み出すときが必ず来ます。辛い経験は、いつか必ず役に立ちます。子どもにとっても、親にとっても、人生を切り拓く大きな武器になってくれるはずですから。
- 寺西明子 広島文化学園大学 人間健康学部 スポーツ健康福祉学科 助教
- 広島県呉市内の小学校6校に35年間、養護教諭として勤務。保健室にて、悩みを抱えた子どもたちや保護者に多く関わる。2014年から広島「もみじの会」(1型糖尿病患者会)会長として、県内近県の1型糖尿病の患児と家族の支援や、患児の自立のための活動を行っている。2018年にはJKYBライフスキル教育(健康教育)コーディネーターを取得し、学校教育関係者や学生に子どもたちのセルフエスティーム向上のための教育を推進。2022年より大学にて養護教諭の養成にあたっている。