子育てアドバイス

【よくある相談シリーズ】うちの子、本を読みません。どうすれば読書好きに?

子どもに「本をたくさん読んでほしい」と願うママやパパは多いのではないでしょうか。読書は豊かな心と知識を育み、読解力や集中力が身に付くといわれています。親からすると、本を読まず、ゲームや動画に熱中する子に対し不満を抱いてしまうこともあるでしょう。今回は、広島 蔦屋書店でKidsコンシェルジュとして活躍する宮本陽子さんに、子どもの読書週間を育むヒントを教えてもらいました。
子どもの成長に多くの効果をもたらす読書
昨今では、塾や習い事、ゲームに動画と、子どもたちの日々は忙しく、なかなか読書が入り込む隙がないといわれています。小学校低学年までは、幼少期から親しんだ絵本の延長線上として、幼年童話を読む習慣がついているお子さんもいます。しかし、多くの場合、本から離れていくのは活字量が多くなる中~高学年からです。特に、スマートフォンやタブレットなどの普及により、本以外のコンテンツにふれる機会が増え、子どもの時間の過ごし方が変わるのは、自然な流れと捉えることもできるはずです。

ですが、やはり読書には、たくさんのメリットがあります。本を通じて、さまざまなテーマや世界観に触れることで、幅広い知識と視野を養うことができます。また、自分の知らない世界に触れることで価値観が変わったり、世界観が広がる可能性もあります。特に「読んでもらうのを聞く」読み聞かせから、「自分で文字を読み進める」自力読みに発展したとき、自分のイメージで登場人物を思い描き、その心境を想像するなど、本の中の世界にどっぷりと入り込む楽しさを経験できます。
読み聞かせは少し大きくなった中~高学年にも有効
とかく読書は難しく捉えられがちですが、そもそも読書は楽しむ行為です。意外に思われるかもしれませんが、本の読み聞かせは、幼少期に限らずいくつになっても親子間で楽しめます。読書が苦手なお子さんには、団欒タイムにパパやママが本を読んであげるのも効果的です。時間をかけなくても、数ページ読み、数日後に1冊が終わるスピードでかまいません。子どもは聞いているだけですが、「この話、面白かったな」と思ってくれることが重要なのです。今、自ら本を読まなくても本を読む行為の楽しさを知っていれば、友達、先生、親、またはSNSなどがきっかけとなり、本を突然読み始める子もいます。本によって、心を動かされた経験があるかないかが、キーポイントです。ぜひ、お子さんが大きくなっても、読み聞かせを共に楽しんでみてください。中学年以降の本の読み聞かせは、親と子で本の話を共有できる楽しさも得られます。
絵本はアートでありコミュニケーションツール
大きくなってから絵本を読むのも、子どもにとって有意義な時間になります。絵本は小さい子どもだけのものでありません。赤ちゃんからシニア世代まで、幅広く楽しめるのが絵本です。特に、小さい頃親しんだ絵本を大きくなってから再度読めば、全く違う観点で読むことができます。県内で、美術館などで絵本の原画展が度々開催されていることが示すとおり、絵本は素敵な挿絵が入ったアート作品です。ロングセラーの絵本は、いい作品だからこそ世界中で長く読み続けられています。

また、本や絵本の裏表紙に表記されている対象年齢で、読む読まないを決めなくても大丈夫です。対象年齢は、平均値を考えて付けられているので1つの指標となりますが、優先順位は子どもの興味です。書店によっては、わかりやすく年齢別に区切って本を見せている場合もありますが、当店では年齢は最優先ではないという考えをもとに棚作りをしています。子どもの好奇心と楽しさを重視して、本を選んでみてください。
本を読むのが苦手な子には短編集がおすすめ
文字量の多さ、お話の長さに読む気が失せてしまう子どももいます。そこでおすすめなのが、短編集です。5分で読める、または3分で完結するなど、本が苦手なお子さんでも本の世界に入りやすいのが特徴です。まずは、本好きになるきっかけを手にするために、読みやすいものから選ぶといいでしょう。 

また、漫画スタイルの作品もおすすめです。例えば、歴史漫画は時代背景や事実が忠実に描かれており、子どもが親しみやすいイラストで時代の全体像を把握できます。誕生日やクリスマスプレゼントとして、全巻揃える方もいます。

漫画であっても、挿絵が多くても、名作でなくても、子どもが興味を持ち無心に読んでいるのであれば、それはもう読書なのです。

―宮本さんおすすめの中高学年向けの本―
左:『二番目の悪者』 林 木林/作, 庄野ナホコ/絵, 小さい書房, 2014年
上:『意味がわかるとゾクゾクする超短編小説 54字の物語』 氏田雄介/作, 佐藤おどり/絵, PHP研究所, 2018年
下:『10分で読める名作 5年生』 木暮正夫(選), 岡信子(選), Gakken, 2019年
右:『怪盗アルセーヌ・ルパン (10歳までに読みたい世界名作)』 モーリス ルブラン (著), 芦辺 拓 (翻訳), 学研プラス,2015年
大人目線で本を選ばず子どもに親の感情を強要しない
大人から「この本を読みなさい」と押し付けるのではなく、子どもが読みたい本を選ばせることも大切です。親から「おもしろいよ」と声をかけて読ませようとするのも好ましくありません。おもしろい、ワクワクする、ドキドキする、あるいはやっぱり好きじゃないと思うのかは、子どもの自由です。つまり、子どもの感情をとってしまう言動は控えましょう。
もちろん「ママはこう思った」など感想を言うのは問題ないと思います。しかし、親と同じような感想を子どもが持つとは限りません。

子どもが何に興味を持っているか、親でもわからない場合があります。子どもが選ぶ本を否定せず、見守っていくことが大事です。読みたいように読ませてあげること。それこそが、本を読む楽しさにつながっていきます。「こうでなくてはいけない」というような決まりに縛られず、読書の高い壁をなくしていきましょう。本にたくさん触れ、「本は楽しい」と思えることが一番なのですから。
 
宮本陽子 広島 蔦屋書店 Kidsコンシェルジュ
保育士として広島市の保育園に21年勤務。保育現場で毎日読み聞かせをして培った絵本の知識を子どもや親たちへ伝えられたらと、2017年に広島 蔦屋書店に入社。月曜から金曜は「へいじつのよみきかせ」を毎日店内で開催し、子どもたちに絵本の楽しさを伝えている。多様な児童書ジャンルのなかでも、特に「絵本」が持つ魅力を提案。

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