2024年11月8日(金)
【よくある相談シリーズ】高学年からピアノを習いたいと言い始めました。もう遅いですか…?
脳の発達に良い影響を与えたり、集中力を養う効果が期待される、小学生に人気の習い事「ピアノ」。しかし、その多くは幼児から始める人が多いのが現状です。しかし、小学校高学年の子どもが「ピアノを始めたい」と言った場合、親はどう対応すればいいのでしょう?今回は、広島市を拠点に多くの生徒を指導する沖根典子先生に、高学年から始めるピアノレッスンについて聞きました。
やる気のある子にピアノのスタート年齢は関係ない
ピアノを始めるのに適しているのは、幼児からといわれています。その多くは概ね3歳~5歳から。それ以前の0歳からリトミック教室に通い、ピアノへと移行するお子さんもいます。しかし実際には、小学校の高学年からピアノを始める子も少なくありません。年齢関係なく、子どもの意欲や興味が芽生えた時期が始め時です。親が無理矢理強制して始めさせるのはよくないですが、本人に「やってみたい」気持ちがあれば、前向きに検討してあげてください。ピアノを自ら選んで始めた高学年は、親が練習を強いらずとも、自発的に練習に取り組む熱心な子が比較的多いともいえます。
高学年がレッスンに向き合うメリットとデメリット
高学年からピアノ始める場合、すでに学校の音楽の授業で音符を習っていることもあり、幼児からスタートする子に比べると、楽譜読みが早いといったメリットがあります。指導者の話を理解する力もついており、知識を理論で覚えるので上達も早いです。最低限の技術はすぐ身に付きます。
一方、強弱を自在に操る、喜怒哀楽を音に出すなどの表現力の向上には時間がかかります。なぜなら、より良い演奏を聞き分ける耳の力が育っていないからです。ピアノを練習していく上で心がけることは、単なる練習に留まるのではなく、耳も同時によく使って、自分の出している音や他人の演奏を聴き、耳を鍛えることが重要です。そのために、クラシックのコンサートに足を運んだり、著名なピアニストの曲を聞かせたりするなど、レッスン以外で音楽に触れる機会をたくさんつくってください。心に残る印象的な音に、きっと出会えるはずです。
一方、強弱を自在に操る、喜怒哀楽を音に出すなどの表現力の向上には時間がかかります。なぜなら、より良い演奏を聞き分ける耳の力が育っていないからです。ピアノを練習していく上で心がけることは、単なる練習に留まるのではなく、耳も同時によく使って、自分の出している音や他人の演奏を聴き、耳を鍛えることが重要です。そのために、クラシックのコンサートに足を運んだり、著名なピアニストの曲を聞かせたりするなど、レッスン以外で音楽に触れる機会をたくさんつくってください。心に残る印象的な音に、きっと出会えるはずです。
幼稚園や保育園の先生を目指すならピアノのスキルを
もしお子さんが、幼稚園や保育園の先生になりたいという将来の夢を持っているなら、ぜひピアノを習わせてあげるとよいです。幼稚園教諭免許を取得するための学校に進学すれば、必要科目としてピアノの授業を履修することが求められます。保育科がある学校に通う場合も同じく、必修科目にピアノがある場合があるため、ある程度のスキルを身につけなければなりません。つまり、養成学校では、ピアノを弾けることに積極的に取り組んでいるのです。保育士試験を利用する場合はピアノ以外の課題を選べるため、ピアノが弾けなくても保育士の資格取得を目指すことが可能です。しかし、結論から言うと、先取りして困ることはありません。優れたピアノの技術はなくても先生にはなれますが、ピアノが上手であればあるほど、共に過ごす子どもたちの音楽体験は豊かになります。自信を持ってピアノが弾ければ、音楽に触れて、歌やダンスなど、表現する楽しさを子どもたちにたくさん伝えることができます。ピアノを弾けた方が幼稚園、保育園での就職面接や先生になってからの現場でも、大いに役立つでしょう。
思春期の子どもにリラクゼーション効果が期待できるピアノ
思春期の子どもたちは、勉強や友人関係などで、さまざまなストレスを抱えています。そんな時にも、実はピアノは役立ちます。気分の向くままにピアノを弾くと、心が解放され、自律神経が整い、ストレス解消効果が期待できます。大人でも、美しいピアノの音色によって心が癒された経験がある人は多いはずです。つまり、ピアノに向き合う時間が、ちょっとした気分転換になります。安らぎを与えてくれるピアノの音色は、音楽療法でも積極的に用いられている、おすすめの楽器のひとつです。
ピアノは子どもの心を育て将来の可能性を広げてくれる
音楽は、人の心に大きく深いものを与えてくれます。ピアノの技術力を磨き、上手に弾けることも大切ですが、重要なのは子どもの心を育てることです。自分の気持ちを音楽で表現する時間は、確実に豊かで実りあるものになります。音楽をきっかけに、思いがけない人間関係が広がることもあるかもしれません。長く続けていれば、入試や就職など人生の節目で、自分の強みとしてアピールすることもできます。その他にも、ピアノを弾くことで身に付く力は無限にあります。高学年だからといって、遅すぎることはありません。ピアノで子どもたちの未来の可能性を広げていきましょう。
- 沖根典子 スタジオイマジンピアノリトミック教室 代表
- ピアノを指導していた母の影響で5歳からピアノを始める。広島市立舟入高等学校を卒業後、エリザベト音楽大学宗教音楽学科宗教音楽学コースへ進学。1997年、「スタジオイマジンピアノリトミック教室」を開設し、後進の指導にあたる。エリザベト音楽大学同窓会理事、評議員。一般社団法人全日本ピアノ指導者協会正会員、広島ピースステーション代表。